1101 城ヶ鼻=佐渡市野浦(新潟県)ちゃんと灯台まである芋虫のようななめくじのような小さな岬をトンネルで抜け… [岬めぐり]
佐渡島の東海岸線は、片野尾の弁天崎から松ヶ崎の鴻ノ瀬鼻まで、延々17キロにわたって、大きな縮尺の地図で見るとほぼだいたい真っ直ぐに、南南西方向に続いている。とは言っても、実際には小さなでこぼこやカーブがたくさんあって、もちろん正確な直線を描いているわけではない。これは、地図で見たイメージと実地を歩くときの感覚との大きなずれでもある。
だが、ごくおおまかに言えば、真っ直ぐな線を引いている。
そのほぼ直線の北寄り3分の1くらいのところに、ちょんと飛び出ているのが、野浦の城ヶ鼻である。
高さは十数メートルくらいしかなく、幅も40メートルで左右の長さ170メートルという、なんだか芋虫かなめくじでもそこにぺたっと置いたような地形が、野浦の集落の南にある。ここは、いかにも曰くありげな、しかし実はなんの曰くもなく、ただ自然の地殻変動の気まぐれでできた地形になっている。
そこを、県道45号線が浅い城ヶ鼻トンネルで、ポッカリと穴を開けてくぐり抜けている。向こう側が見えるトンネルの左右には、なにやら絵が描いてある。こういうなにか意匠を施すのが近年の比較的新しいトンネルの流行りらしい。これが北と南の両側についているのだが、南のほうしか写真で確認できない。
そこには、左に“城ヶ鼻白藤”、右に“春駒伝承の地”とある。
ここには白い藤があるのか。佐渡には山野に自生の藤が非常に多い。ちょうど訪問した時期はシーズンで、山が藤色になっていたところもあちこちあったが、ここのは白い、というわけだ。
春駒のほうは、木製の馬の首にまたがって地唄に合わせて舞い踊るもので、オンデコと同じジャンルの門付け芸能のひとつだという。門付けというのは、豊作や大漁、家内安全を祈り家々の厄を払うために、道々を流しながら家々を回るということだろう。
佐渡の芸能というと、これまた大変である。なにしろ、世阿弥も流されてきたから能も盛んらしいが、片野尾では歌舞伎もある。佐渡では能も歌舞伎も、観るものではなくて参加するもの。集落の人々の手で上演される片野尾歌舞伎は、これまでひっそりと受け継がれ伝えられてきたのだという。
なるほどねえ、これだけみても、佐渡の特殊性がなんとなく感じられる。
城ヶ鼻の上は木々に覆われていて、そのなかに白い筒型の灯台が立っている。ほぼ直線の途中で灯台があるのはここだけだが、ここに灯台が必要な理由は、この岬の北東側に岩礁があるためでもあろうか。
この灯台は、道路を走っているだけでは北側からは見えず、南から見て灯台だとわかる。
ここもバスで往復したおかげで、行き帰りに向きの違う写真が撮れたので、ちゃんと確認できた。
遠望写真で城ヶ鼻を見ると、陸地側に大きな山塊があって、そこからいきなりの急傾斜で城ヶ鼻につながっているように見えるが、そうではない。
ちいちゃな城ヶ鼻の芋虫は、北の山とも南の崖ともつながってはいないのである。
白い城ヶ崎灯台の向こうにおおきくみえるのは、大平トンネルのくぐっている山で、その奥にあるのが、弁天崎である。
弁天崎の片野尾から月布施、野浦と続く城ヶ鼻までの北側では、途中の厳しい断崖絶壁地帯を大平トンネルで抜けているので、まださほどでもない。けれども、城ヶ鼻から南では、崖と海が迫ってきて、また独特の海岸線をつくりだしている。
鯉のぼりが泳ぐ(泳いでないね? 交流戦に入って大失速してしまい、大型連敗中のわれらがカープみたい)野浦南のバス停から南へは、次の停留所と次の集落は東強清水までない。この1.6キロの間は、人も住むことができない。
(このところ、曽根風呂では「お客様がお探しのページが見つかりませんでした」が頻発中。自分のブログのトップページが見つかりませんでしたって、どういうこと?)
▼国土地理院 「地理院地図」
38.02124, 138.552096
信越地方(2014/05/14訪問)
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信越地方(2014/05/14訪問)
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