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1082 西崎=八重山郡与那国町与那国(沖縄県)見えない海上の国境線まではここから36キロの日本最西端の岬では [岬めぐり]

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 西崎の「西」の読みは、ここでは「いり」である。そういえば、「西表」もそうだった。西は太陽が沈んでいく方角だから、“太陽が入る”から“いり”なのだろうと、単純に考えていた。与那国島の最初の項目が「1080 東崎」だったが、この「東」は「あがり」と読む。太陽が上ってくる岬であるから「あがり」、太陽が沈んでいくから「いり」。与那国島では、東端と西端の岬が、おあつらえむきに東西がうまく対照してまとめられているのがおもしろい。
 「西」に日の入りの意味をもたせたのは、日本と日本語だけではないらしい。英語の「west」もギリシア語の「hesperos」もラテン語の「vesper」も、いずれもその意味が「日の暮れ方・夕方」であるというので、ちょっと驚いた。
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 与那国町の住所表示は、東の端から西の端まで全島すべてが「与那国町与那国」で、集落の名は採用されていないが、この久部良という集落こそは日本のいちばん西の端の人の住むところである。
 カジキマグロが水揚げされるという久部良漁港は、「Dr.コトー」のロケにも使われたが、泉谷しげるみたいな感じの漁師は見かけない。だいだい、この時間に漁師は陸でうろうろしているものではないが、それにしても人影は少ない。無料バスの久部良バス停は、漁協の横、「日本最西端の店」と看板をかかげた大朝商店の前。台湾のほうから、空模様が怪しくなりつつある。
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 久部良バリという断崖と、日本最西端の岬である西崎(いりざき)の間に囲まれて、台湾や中国本土に向いて開いた久部良港がある小さな湾に、石垣島と与那国島を結ぶフェリーも入ってくる。与那国空港と久部良港、この二つだけが最西端の横にしたサツマイモのような離島と「その他の日本」をつなぐ玄関口なのだ。
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 地理院地図には「税関与那国監視署」というものも久部良にあるが、いったいどんな仕事をしているかわからずとも、ここが国境の島であることを示している。西の海の向こうは、大きな縦のサツマイモである台湾があり、こっちは小さな横のサツマイモが日本の最西端…。
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 サツマイモの左の端、西崎にやってくるのは二度目だが、前回きたときには灯台へ向かう道の工事中で、大々的に掘り返していて、その工事で盛り上げた土の端につけられた踏跡を、アダンの葉先に突かれながら登ったものだった。二度目の今回もまた、道路脇で排水溝の工事をやっていた。見ると埋没式の雨水側溝を取り付けているのだ。
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 従来、日本中の隅々の道路脇で、例外なく、くまなく多用されてきたU字溝。一見すると何の問題もないように見過ごしていたが、あるとき読んだ本でこれが小さな生物にとってはひどい拷問のような緩慢な死をもたらすことを知って、愕然としたことを思い出す。この点では、それを埋没式に取り替えている“日本の最西端は最先端を行っている”のか。日本中の道路脇に、U字溝はまだまだ多い。
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 道はずいぶん広く立派になっている。50メートルほどの高さの岬の上はでこぼこしているうえにそう広くもないが、「日本最西端の地」の碑やら灯台やら展望台のコンクリートでできた大きな東屋などがにぎやかである。
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 至るところでその写真が使われている最西端の碑は、実は公のものではなく、碑の裏を見ると与那国中学校10期と久部良中学校3期の卒業生が建立したとある。建てられたのは1980(昭和55)年だが、これはいわゆる卒業記念制作なのだろうか。そう思ってみると、表の石に彫られている文字もどことなく素人っぽいが…。どこまで自分たちでやったのだろう。
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 西と東の島で二つの中学校の卒業生が協同して、島にひとつのモニュメントを残した。それがそれまでなかった最西端の碑であったというのは、なかなかのアイデア。当事者であった当時の卒業生たちも、もう50歳前後になったであろうが、そのうち今でも島に残っている人はどのくらいだろう。
 町公認なら公のと言えなくもないか。とにかく、日本最西端を示すものは、この碑しかなく、これまで立派にその標識としての役割を果たしてきた。
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 石垣までは117キロ、台湾までは111キロと、台座の裏には記してあるとおり、台湾のほうが石垣より近い。晴れていれば台湾もよく見えると、話には聞いていたが、これはどうなんだろう。見えるとも見えないとも…、なかなか微妙な…。
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 台湾は、与那国島の西前面にズラーっと横たわっているはずなのだ。正面にはシュエ山という、富士山より高い標高3931メートルの高山を含む大きな山塊があると地図はいう。
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 公のほうは後からできた立派な東屋のほうにその意図を込めたらしく、「日本最西端の展望台東屋」というカジキの乗った看板や壁画、中に入ると床面には最西端を示す地図などがタイルで嵌めこまれている。そこに示されていた与那国町の姉妹都市である台湾花蓮市というのは、ここから西南西に140キロのところだが、海上の国境線までは西へおよそ36キロくらいしかない。36キロといえば、東京駅から昭島くらいの距離である。(下の写真の青い帯のような線、後の項目で関連してきます。)
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 富士山より高い山が二つ以上はあるらしい台湾と向き合う与那国島で、いちばん高い山は新川鼻の北に位置する231メートルの宇良部岳。久部良の東にある久部良岳は200メートルに届かない。
 久部良港の東には久部良バリ、そのさらに向こうには馬鼻崎が見えている。次は、雨が降り出さないうちにあそこまで行きたい。
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▼国土地理院 「地理院地図」
24.449734, 122.934494
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dendenmushi.gif沖縄地方(2014/02/18訪問)

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タグ:沖縄県
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