でんでんむし@アーカイブス★むかしの人は言いました=その08 臨時特別連載「道歌」 [番外DB]
でんでんむしが「道歌」を収集した方法は、国会図書館に納められている本から、それを探し出すことでした。たくさんの本のなかから、道歌とか俚諺というキーワードで探し、抽出した歌は800首くらいはありました。
なかには、先にも述べた個人が自作の道歌を自費出版したようなものもありましたが、これらを除いて、比較的一般に広く流布していたと思われるものを選び出してみたのです。もちろん、それが全部ではありません。
資料の形態は、本、辞典、雑誌などですが、戦後のしばらくまでは、こうした「道歌」を掲載するという雑誌の企画も結構あったようです。
まあ、企画としては至って安易ではあります。
でんでんむし自身、初めて「道歌」に接したのが野ばら社の『児童年鑑』だったのですが、同時に盗み見た大人の雑誌の合間にも、そんなページがあったのをおぼろげながら覚えています。
人の道を説く「道歌」のなかで、だんだんとその比重を増していくのが、処世の心得を諭すものです。
そのなかでも、我慢すること辛抱することを教える歌は、いちばん目立っています。韓信の股くぐりも出てきますが、「破れたら縫え 破れたら縫え」も印象的です。
冒頭の歌などは、でんでんむしがこどもの頃から胸に刻んできたものですが…。
08 踏まれても…
踏まれても 根強く忍べ 道芝の やがて花咲く 春に逢うべし
起きあがり 小法師を見ても 世渡りは 転びては起き 転びては起き
おこたりも 夏のかせぎも ほどほどに 穂にあらわれて 見ゆる秋の田
霜を経て 匂わざりせば 百草の 上にはたたじ 白菊の花
短気ゆえ 身を滅ぼすと 慎んで かんしゃく気随 気ままおこすな
強き木の 吹き倒さるる こともあり 弱き柳に 風折れぞなき
負けて勝つ 心を知れや 首引きの 勝ちたる人の 倒るるを見よ
世の中の 人よみ空の 月にならへ 犬のほゆるに 月はかまわず
腹立てば まずそのままに 寝るがよし 覚むれば 心直るものなり
腹を立つ 心より火の 燃えいでて 我と我が身を 焦がしこそすれ
世の人の 蛇けんを抜いて かかるとも 我が了見の 鞘に納めよ
雨にふし 風になびける なよ竹は よよに久しき ためしならずや
足元に 道はありけり とどめずば くぐらすもまた くぐるのもまた
人の胯 くぐって恥じぬ かしこさに 智者のかがみと 今にほめられ
ただ忍べ 人の人たる みちのくの しのぶの外に みちあらめやは
塵ばかり 怒らで しのびてぞ 山より高く 徳はつもらん
かんにんは 必ず人の ためならず つまるところは 己が身のため
駆けいだす 心の駒を 引きとむる 手綱となせよ 堪忍の二字
かんにんの 神の利益ぞ あらたなる われはらくして 人はよろこぶ
錦にも 綾にもあらぬ 堪忍の 袋のひもは 見事なりけり
堪忍の 袋を常に 首にかけ 破れたら縫え 破れたら縫え
堪忍は 駿河第一 富士の山 三国一の 徳となるらん
愚痴短気 りん気怒りの 胸の火を なだめ沈むる 堪忍の徳
辛抱と 堪忍するが 何よりも よろず仕遂ぐる 伝授なりけり
堪え忍ぶ 心しなくば 誰もみな 欲と怒りに 身をばたもたじ
何事も ただ堪忍の この箱へ 世世納めたる 家ぞめでたき
人の身の 慎むわざは 多けれど まづ堪忍を 第一にせよ
堪忍の なる堪忍は 誰もする ならぬ堪忍 するが堪忍
堪忍の なる堪忍が かんにんか ならぬかんにん するが堪忍
(2014/03/30 記)
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