1071 仲間崎=八重山郡竹富町南風見仲(沖縄県)マングローブ林で有名な仲間川の“左岸河口”にある岬 [岬めぐり]
仲間川左岸の河口の端が仲間崎で、この岬は南風見崎のように丸くなく、長い岬の先っちょが哺乳瓶の吸口のような形をしている。だが、これも船から見るだけではほとんど平らな、いささか心細げな陸地が伸び、静かに海に消えていくだけである。(ChinchikoPapaさんもいわれているように「仲間」の意味はなんだろうという疑問もあったのだけど、これがよくわからない。ただ、沖縄県には多い姓(仲間由紀恵さんとか)にあるので人名からきているのか、あるいは沖縄や奄美にも地名としてもあるし…。)
仲間川は干満の差が大きく、潮が引くと仲間崎の近くまで砂浜(というより“泥浜”に近いがそれもきれいな泥)が広く出現する。今回の訪問では、いずれも潮が満ちていたときに当たっていたので、その光景は見られなかったが、その岸辺にはヤエヤマヒルギの小さな木が、たくさんの支柱根をタコの足のように砂泥のなかにおろしている。これは、どこでいつ見ても思わず頬がゆるむユーモラスな楽しい風景だ。
この植物は、八重山のマングローブを代表するものといえ、比較的海水に晒される干潟に生えるマングローブのひとつである。塩分に対する耐性がほかの仲間より強いので、海側に進出する一番手なのだ。
マングローブというのは、固有の木の名前ではなく、熱帯や亜熱帯地域の河口汽水域に成長する森や林のこと、またはその森や林を構成する植物種の総称である。
日本では奄美諸島がその北限で、西表島には日本のマングローブが全員集合しており、とくに仲間川のマングローブは「仲間川天然保護区域」として国の天然記念物に指定されている。(天然保護区域というのは、国が指定する天然記念物がたくさんある一定の区域、として文部科学大臣が指定する地域)
最初にここへ来たときは、仲間川左岸の大富集落にある民宿に泊まったので、満潮も干潮もながめ、干潟に降りて歩いた。また、あるときには大富集落の奥に一本だけある道をどんどん奥まで行くと、やがて消えてしまうこの道の途中に展望台があって、そこから眺めるマングローブ林と西表の密林も、なかなか印象深かった。
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今回は、久しぶりに地図で「天然保護区域」としてあるエリアに入って行く、仲間川の観光遊覧船に乗ってみた。
昔は、大原の港からいったん集落を抜けて、仲間川右岸の遊覧船乗り場へ行った記憶があったが、「仲間川マングローブクルーズ」という名前になった遊覧船は、大原港の連絡船の桟橋の隣の乗り場から出ていた。
昔と同じように、仲間川のマングローブ林のなかを、船は波を立ててサキシマスオウノキのあるところまで遡る。当時から、遊覧船の立てる波がマングローブ林の生育に悪い影響があるのではないかと言われていたが、その後どうなったのだろう。クルーズの船は、ほとんど数珠つなぎのようになって走っていた。
オヒルギの林が続く辺りには、倒木が目立つ場所も一部あったが、ガイドの説明ではそれは台風によるものだという。
ガイドは船の操縦者がしているのだが、彼が言うには“川と海の境界は、いちばん下流の橋”なのだという。なるほど、いかにもお役所的な定義の仕方である。しかし、そうなると冒頭に書いた「仲間川左岸の河口の端」という表現は、正しくないことになるのだが…。実際、橋から下流はちょっと開放感もあるが、まっいいよね。
仲間川のいちばん下流の橋、といってもこの川に橋はひとつだけだが、イリオモテヤマネコの石像が欄干を飾る仲間橋がその境界になると、橋から下流は海ということになる。
下流のいちばん狭まったところを選んで架けられたこの橋は、250メートルもあるだろうか。この橋の下も、干潮時には干上がって砂浜が広がる。
橋の下から、左手に見えている仲間崎までは、2.2キロ。ただし、この角度からでは、見えている端っこは仲間崎の表記がある突端の西側、7.1メートルの三角点がある場所付近になるはずだ。
小さな島がある仲間港の西にある昔の遊覧船乗り場は、現在でも使われているようで、数台の観光バスがそこで待っていて、同じ船に乗っていたほとんどの客はそこで降りていった。
それにしても、ピストンで運んでも、ツアー客は切れ目もなく続く。観光客も、このぶんでは相当な数になるようだ。いつもはひとりはぐれの岬めぐりで、たまにこういう観光地の観光ポイントにくると、みなさんよくまあごくろうさんなことだと、自分のことは棚にあげて思うのだ。
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大原港の堤防護岸の端から見える仲間崎の先端から、「∴ 仲間川天然保護区域」に至るまで、“南風見仲”という地名表記になっていて、昔の大富の名はバス停に残るだけ。そして、この岬の先はまるまる南風見仲だが、裏(向こう側)は“古見”となる。
▼国土地理院 「地理院地図」
24.27512, 123.90386
沖縄地方(2014/02/03訪問)
タグ:沖縄県
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