1012 アゼチ岬=厚岸郡浜中町湯沸(北海道)霧もたっぷり霧多布と湯沸はいちおう別の地域なんですが [岬めぐり]
浜中町の中心はもとは湿原の北端にあたる榊町のほうにあって、佐賀藩が入植をはかったのもそちらであった。それが、だんだんと南の霧多布のほうに移っていったというが、それも港湾の関係からはもっともなことだったろう。榊町は砂浜で、小さな港がやっと。それに比べると、島が風除けをつくってくれ、琵琶瀬湾もある霧多布のほうが断然有利だ。
東と西に地名では分けられた霧多布の市街地からは、東へ坂をえんやらと登って行くと、湯沸(とうふつ)となる。ここは、確かに昔は湯沸島と呼ばれていたのだろうと納得できる。
今は台地の湯沸は、標高50メートル弱の凸凹があるが、遠目にはここも平坦なように見える。しかし、実際には微妙で、主な道路は平坦な部分を選ぶようにして走っている。とくに中央では大きな谷があって、そこにこの島では唯一の湯沸集落がある。
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ほんとは、これ、どう考えても順序が逆だったのだが、風呂に入っている間に霧が少しでも晴れないかと思ったのだ。その効果はあまりなかったが、自転車を返した後で、またもう一度温泉につかってきたので問題ない。
霧多布温泉ゆうゆは、町営の温泉施設だが、食堂はなく入浴料は500円。霧多布大橋付近からも、そのとんがり屋根が見えるくらいで、そこは湯沸の西の端。ここからアゼチ岬へは、谷を避けて東へ大きく迂回しながら南西へ自転車を走らせる。
途中、辺り一面白い霧の中に、大きな柱のようなものがぼんやり浮かび上がる。何かと近寄ってみれば、これが風力発電の風車だった。温泉施設の電力は、この風車がまかなっているようだ。
アゼチ岬もすっぽりと霧の中で、これもぼんやりと長く延びる岬の姿が浮かぶ。
晴れていれば、エトピリカの小島も、元ムツゴロウの動物王国劍暮帰(けんぼっけ)島も見えたのだろうが…。標識では「アゼチの岬」と「の」が入れてある。
晴れたアゼチ岬は、翌日の朝に霧多布大橋のほうから眺められたが、岬の先端がナタですっぱりと切り離されたようになっていた。
またまたアイヌ地名談義になってしまうのが、北海道ではこれもやむを得ない。
“アゼチ”の語源は不明だが、“霧多布”というのは、その字面からしても、いかにも霧が多いところ(霧がたっぷり)というイメージがある。しかし、元のアイヌ語源で「キータプ=茅を刈るところ」という音に、こういう漢字を当てはめただけなので、もともと霧は関係ない。当てはめた人に(霧が多い・たっぷり)というだじゃれ感覚があったとしても、誰も責めはしまい。
いろいろとヘンなことがあった明治維新では、函館に開拓使が置かれて蝦夷から北海道になったとき、一時的に釧路国は佐賀藩の支配となっていたが、その以前は根室までが長く松前藩に属していた。
松前と根室といえば、北海道南部の西の端から東の端までで、襟裳岬を経て517キロある。当然、陸路はなかったので、船で往来したのだろう。松前とか、和人支配とかいっても、所詮は海岸のいくつかの点を海路で繫ぐ程度のものだったのだろう。
この地域の和人の足跡としては、寛永年間(1627〜)の厚岸場所に続いて、1701(元禄14)年になるとキイタップ場所が開かれ、道東から国後方面とを結ぶ重要な交通交易の拠点となった。経済的には、ニシンとコンブの生産が、この地域を支えてきたのだろう。現在でも、天然コンブの生産量は日本一だと誇らしげだ。
ええっ? 天然コンブ? コンブはみんな天然だと思っていたのはテンネンだった。天然の産地でも養殖コンブが盛んな地域も多く、それは種苗を着けたロープを海中に垂らして2年かけて育てるのだという。
湯沸の西端にあるアゼチ岬から、東端の湯沸岬までは、直線でも4キロ近くある。
初夏のベストシーズンには、お花畑になるのかな…というような広い台地の上を自転車を走らせるが、調子に乗って説明不足の標識につられてしまった。矢印にしたがってどんどんいい気持ちで走っていると、湯沸の海岸まで降りてしまって、また上り直すことになってしまった。
タグ:北海道
2013-10-05 00:00
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コメント(4)
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霧多布一度行ったことあり。
霧が多いってことじゃないんですね。
勉強になりました(^_^)/
by ちくわ (2013-10-05 14:12)
懐かしいなあ、若い頃は何回も行きましたっけ。
仕事リタイアしたら、また行きたいなあ。
by ナツパパ (2013-10-06 16:05)
@ちくわ さん、コメントありがとうございます。
いや、元のアイヌ語にはないけれど、漢字を当てはめるときには、そのつもりだったと、思いますよ。
だらだら漕いでるのは、広島だけじゃないんですね。
by dendenmushi (2013-10-07 06:04)
@ナツパパ さんも懐かしいなあ…(^^)。
若い頃歩かれたところをまた歳を取ってから行くというのは、なかなかよいかもしれませんね。
by dendenmushi (2013-10-07 06:08)