1009 アイニンカップ岬=厚岸郡厚岸町床潭(北海道)アイカップとアイニンカップは同じような意味らしいが… [岬めぐり]

愛冠岬については、すでにこのブログ始めの頃の項目として取りあげていたので、今回の計画には入れなかった。愛冠岬の南東に続くのは、アイニンカップ岬である。アイカップとアイニンカップ。これは、どちらも同じような意味の名だが、並ぶふたつを区別するためにこういう名にしたものか。「矢も届かず道もない=できそうにないこと・むずかしいこと」の意味をもつアイヌ語で、断崖絶壁の地によくつけられた名だという。確かに、愛冠岬もアイニンカップ岬も断崖の岬で、しかもその両者をつなぐ道もない。
愛冠岬のほうは、厚岸町の観光名所になっているので、国泰寺の横から観光バスが坂道を登って行くが、駐車場でバスを降りてからはさらに歩かなければならない。
アイニンカップ岬は、自動車道からは往復2キロ以上の山道を上り下りしなければならないので、こちらは観光名所にならない。さらに東のチンベノ鼻でも、似たような状況がある。
厚岸駅で呼んだタクシーは、10分近くも待ってやっときたので、配車の都合が悪かったのか、電話に出た本人らしい女性がドライバーだった。

目的は、床潭へ向かってアイニンカップ岬を見て、そこから海岸沿いに幌万別を回り込み、末広(まひろ)の手前からチンベノ鼻を確認することであった。
ところが、霧がなかなか晴れない。ドライバーもこれじゃ見えないかもと心配してくれるが、とにかく床潭まで行ってみることにする。

厚岸湖を抱え込むように丸く延び、かぎ爪のような形をした100メートル前後の尾根を、浜中町に向かって道道123号線が走っている。子野日公園からセイタカアワダチソウが両側に黄色い花をつけたこの道を、山に入って行くと、途中から南へ分岐し、これをだらだらと下ったところが床潭(沼の村)である。

海岸へ出る前から、車の進行方向右手には、沼が見えてくる。床潭沼は周囲は約2.5キロほどで、海岸に近いところにあるので、海が後退した跡に残った海跡湖沼なのであろう。

その西側の尾根がアイニンカップ岬へ行く山道があるところだが、それも上のほうは霧に隠れている。厚岸町のホームページによると、この沼はヒブナの生息地で、北海道の天然記念物になっているという。
フナに緋色を発生させるのは、色素をもつ植物プランクトンが豊富なためだそうだ。だが、その出現率は1%弱ときわめて低い。
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床潭の集落のはずれで、エゾシカ発見!
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この母と子のエゾシカも、山の中ではなく、道路沿いの民家のそばまで進出していて、通る自動車などには驚かない。
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ムダにしてもいけないので、そのまま国泰寺まで運んでもらった。
床潭と末広にも、バス路線があるにはあるが、これが通学時間帯だけのダイヤなので、まったく役に立たない。
アイニンカップ岬とチンベノ鼻は、JR根室本線の門静付近から見えるのではないかとも考えた。
厚岸湾の最北部から、南東を望む位置で、顔を出すのではないかと思ったのだが、どうやらそれも愛冠岬のほうが目立っていて、その陰になるアイニンカップ岬とチンベノ鼻は識別不能。
愛冠岬の項で使っていた写真に、アイニンカップ岬はその姿があるので、ここはとりあえずそれを再録し、流用させておくことにしよう。小さな岩礁が小島、横に平べったい島は大黒島で…。

前項のバラサン岬に咲いていた小さな花について、「紫の花は、ハマエンドウ」ではないかと、ChinchikoPapa さんからコメントをいただいた。
▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
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タグ:北海道
矢も届かず道もない=できそうにないこと・むずかしいこと」の意味をもつアイヌ語に惹かれます。
by さきしなのてるりん (2013-09-29 11:58)
@さきしなのてるりん さん、ほんとに北海道はどこへ行ってもアイヌの呼び方が、地名などに残っていますのでね。
考えてみれば、当然なんだけど、やっぱりそのことがあって、今があること自体が、ふしぎな感じもします。
by dendenmushi (2013-09-30 14:20)