番外:ブロガーとして最低限これだけは守るべき 著作権のルール「A to Z」 [番外]
●著作権のルール「A to Z」
でんでんむしは、なにも著作権の専門家というわけではありません。しかし、この問題には一般人々の幅広い理解が必要だと、かねがね考えてきました。そこで、経験的に理解した著作権について、普通のブロガーのための注意事項をまとめてみました。
ごく浅いものに過ぎませんが、最低限これくらいは知っておきたい…というレベルです。Webを“無法地帯”の“ガランドウの洞窟”にしないために、これだけは守るよう心しておきましょうね。ただし、動画サイトや“拡散希望”などというSNSについては、別のルールがあるのかも知れませんがよく知らないのでここでは対象にしていません。
A 文章・写真・動画・絵画・イラスト・漫画・音楽などすべての著作物の権利は、著作権法により著作者の死後50年間保護されている。
@ TTPの交渉課題項目のひとつになっていますね。アメリカなどは、この期間を70年に延長せよと迫っています。
B それは、“マルCマーク”の有無や、“無断転載・複製を禁ず”などの表記のあるなしにかかわらず、すべて保護されている。
@ よく「“マルCマーク”がないから」あるいは「“禁無断使用”などと書いてないからいいんだ」という誤解がありますが、そういう表記の有無が権利の有無を左右することはありません。
また、「この●●の著作権は、○○にあります」というような表記は、本来、その著作権をもつ権利者自身が行なうものです。そういう文言を付け加えて使用したとしても、権利侵害の免責にはなりえません。
C したがって、権利者の承諾なしにこれを転載したり、剽窃・盗用したり、一部変えたりして発表することはできない。
@ したがって、「ちょっと変えて使えばいいんだろう」ということもできないし、そのままの転載で変えていないんだからいいだろ、ということにもなりません。
D つまり、自分のブログの書き込みや写真などは、あくまでも自分独自のオリジナルなものだけにすることが肝心。
@ そうなんです。ブログやホームページなどをつくるにあたっては、まず下世話にいえば「他人の褌で相撲をとるな」ということです。第一、人様のものをもってきてさも自分のもののように見せて、なにがうれしいことがありましょうや。
これは有名なマンガで、誰が見てもドラえもんだしアトムなんだから、決して自分のもののように見せているわけではない、という屁理屈も通用しません。
E ほかのネット上の情報やデータや写真・イラストなどを、安易にコピペなどして使ってはいけない。
@ デジタルはコピペで簡単に権利侵害が起こりやすい起こしやすい、ということに気をつけましょう。コピーをそのまま使ってはいけません。ただし、素材集など最初から著作権フリーで使えるようになっているものは、この限りではありません。
しかし、「ウィキペディア」は確かに「フリー百科事典」と謳っていますが、それは“誰でも編集に参加できる”という意味だろうと思いますよ。著作権をフリーにしているわけではないらしい。よく、本文が「ウィキペディア」の丸写しでできていて、おまけに出展も書いていないページを散見しますが、こういうのはダメでしょう。
F 雑誌・書籍など出版物の複製コピーやテレビや映画の録画データの全部または一部を使ってはいけない。
@ 最近は映画館などでも“映画泥棒”とかいって、撮影複写の厳禁を訴えていますよね。映画の紹介もポスターや公式サイトなどへのリンクはいいけど、シーンのカットなどは許可なしには使えません。
テレビの番組も同様で、これはニュースなんだから自由に使っていいということはありません。また、YouTubeなどは著作権にふれるものもたくさんアップされているので、注意と確認が必要です。
G 著作権が認められるには、公表されていれば特別な手続き要件は必要でなく、発表形態が商品・非商品を問わない。
@ 自費出版だから使ってもいいんだ、非売品だから使ってもいいんだということにはなりません。
H また、その作者がプロであるかアマであるかにも関係なく、作者の権利は平等に保護されている。
@ 著作者がシロウトであろうがプロであろうが、それは著作権のあるなしには関係しないのです。シロウトの作品でも、届け出などしていなくても、著作権は発生しています。
I 作品のうまいへたも関係がないので、たとえばこどもの作文やこどもが描いた絵も、著作権で保護されている。
@ おとなのつくったものだからこどもの作品だからということも、うまいからダメだがヘタなものは使ってもいい、といったことも著作権にはありません。
J ほかの発表物を参照したり、それを基にして自分の書きたいことを展開したいときは「引用」を使う。
@ 他の作品などを参考にして自分の作品をつくることは、表現の深化のためにも必要なことです。ただし、その場合も「引用」など、認められたルールに則っていることが必要です。
K 「引用」にはその必要性・必然性も求められ、他からの引用だけがすべて、というような使い方はしてはならない。
@ 他からの引用だけでできているプログやホームページはダメで、引用にはそれなりの関連がないと、妥当なものとはいえないのです。引用が自分の表現をより展開させ飛躍させるもの、というのが本来でしょう。
L つまり、引用にはその目的に沿ったものであること、あくまでも自分の作品が主役で引用部分は従であることが必要。
@ いわゆる「まとめサイト」などは、ちょっと次元が異なりますが、問題になりかけている微妙なところもありそうです。これについては、正直よくわかりません。
M 引用は、分量にかかわらず、あくまでも改変しないでそのままを「 」などで囲むとか、その範囲を明確にして使う。
@ 引用の原則は、元を変えないこと。引用部分がどこからどこまでか明確に表示することです。自分が書いたんだか、引用なんだかよくわからないような使い方はダメです。
N この場合、その出所(作者名・発表してある紙誌名・原稿や作品の題名・媒体会社名など)を明示する。
@ 原則として、いちいち引用の許諾を得る必要はありませんが、正式ルールは著作権者・原典の関係者を特定できるよう、正確に明示することが求められます。作品名だけではダメ。著作者名は必須。出版社名や媒体名などの出所来歴も必要。
O ブログやネット上のデータについては、ネットの特性を活かしトラックバックを使って引用することができる。
@ html編集で、リンクボタンを埋め込むことです。参考文献資料などは、この方式と本文内での部分引用を使い分けることです。
P 原則として、ルールに則って引用やトラックバックをする場合、作者の承諾を得る法律的な義務はない。
@ トラックバックについては、実はよくわからないところがあります。プロバイダなどブログ運営者のルールもあるようです。それに、権利者側であらかじめ許諾を要求している場合もあります。
Q ただし、エチケットとしては、連絡先が示されているなど、可能な範囲でその旨知らせたほうがよい場合も多いはず。
@ 公のものついてはともかく、個人の場合にはやはり「リンクさせていただきました」メールくらい出したほうがいいかなと考えて、そうしていました。が、でんでんむし個人としては、最近は個人ページへのリンクはできるだけ使わないようになりました。
R どこで使われているかわからないより、どんなところでトラックバックされたか知りたい、相手の身になって考えよう。
@ それが、連絡ができないものも多いうえに、メールを出してもうんともすんともないことがほとんどなのです。おまけに、すでに閉鎖されていたり更新がまったくされていなかったりも多くて…。個人のページは、あまり寿命も長くないようです。でも、どうしてもリンクしたいとき、連絡が可能な場合は、むこうはともかく、こちらはいちおうの礼儀はわきまえておきましょう。
S もちろん、自分の表現にあたって、他の著作物を参考にすることは、当然に許されており、文化の発展にも必要なことである。
@ よく最後に「参考」としてリストをあげておけばOKと思っている人もありますが、それは著作権とは別のマナーの問題かもしれません。「参考」はあくまでもそれらも見たうえで、それとは別に作者が新しい自分なりの表現作品を生み出した、ということ。
T 参考にすることとは、その情報を利用して自分のイメージや構想を発展させることで、盗用や侵害行為とはまったく別。
@ だから、「参考」はこういう先人の作品や表現を参考にさせていただきました、というごあいさつのようなもので“免罪符”にはならない、と考えたほうがよい。これと引用のルールとは別でしょうね。「そのまま」とか「一部だけを適当に変えて」というのがダメですね。
U 著作権法は著作物を自由に使える場合として、「私的使用」を認めているが、ネットに公開することはこれに該当しない。
@ 家庭内など個人的な限られた範囲内での使用では、著作権の問題は発生しません。ただし、それをブログにつかったりネットに上げるなどする場合には、私的使用の範囲を超え、権利者の許諾が必要になります。
V どうしても他者の著作を使いたい場合は、権利者の許諾を得る(この場合、利用料を支払うなどの条件がつくこともある)。
@ これは建前ですが、実際にはこれはなかなかめんどうなことになるので、個人では最初から使わないで済む方法を考えて迂回したほうがかしこい。そんなもん、使わなくても、いくらでも自分の表現はできるじゃないですか。
W 著作権は、知的所有権(財産権)のひとつで、人間の考え方や思いを表現した文化的な創作物の権利を保護するもの。
@ 表現の権利を認めたという点では、なかなか進んだ考え方だと思いますね。あまり行きすぎた権利意識も、どうかとは思いますが…。デジタル社会の進展のなかで、新しいルールも必要になるかもしれませんが、それもまずは自分たちで現在のルールを遵守することから始まるのではないでしょうか。
X 著作権法違反は親告罪で、相手が気がついて苦情を申し立てたり訴えたりしなければ表立って問題になることは少ない。
@ 問題が起こっても、得てしてそれが裁判にまで発展することが少ないのです。ということは、“判例”が少ないわけで、幅広い事例での違法か合法かの境目が非常にぼけてしまう…?
Y しかし、罪は罪なので、わからなければ、文句を言われなければなにをやってもいい、ということにはならない。
@ これが結構著作権の理解をゆがめている場合もありそうですね。前からやってるけど別に問題にならなかったから、どこからも苦情はいわれなかったから、これはやってもいいんだ…とか。
Z その精神を理解して、ブロガーはお互いに他者の著作権を尊重したうえで、コンテンツの充実に努めなければならない。
@ とにかく、コピペで自分のブログやページをつくるのはやめましょう。そんなコピペをしなくても、自分の、自分なりの、自分だけにしかできない表現は、いくらでもできるはずなのですから…。そうです、誰でも「それはダメ」と理解したときから、「それならば…」と新しい表現がうまれてくるはずなのです。
◎ブロガーとして守るべき著作権のルール「A to Z」 (by dendenmushi)
So-netとは別の、でんでんむしの作成した外部ページにおいていたものに加筆し、So-netブログの「でんでんむしの岬めぐり」の一部に収録しました。(2013/09/16)
(2013/09/16 記)