1002 竹の鼻=気仙沼市唐桑町竹の袖(宮城県)大沢ってどこよ?から始まってついに辿り着いた宮城県では最北端の岬 [岬めぐり]
地図と地名で悩ましいのは、よく使われているはずの地名が、地図には載っていないことである。ミヤコーが大沢線と呼ぶバス路線の終点は大沢だが、そういう地名は地図にはないので、計画の最初は大沢がどこかを探すことから始まった。
大沢って、どこよ? ミヤコーバスのホームページは、そもそも設計が良くなくてハンドリングは最低である。バスの路線検索や時刻表検索は、非常に使いにくくて困るが、この辺になるともう路線図そのものが、“探せない”のではなくて“存在していない”らしいのだ。
こういうときには、やはり住宅地図のMapionである。Mapionでは、間違いも多いけれど、一応バス停を表記しているからである。
また、国土地理院の電子国土の地図でも、字地名を全部収録しているわけではないので、たとえばこの竹の鼻の所在地である唐桑町竹の袖は表記がない。周辺の釜石下、港、出山、台の下、荒谷前がみんなあるのに、竹の袖だけ表記がないのは、どういうわけだろう。
出山の裾には処理場があって、ダンプカーが出入りをしていた。ロープがめぐらされたその外れには“瓦くず”とあるのも悲しい。瓦の下では、人々が暮らしていたのだから…。
大沢のバス停があるところは、出山につながる平坦部で唐桑町港の中心に近いところであるが、周囲に建物はほとんどなく、45号線から広く駐車スペースをとって奥まっているコンビニがあるだけだ。これは被災後にできたものだろう。コンビニと言えば、でんでんむし的には、せいぜい電池が切れていた、牛乳を買うのを忘れていた、とかで利用するくらいだったが、半径数キロ以内にほかに一軒の店もなさそうなここで、このコンビニをみると、スーパーも日用品店も食料品店も銀行窓口も、この付近の生活すべてをカバーしているようだ。
大沢の呼び名は、おそらくは釜石下と台の下の間を流れ来て、港に注いでいる青野沢川と、それがつくる河川敷のことではないか。その川も、大沢では名前負けしていそうな水量も乏しいものだが、護岸だけはしっかりしてある。これも復興工事なのだろうか。
そこから、海のほうを望めば、ふたつの出っ張りに挟まれた小さな入江と漁港があるが、港の周囲にあったであろう建物は、すべて土台だけを残してなくなっている。港では、新しい防波堤や岸壁の工事が行なわれている。
竹の鼻は、港の北側の出っ張りについた名前である。小山がくっついたように見えるが、竹林の上の凹んだところを道路が通っている。
そこから西に連なる山が、204メートルのピ−クをもつ県境の尾根である。この山の東南端付近には、地図にもちゃんと竹林の記号が記してある。やっぱり、竹が多いから「竹の鼻」であり、「竹の袖」なんですよ。
竹の山の下、やはり被害を受けたらしい神社があって、そこから上りになる自動車道を登っていく。皮肉なことに、この日のこのときだけはかんかん照りであった。大島では、霧も晴れて岬も見えていただろう。
道を上って行けば、竹の鼻の上に出るだろうという読みは、見事にはずれた。山を掘り抜いたような道路は、地図では崖の表記がない海側もまったく展望がなかったのだ。
途中には、例の津波到達点を示す標識も立っている。
ついでだし、帰るのバスの時間まで間があるので、宮城県と岩手県の県境まで行ってみるかと、またヘンな気を起こしてまったが、いかにも暑くて熱中症になりそうだ。
“岩手県 陸前高田市”の標識が見えるところまでで、もういいよ。引き返そう。
県境の道も高いところを走っていて、木々の間からやっと見えるのは、跳渡島で、遠くにあるのは陸前高田市の米ヶ崎付近であろう。
県境の山の北側には、地図では鉱山マークがついている。地図を拡大してみると、そこには崖で囲まれた窪地のなかに4つの丸い凹みがある。これは露天掘りの跡か。福伏鉱山というこれも石灰石の鉱山があったらしいが、とうに閉山になっているようだ。
立入はできそうにないが、地形的におもしろいので、電子国土の拡大地図だけ示しておこう。
竹の鼻の北にある泥這島も、山に遮られていて見えない。なんにも収穫がない足延ばしだったが、とにかく宮城県はここが北の端でお終いである。
▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
38.966121, 141.634732
東北地方(2013/07/04訪問)
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