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1000 松ヶ鼻=気仙沼市唐桑町堂角(宮城県)39もの字地域名に分かれている気仙沼市の「旧唐桑町」の町域 [岬めぐり]

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 気仙沼市の区域だけが、岩手県のほうに食い込んだような形になっていることは、先にも書いたとおりだが、改めてこの地域の歴史的経緯を振り返ってみよう。
 奥州藤原氏滅亡の後には、頼朝が奥州奉行として葛西氏(980 館崎の項参照)を派遣し、唐桑はその郎党であった阿部氏の領地となる。それからは葛西氏が豊臣秀吉に滅ぼされるまで、実に約400年の長きにわたって変化がなかった。
 関ヶ原後には、伊達政宗の仙台藩の一部となり、今度は伊達氏を領主として戊辰戦争まで268年続くことになる。戊辰戦争後の伊達処分のひとつが旧仙台藩領地の取り上げで、唐桑もそのなかに含まれた。
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 さて、問題はここからで、明治維新の廃藩置県では結構ヘンなことが多かったが、その典型のようになった。明治になってから1875年に宮城県が成立するまでの7年間に、桃生県、石巻県、登米県、一関県、水沢県、磐井県と変転が続いていたのである。
 1889年に町村制が施行されたときに、唐桑・小原木の二村が合併して唐桑村となり、唐桑町となったのは66年後の1955年のことである。
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 それからまた51年後の2006(平成18)年に、唐桑町は気仙沼市と合併して、現在に至る。それから3年後に、本吉町が気仙沼市に編入されるのだが、本来この合併協議には唐桑町と本吉町が両方入っていた。それが本吉町議会が合併議案を否決したため、そっちは遅れたわけだ。
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 本吉町の字地名が、律儀にいちいち「本吉町」をかぶせていることは、「986 明神崎=気仙沼市本吉町大谷(宮城県)とても数え切れない本吉町字地名の広い地域をBRTで走り抜けるところで」の項 でふれた。
 この、合併される旧町名を字地名に付けて残すという方法は、実は「唐桑町」のほうが先例となっていたのだ。
 本吉町では「とても数え切れない」と逃げていたのだが、今度は北から順にちゃんと数えてみた。これが、すごいよ!
 唐桑町竹の袖 唐桑町釜石下 唐桑町台の下 唐桑町港 唐桑町出山 唐桑町荒谷前 唐桑町舘 唐桑町岩井沢 唐桑町載鈎 唐桑町小田 唐桑町堂角 唐桑町大畑 唐桑町上川原 唐桑町境 唐桑町唯越 唐桑町只越 唐桑町高石浜 唐桑町石浜 唐桑町浦 唐桑町明戸 唐桑町馬場 唐桑町東舞根 唐桑町西舞根 唐桑町宿浦 唐桑町馬場 唐桑町北中 唐桑町鮪立 唐桑町上鮪立 唐桑町小鯖 唐桑町上小鯖 唐桑町中 唐桑町小長根 唐桑町欠浜 唐桑町中井 唐桑町松圃 唐桑町神の倉 唐桑町松圃 唐桑町津本 唐桑町崎浜 
 実に、その数なんと39。
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 この町の大部分が唐桑半島まるごとで、その北部の海岸寄り、岩手県陸前高田市との県境までが旧唐桑町である。リアス式の複雑なでこぼこ海岸線の唐桑半島では、山を越えるごとに、岬を回って入江や浜が変わるごとに、地名が変わったということなのだろうか。
 どこかで“巨釜半島”という表記を見たことがあるが、これは間違いであろう。どこからそういう間違いが起こったかと考えてみると、半島太平洋側の中間に「巨釜半造(おがまはんぞう)」という海岸と岩の景勝地があるからで、この名前が原因ではないか。そこは岬ではないので、今回の計画には入れていなかったが、半島西側北部の岬を積み残してしまったので、ここには改めてこなければならない。
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 巨釜・半造の北、唐桑半島付け根の太平洋側に、小さな入江があって、ここに松ヶ鼻がある。先端の岩島に松の木が何本も生えている、まさに絵になりそうな岬である。
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 半島の先端、御崎岬から松ヶ鼻まで、8.8キロにわたって岬の名がないのが不思議なくらいだ。
 前掲の旧町名を冠した字地名には、「唐桑町唯越」と「唐桑町只越」があるが、これは間違いではない。
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 気仙沼駅から陸前高田へ向かうBRTバスは、鹿折唐桑駅前を過ぎて45号線に入り、只越峠を唐桑トンネルで越える。トンネルを出たところで、45号線は二手に分かれ、ひとつはそのまままっすぐ霧立トンネルに入って行き、ひとつは谷を下って東の海岸へ向かう東浜街道。
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 海岸へ出たところ、T字路の手前が「只越」のバス停だが、そこは「唐桑町唯越」。
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 数十メートル先の道路を渡った自動販売機と簡易トイレのある前の海岸は「唐桑町只越」。なかなか曰くありげでおもしろいが、詳細は不明。
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 当然、只越も唯越も集落はすべて津波に流されて、作業場か工事現場のようなプレハブを除いて、建物はない。只越の山の斜面では、おおがかりな伐採作業が行なわれていた。
 「唐桑町堂角」にある松ヶ鼻の奥に、広田湾の海を越えて小さく見えているのは、岩手県陸前高田市の広田崎である。
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▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
38.933113, 141.643508
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dendenmushi.gif東北地方(2013/07/04訪問)

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