969 背負崎=神津島村鯖崎(東京都)船の来ない神津島港を背負って眺めるのが最適の岬 [岬めぐり]

背負崎(せおいざき)というのも、明らかに意味のある名だとは思えても、何を背負っているのかがわからない。まさか天上山を背負うには荷が重すぎるが、この岬の所在地は「鯖崎」という、それ自体でも岬を名乗っている。

天上山の最高峰571.6メートルのピークから、でこぼこしながらも一目散に下ってくる尾根が、西の海に突き出たところは、先端部に91メートルのぽっこり小山をもっている。周りをぐるりと断崖絶壁で巻いたその姿は、引廻鼻の高台に上る道からも一望できる。
ワゴンの村営バスは、港から神津沢に沿って上っていくこの神津本道は通らず、海岸際に沿った細い道を、くねくねと曲がりながら、大小いくつもの岩の出っ張りと、凹んだ小さな砂浜を拾いながら、北の赤崎へ向かって走る。その道の途中に、この背負崎がある。

岬のぽっこり山を背にするようにしてあるのは、神津島の温泉保養センターで、バスがあえて本道を通らないのは、この施設のためであろう。
温泉保養センターの南に弓なりになっている沢尻海岸は、キャンプができるというが、観光マップにはちょうどそのキャンプ場の位置に、「沢尻湾の黒曜石の結晶」という表記がある。
962項 と 963項 と、2項にわたって神津島の黒曜石についてとりあげた砂糠崎の項では、「この崖によじ登って採石するのは大変そうだから、どこか別のところに採掘に適した場所があったのだろう」と書いていた。
旧石器時代の人々が求めた、神津島黒曜石の採石場は、この付近だったのかもしれない。

背負崎を北正面にみる神津島港も、大島の元町港とまったく同じで、でんでんむしが島を訪問したときには、往復とも多幸湾からで、結局この西海岸の神津島港を使うことはなかった。
船のこない立派な乗船場の待合所は、閑散としてしていたが、待合所から岸壁の手前までは、風雨を除ける屋根も壁もある通路がある。

その途中には、いかにも溶岩という岩の盛り上がりがあって、その下が休憩ベンチになっていた。乗船直前の待つ場所なのだろうが、観光マップでは神木島と記しているので、もとはこの岩も港内の島だったのだろう。それが、港の拡張改修にともなって、岸壁の内側に取り込まれてしまったものだろう。


背負崎も、この付近から見るのが、順光になっていちばんよさそうである。かなり大きな白波が塊となって、岬や手前の岩場に押し寄せ、打ち付けている。

ドライバーお勧めのよっちゃーれセンター2階の食堂では、何を食べたのかもう忘れてしまっているが、地魚のなにかだったのだろう。


港の防波堤越しに、その建物が山の上にはっきり見えている神津島の宿「だいじんご」では、アシタバのアレンジをいろいろいただいた。そういえば、空港の西付近の畑では、アシタバを栽培している畑も目についた。野生ばかりが勝手に生えているわけではないのだ。
同じ便の「かめりあ丸」から降りた乗客が、みんなバスを利用するのかと思えばそうではなくて、むしろバス利用者は少ない。なにせ乗客はワゴン車一台ですむ程度なのだから…。
それでも、狭い島内、それもうろうろできるところは限られていて、船でいっしょだった母と息子の二人連れと、港の食堂でも赤崎へ行くバスでも一緒になった。

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34.222693, 139.128685




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