960 牛鼻=神津島村走る間(東京都)36もの字地名がある島に「かめりあ丸」は北東の崖から寄っていく [岬めぐり]
式根島の海驢立鼻から南南西に約9.9キロ下ったところにあるのが、神津島の牛鼻(うしばな)である。神津島はひとつの島でひとつの村を形成しており、約18.5平方キロの面積は式根島よりはだいぶ広いが、新島よりはだいぶ狭い。
村の人口は1,975人、873世帯が暮らすこの島は、北部の天上山(標高571メートル)を中心とした山岳部と、南部の秩父山(280メートル)のある地域に大きく分けられ、その間にあるくびれ部の西側に村落の中心が固まっている。西の神津島港と東の多幸にある岸壁が島の玄関口で、大島と似たような状況で、東西どちらの港に船が着くかは、その日の状況によって変わるらしい。
でんでんむしが訪問したときは、着くのも出るのも東の多幸湾からだったので、式根島を尻目に南下していく「かめりあ丸」は、島の北東にある牛鼻をめざして進んで行く。
まず、遠目に見えてくる神津島の姿は、特徴のある天上山が印象的だ。ハイキングコースとしても人気がある天上山は、山頂付近が広く、小さなでこぼこが多い台地のような格好になっている。山頂から西へはだらだらと山地が下っているが、東へは急傾斜から断崖へ落ちていく。
牛鼻は、島の北端というわけではないが、北の赤崎はちょっと西へ引っ込んでいるうえ、「かめりあ丸」の進路からいっても、神津島の最初の岬がここになるのだ。
200メートルもあるところから、急激に東の海岸に落ちていく牛鼻は、島の東海岸が、大きく南に向きにを変えるところで、海の上から見ると、ほぼ正面になるので、あまり岬らしく見えない。
船が観音浦のほうに下っていったところで、やっと岬らしく見えてくる。
牛鼻の字地名は、「走る間」という。おんや、おもしろい名前だなあ、と思って見ると、その隣は「お観音」に「宮塚山」になっている。「宮塚山」は利島にも新島にもあった山の名前だ。
電子国土では、神津島についてはほとんど字地名を記していないので、郵便番号サイトやMapionなどからそれを探ってみると、この島には36もの字地名があることがわかった。若郷と本村の二つしかなかった新島とは、えらく対照的である。
もっとも、郵便番号は全島いっしょだし、役場などがある前浜の集落の中心部の所在地は字地名がなく、地番で表示してあるので、ほかにはあまり人家もないことを考えると、日常実用面ではどうなのだろうか。
神津島の36の字地名のうち、12は「山」がついている。「沢」や「川」が7で、「島」や「浜」などの地形的な特徴を示すものが7。その他のなかに「走る間」や「葱の場」「面房」など変わった名前がある。
牛鼻という出っ張りの北半分が「走る間」でこれはどういう意味か見当もつかないが、南半分の「お観音」は、その浜が観音浦といい、国土地理院の地図では卍マークと天上山からそこに下る点線が示してある。観音堂があればその屋根くらい見えるのではないかと思ったが、それも見つけることはできなかった。
神津島の字地名には、なにか由来というか、背景となる理由があるのだろうと思われるが、どうも調べてみてもよくわからない。山の名が多いのは、やたら大小のでこぼこが多い島の地形によるものだろう、というくらいの推測はできるとしても…。
▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
34.231063, 139.170082
関東地方(2013/03/23〜24訪問)
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