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942 小口崎=大島町岡田(東京都)1キロ以上にわたる長い断崖が岡田港の南の堤防の役目を果たしている [岬めぐり]

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 “小口(こぐち)”といえば、出版編集の用語である。といっても、いかにも業界用語然とした隠語らしいところやひねりはなく、普通のことばと同じ、そのまんまである。金額や量の少ないことや、始まり端緒の意味もあるが、切断面のことをさす意味で、普通一般に使われることばでもある。
 本の切断面といえば、綴じていない三方ともそうなのだが、上と下にはそれぞれに“天”と、“地”という言い方があるので、“小口”というときはもっぱら背の反対側のページが開くほうをさす。
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 乳が崎と風早崎の南東側に連続してある小口崎は、前二者に比べるとこれといった特徴もない。ただ、岡田港の奥まで1キロ以上にわたる長い断崖をともなっていて、岡田港の南の堤防の役目を果たしている。
 この崖の上にはゴルフ場があるらしい。そのゴルフ場は、小口崎の西から岡田港の上まで長々と横たわっているらしいが、港のほうから見るとただ崖だけが目立っている。この岬と崖があるので、西寄りの風が強くて元町港が使えないときでも、常に岡田港が大島の玄関口たりうるわけだ。
 この崖の切断面が、長く目立つところから、岬の名が生まれたという見方もできよう。
 また、小口の古い使い方には、「城などの要衝にある出入口」という意味もあるので、この場合の小口崎という命名も、どうやら“港の入口、要所である港の始まり”といったニュアンスが込められているとみてもよかろう。
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 三原山展望台からの小口崎は、331メートルの大丸山の斜面に半分隠れるようにしている。この大丸山の裾野半分くらいまでは元町で、その向こうが岡田。
 大島町岡田という地域は、大島の北側の端っこをカバーしていて、西海岸の北端の一部と大島空港の5分の1くらいもかかっていて、東は秋の浜トンネルまで。三原山の溫泉付近まで岡田の領域が細く差し込んでいるのは、やはり三原山山麓の入会権などの関係だろうか。
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 岡田港のそばにはほとんど平地がないので、港の旅客待合所周辺には土産物屋などいくつかの店はあるが、岡田の集落の中心はここから一方通行の坂道を登った上のほうにあるようだ。
 もともと島の中心街は、岡田ではなく元町のほうなので、岡田は港があればそれでいいのだ。
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 貨客船は常に岡田港が寄港地と決まっているが、高速ジェット船はその日岡田港か元町港かどちらの港に着くかは、当日の朝にならないとわからない。その日の朝の天候状況によって、朝8時までに東海汽船から発表され関係各方面に通知される。
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 したがって、岡田港と元町港の間を大島空港入口を経由して、北海岸と西海岸を結ぶ島の北部の幹線道路は、いつも“品川ナンバー”の車が右往左往の忙しさになる。
 たまたま、大島に一泊、翌日は神津島に一泊の行程で訪れた今回は、西風が強く、熱海からの往路も岡田港、復路も岡田港から熱海へと、なった。貨客船のかめりあ丸は岡田港から出て神津島に向かい、帰りも岡田港なので、結局元町港は一度も使うことがなかった。
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 岡田港に入る前、風早崎を過ぎて、小口崎がその長々とした姿を見せるころには、風はほとんど感じなくなっている。
 60メートルも高度のある岬の丘が帯のように港の西に延び、岡田港はそれに守られて北西風が強く吹き寄せるとき以外は、いつもだいたいは穏やかである。
 こういった話は、各地でもよくあることだが、平凡なこと、聞いてみればなんだそんなことかというようなことこそが、深く生活の基になっている重要な真実である。
 天候、それも主に波浪の影響をもろに受ける島の暮らしは、そうしたことで多くが成り立っているに違いない。
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▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
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dendenmushi.gif関東地方(2013/03/21訪問)

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