928 荒崎=瀬戸内市牛窓町牛窓(岡山県)緑島の隣が黒島で岬をまわると向こう側には青島と黄島とが隠れている [岬めぐり]

前島と牛窓の間は、前島フェリーが比較的頻繁(日中はだいたい30分ごと)に片道約6〜7分で往復している。徒歩の旅客はあまり多くなさそうだが、往復運賃は240円也。小型車両のそれは800円だそうである。

この渡船カーフェリーを運営しているのは、社団法人牛窓町緑の村公社で、ほかにも環境緑化事業レクリェーションとかスポーツ資源の開発利用に関する事業などを市から受託している、いわゆる第三セクターのようなものだろうか。

牛窓の岸壁から、目の前に前島の港も見えている。荒崎は、前島の最西端で、フェリーの港からすぐ300メートル南に、平べったく丸く飛び出している。岸壁の位置によると、荒崎とその先に並ぶ黒島とがかぶって、ひとつのようにつながって、細長い岬のように見えることもあるが、荒崎と黒島とは500メートル離れている。
そして、黒島の西に続いて、中ノ小島、端ノ小島、さらに百尋礁という小さな無人島と岩礁が並んでいる。地図ではこれらの島は砂州で囲まれているので、干潮時にはつながってしまうのだろう。

牛窓の町から見たとき、これらの島がいつもすぐそこにあるのは、印象的ではある。その島の後ろには、晴れた日には小豆島がすぐそこに見える。
さらに、牛窓港からは前島の陰に入って見えないのだが、この向こうには青島と黄島が隠れている。
さては、これらの島々の存在が、牛窓をして“日本のエーゲ海”を名乗らせることになったものだろうか。

人口200に足りない前島は、民宿やペンションなどリゾートもあり、キャンプや釣りに海水浴に潮干狩りの島として親しまれているらしい。また、自然林が多く残されているという前島には、緑島という別名もあるというから、そうなるとそこらに“赤島”が欲しくなってしまう。
これらの島のうち、黒島や黄島には貝塚があり青島からは土器石器も出土し、また黒島と本土側の牛窓天神の丘には、前方後円墳まであるという。しかし、それならばいちばん大きな前島にはそうした遺跡がなにもないのは、いったいどうしてなのだろうか。

この地域はまた、仲哀天皇や神功皇后の三韓征伐にからむ伝説の地でもあるから、古代人の生活力というか、その活動力の強さと範囲の広さに、いまさらのように驚いてしまう。一方にそれを強いる強権があったことは事実だが、それだけではないなにか(独自の信仰に似た)も、常に生活の背景にあったのではないか。
遺跡などを見ると、いつもそう思ってしまう。

黄島は、神慈秀明会という宗教団体の所有で、青少年育成を目的としたキャンプなどが行なわれる施設があるらしい。また、青島は、学校法人関西学院の所有する夏季キャンプのための無人島である。
そう聞くと、黄島と青島が前島の陰に隠れていて、牛窓からは見えていないのは、かえってお互い好都合なのかもしれない。
邑久駅から牛窓へくる間にも、黒住教の大きな宗教施設があるのを見かけたが、信仰のうえでも備中備前は特筆すべきかもしれない。
“幕末三大新宗教”といわれるものに、黒住教と金光教と天理教があるが、このうちの二つまでが岡山で生まれている。

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タグ:岡山県
瀬戸内の島々、関東に住んでいるとこうした風景には
なかなか巡り会えないので海岸線を巡るのも楽しいですよね。
by ぱぱくま (2013-03-31 11:11)
@ぱぱくま さん、そうですね。東京湾岸も海岸線なのだけれど、海が遠くて水が汚いのがちょっと困りますね。
by dendenmushi (2013-04-01 19:56)