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916 松ヶ鼻・タタリ鼻=備前市日生町日生(岡山県)思いがけない人と地域の結びつきに遭遇したりするのもおもしろい [岬めぐり]

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 瀬戸内海は、いわゆる多島海のひとつである。“多島海”のイメージといえば、海が広く開けて遠くに小さな島々があちこちに点在する風景を思う人は、きっと多いだろう。それは、塩飽諸島や芸予諸島や防予諸島、それに瀬戸大橋やしまなみ海道周辺の島々などが代表している。
 鹿久居島、頭島、鶴島、大多府島、曽島、鴻島、それに長島まで含めると、日生諸島あるいは備讃諸島とも括られる、この付近も立派な多島海なのだ。だが、ここの特徴は、本土から非常に近いうえに、島と島の間隔も比較的狭く固まっている。
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 このため、海は狭い。出口は見えない。山は迫る。島は重なり合い、本土の続きのようにしか思えない。
 日生駅や日生湾を中心とするところが、旧日生町の中心だが、2005年の合併で備前市になっている。楯越山という小山がせり出しているので東西二つに分かれた港からは、小豆島や日生諸島への連絡船が発着している。
 その西の港の岸壁から南に見える右手の出っ張りが松ヶ鼻で、もう少し先で左手に飛び出ているのが鹿久居島の西端にあたるタタリ鼻。
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 かきの養殖も盛んな湾内は、島々に囲まれて外海の影響を受けず、海面は静かで、船もたくさん賑やかに出入りしているようだ。
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 説明が遅くなったが、バスの車窓からの写真に青いのとそうでないのとがある。これは、バスの窓ガラスのコーティング?がしてある横窓から撮ったものと、正面のフロントガラス越しに撮ったものとの違いです。
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 このときは、どんよりとした曇りなので、海の色も映えない。
 松ヶ鼻の手前には、湾頭というめずらしい名の集落があって、そこから松ヶ鼻を回り込んで南に行くと、ヨータイ日生工場がある。ヨータイ? そう、寒河のバスの始発停留所である車庫付近に、社宅があるって書いていたでしょう? あの社宅は、この工場に勤める人のためのものだったようだ。
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 大阪窯業耐火煉瓦株式会社というのが、現社名になる前の名前で、しばらく関西にいたこともあるでんでんむしは、大坂窯業として知っていた。
 知らなかった(というか忘れていたのか、意識になかったのか?)のは、眉村卓氏は大阪大学を出てすぐ大坂窯業に入社し、この日生工場に勤務し、寮生活を送っていたこともある、氏にとって縁の深い場所であるということだった。
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 彼が2011年に山陽新聞のインタビューで語っているところによれば、その作品で描かれている地方の小さな町のモデルというか、下敷きになっているのが、日生で過ごした時代の記憶なのだという。
 その名前を、つい先々週くらいに朝日新聞でみたのは、「ねらわれた学園」など学園ものがまた人気になっているということだったが、その前には氏の愛妻物語が有名になっていた。ガンで病床に伏す妻に、自分にはこれくらいしかできないからと、一日に一話ずつのショート・ショートを書き続け語り続けたという、泣かせる話だった。これは映画にもなったらしい。
 若い頃から句作にも熱心だった氏は、近年では初の句集も出版したりしている。だが、古いSFファンをもって任じるでんでんむしとしては、本格SFから彼が遠ざかって久しく、寂しく思っていた。
 やはり、眉村卓といえば、アイザック・アシモフの「ファウンデーションシリーズ」と二重写しになる「司政官シリーズ」なんだけどなあ…。光瀬龍などとともに、大作を書いていた頃が懐かしい。
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 ヨータイ日生工場は、狭い水道をはさんで曽島と向かいあい、日生の町からは完全に隔離されたような、海と島しか見えないような立地にある。
 村上(本名)青年がここで働いていたのは、実はたった1年ほどしかないのだが、それがずっとその後の彼の作品のなかで、“心の古里”として、バックグラウンドとして生き続けている。それもまた、すごいことなのだ。
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タグ:岡山県
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