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914 掛ノ鼻=備前市日生町寒河(岡山県)品川白煉瓦工場と瀬戸の写真は撮り損ねこの鼻も岬らしくないただの直角カーブ [岬めぐり]

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 …てなわけで、福浦峠をJR赤穂線の福河トンネルで越えて、いよいよ播磨国から備前の国に入ってきた。トンネルのほうは福浦の「福」と寒河の「河」を採っているのに、峠のほうが播磨側の福浦の名を採っているのは…と一瞬考えた。だが、福浦地区がもともと備前であったなら、それも自然のことだった。
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 天和駅から二駅目の寒河(そうご)駅は、いかにも町から遠く離れた山の中のように思われたが、駅から少し北に出て小さな川の橋を渡ると、国道250号線の通りに出る。寒河中というバス停があるので、そこで峠寄りの始発バス停である寒河車庫からやってくる日生(ひなせ)線の備前バスを待つ。
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 ここからは、バス路線も神姫バスから備前バスや両備バスのエリアになる。やはり、県境を越えるということは、いろんなことが変わるということだ。
 交通安全を祈って立つお地蔵さんのわきに、「ありがとうございます」の標識が並んでいる。ほんとうに、いろんなことにありがとうございます、の気持ちになる。
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 やってきた備前バスは、片上行きである。ここからは海岸に出て、日生を通り、片上大橋まで行きたいので、そこに近いバス停で降りてみたい。バスの運転手さんにどこで降りたらいいかを尋ねると、親切ていねいに橋への道順などあれこれ教えてくれる。ほかに乗客がいないときのドライバーは、気さくになるものらしい。
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 その道順は重要なので、懸命に把握しようと聞いているうちに、バスはあっという間に日生運動公園前を過ぎてしまった。おっと、いけない。ここからは東の車窓から、うちわだの瀬戸といわれる、真尾鼻方面の水道を撮っておかないといけない。急いでデジカメを構えてシャッターを切るが、ちょっと遅かった。鹿久居島との間の狭い水路に面して、品川白煉瓦の工場があったはずなのだが、車窓からみえたかどうかも…。
 しまったと思う間もなく、すぐにバスは掛ノ鼻を通り過ぎてしまう。
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 別に、その工場に格別の思い入れがあるわけでもないのだが、先にもこの地域の特色として、窯業炉材関連の会社や工場が多いと書いていた。それは、ひとえにこの地域の地質の特徴によるものであろう。この業界に欠くことのできないのが良質の耐火粘土で、この地域に関連工場が集中しているのはその産出地が近いからだろう。また、このバスの始発近くには耐火物やファインセラミックス関係のヨータイという大坂の会社の寒河社宅というのもあった。
 品川白煉瓦といえば、この業界ではいっぽうの旗頭ともいえる会社なので、これを見過ごしにはできないと思ったのだ。写真は撮れなかったが、ちょっとこの会社についてふれておきたい。
 なぜ「品川」というかは、明治の初めに創業したのは芝浦、その後に深川を経て、1887(明治20)年に品川に工場を移転して品川白煉瓦製造所を名乗ったからである。
 この会社のことは、割と昔から名前だけは知っていたのだが、現在では品川リフラクトリーズ株式会社に社名が変更されている。それは、つい数年前に、JFE炉材株式会社を吸収合併してからだった。
 地図も、こうした企業のめまぐるしい変遷に対応していくのは、大変なので当分は旧社名のままになるのだろう。
 今回、この会社のホームページで、本格的に耐火煉瓦の製造を始めたいきさつが、“文明開化の象徴である「瓦斯燈」のためのガス発生炉用耐火煉瓦を国産品で賄うため”と述べられていて、意外なところにオリジンがあったと知って興味深かった。
 辰野金吾などが設計した旧東京駅の赤煉瓦は、その“全量を品川白煉瓦が納入したもの”だとも書いてあった。おやっ?と思ったのは、それまでの常識として、東京駅の赤煉瓦は渋沢栄一がらみで埼玉県深谷市の日本煉瓦製造で焼かれたものといわれていたからだった。
 これも調べてみると、深谷の煉瓦は構造用なので壁の中に使われていて、数量はいちばん多いが、表面に見えている煉瓦は品川白煉瓦や大阪窯業の製品だったという。
 東京駅といえば、近頃建て替えられたばかりである。屋根の瓦は、震災復興を願いつつ、 被災地石巻市の雄勝(ここの岬もあり) の瓦が使われた。では、新しい東京駅の煉瓦はどこでと問えば、なかなか答えが探せない。赤煉瓦の東京駅について書かれた情報はゴマンとあるのに、みな煉瓦製造元には関心がないらしい。それでも、LIXILとか、常滑のアカイタイルといった名前がなんとか出てきた。近頃では、一社ではなく数社が分担するのが普通なのだろうから…。
 ついでながら、耐火煉瓦の役割で重要なのは、鉄鋼関連の工業炉に幅広く使われていることでもある。
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 掛ノ鼻は、先端が埋立てで拡がっているが、そこにGSの建物などが建っていて海も見えず、写真としてはただの直角カーブで、まったく岬らしいところがなかった。

▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
34.735671, 134.292265
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dendenmushi.gif中国地方(2013/02/05訪問)

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タグ:岡山県 歴史
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