SSブログ

番外:九州国立博物館=太宰府市石坂4丁目(福岡県)なんかすごく魅力的なこの世界…Viva! Museum! [番外]

dazaifukyukoku03.jpg
 「博物館」というものに初めて行ったのは、中学校の修学旅行での奈良国立博物館と京都国立博物館をもって初体験とするが、このときには館内の展示物などの印象は、ほとんどない。次から次へお寺を回って、たくさんの仏像を見せられ、その合間でのことだったから…。
 高校の修学旅行では、ある程度興味というものも芽生えているので、東京国立博物館は楽しみだった。そこでいちばんのインパクトは、前にもどこかで書いたかも知れないが、小さな金印もさることながら、壁いっぱいに掲げられた巨大な伊能図だった。
 その後、上野の東京国博には何十回と行っているが、このところあまり行けないでいる。近年のお気に入りの場所は、法隆寺館である。ここは、門を入って左の隅の方に奥まっているせいか、訪れる人もまばらで、誰もいない小さな飛鳥金銅仏を載せた黒い四角柱が何十本も林立する空間は、なんともいえず気に入っているのだ。
dazaifukyukoku02.jpg
 九州国立博物館が、太宰府天満宮裏の丘の上にできたのは、2005(平成17)年秋のことで、以来一度行きたいと思いつつこれが初訪問となった。
dazaifukyukoku10.jpg
 天満宮参道の商店も、まだシャッターを開けていない早朝、付近の学校へ通学する生徒の姿がある。菊花展もやっている境内に入ると、ここももう高校生くらいの群れがうようよしている。
dazaifukyukoku08.jpg
dazaifukyukoku07.jpg
 まだ人が少ない早朝を狙って、来ているのだろうか。ハングル文字の横断幕をもって、団体で記念撮影をしているのもいる。蒙高麗の兵士はここまで攻めてこられなかったが、韓国の高校生は修学旅行で大挙して押し寄せてきている。
dazaifukyukoku09.jpg
 “九州に博物館を”という運動は、1893(明治26)年に当時の太宰府天満宮宮司が計画した(日清戦争で頓挫)ことに始まり、その後、岡倉天心が古来日本外交の要衝となってきた九州に歴史研究のため、九州博物館が必要との主張を展開していた。だが、その実現には随分の年月を要したものだ。
dazaifukyukoku11.jpg
 開館から7年後の2012年には、入場者数が1000万人を突破したという。
 岡倉天心の意図通りかどうかは知らないが、いちおう歴史や大陸や半島とのつながりは意識されて設けられたらしいのが、4階の文化交流展示室である。
 博物館は、貸し会場や美術館ではない。ところが、最近ではどこでも外国から借りてきた目玉イベント展開催や特別展で人集めをしたがる傾向が強い。
 このときも、開館前の寒い風が吹きつける玄関前に並んだのは、ほとんどが3階で開催中のフェルメールが目的だったらしい。つまり、博物館目当ての来場者よりも美術館目当ての退場者のほうが、はるかに多かったのだろう。
 各地方にまだハコモノがなかった時代には、だいたいこういうのはデパートの催事会場でやっていたりしたものだ。
 独立行政法人として、数字を上げて実績づくりが求められるからなのだろうか。が、本来は美術館とは違う使命をもっと追及すべきで、いつ行っても見られる常設展示こそが重要である。岡倉天心のいうように、九州ならではの切り口は、汲めども尽きまい。
dazaifukyukoku05.jpg
 ただ、数多い収蔵物を展示するためには入れ替えも必要で、ここではそれを兼ねた常設展の企画展みたいな形がとられているようだ。毎回テーマが変わって、新しくなる常設展示が狙いなのだろうか。どうも、それが九州国博の特徴らしい。はまればおもしろいが、窮屈さも感じる。
 ちょうどこのときは、「古事記完成1300年記念特別公開」と銘打って『古事記伝と九州の国学者』という、かなりマニアックなテーマ展示があった。だが、丸々4階全体がそう、というわけでもなさそうだったが…。
dazaifukyukoku01.jpg
 最近の博物館・美術館は、どんどん暗くなっている。ここも、かなり暗いうえに、各仕切られたスペースごとに、黒っぽい服を着た係員がその暗さに溶け込んでいる。流行の映像展示もいくつかある。東京は解禁になっているのに、あいかわらずカメラは全面禁止なので、せっかく国博に来ても、建物の外と、ミュージアムショップや博多山笠のエントランスくらいしか撮れない。それになにより、九州らしさが期待したほどではない。
dazaifukyukoku04.jpg
 東京国博の常設展示のようなものを、なんとなく想像してきたので、そんなこんながいろいろとは感じられたのだが、なかなか状況を納得するまで、時間がかかってしまった。第一、「文化交流」というネーミングが、かなりわかりにくくしているなあと、思ってしまう。
 この項を書く段になって、初めて九州国博のページを見たら、こんなことが述べてあった。
 
 文化交流展示室では、時代別の5大テーマに分けて、1500平方メートルの基本展示室と11の関連展示室を使って、常に展示替えをしながら、常時、展示を行っている。つまり、小さな特集陳列の集合体が文化交流展示であり、何度、来館しても、新鮮な文化交流史が分かるような切り口を提案したいと思う。これは他の博物館では行っていない初めての試みであるし、だからぱっと見ただけでは意図が伝わりにくい。したがって、この展示室を本当に楽しむための手がかりが必要だ。
 
 確かに、もっと近くにいれば、入れ替えの都度、毎回来ても楽しそうだ。だがそれには、ある程度そのテーマについて“勉強”するつもりで行かなければならないし、遠くから来るに人間には、やはり九州らしい常設展示も欲しい気がする。
dazaifukyukoku06.jpg
 そもそも、日本で「博物館」という用語をつくったのは、1861(文久元)年、幕府の遣欧使節の随行員が、目録にある「British Museum」の訳語としてあてはめたのが最初だという。
 では、「博物」はどうなのだろう。“あまねくさまざまなもの”という意味のはずだが…。これは?
 また、一般に「博物館」(Museum)とはなんだろう。Museumというからには、もともとはミューズの神の神殿のようなイメージなのだろうか。
 ではまた、「博物学」(Natural History)とは、大プリニウスの残した「博物誌」(Naturalis Historiæ)とは、という問いと並べてみても、現実の博物館の姿との乖離は大きくなるばかりで、ますます混沌としてくる。
 外国ではNatural History Museumというのが多いが、するとこれは「博物学博物館」なのか。それもわからんやろというので、日本ではNatural Historyを「自然史」と直訳することにした。その意味とは、広義の博物学そのものを示すもので、つまりは「自然科学一般」ということになる。あれ? かなり違ってきたぞ。
 ほらね。たったこれだけで、もう充分日本の博物館イメージがこんがらがってきたでしょう。書いてる方も、思っていることを書き出したらもうキリがないうえ、ますますこんがらがってくるので、たわごとはいいかげんに切り上げておいたほうが身のためだ。とにかく、キュレーターはじめ、みなさんの努力に期待しておくことにしよう。(どういうまとめなんじゃ)
dazaifukyukoku12.jpg
dazaifukyukoku13.jpg
 何十年か前には、都府楼跡と水城を見るためにやってきたことがあった。今では、住宅やビルが隙間なく埋め尽くしているので、水城が長い堤防のように横たわる昔のような風景はもうないようだ。
dazaifukyukoku14.jpg
dazaifukyukokuM2.jpg

▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
33.520645, 130.535549
dazaifukyukokuM.jpg
dendenmushi.gif九州地方(2012/11/01訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ
タグ:福岡県
きた!みた!印(34)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 34

コメント 4

ハマコウ

博物館には見えないような建物ですね
博物館 それぞれで 最近展示が工夫されてきていると感じます
「入館者増」を行政から期待されているのか 大変だなあとも思ってしまいます
by ハマコウ (2013-01-26 06:37) 

johncomeback

博物館、大好きです。
2年前に大宰府に行きましたが、近くに博物館が有るとは
知りませんでした。う~ん、後悔先に立たずですね。
by johncomeback (2013-01-26 17:28) 

dendenmushi

@最近の建築は、なかなか凝っていますからね。昔のように西洋建築をまねたりもしませんしね。建築家が誰だったか、調べるのを忘れておりました、
エントランスに入ったところで、六本木の国立美術館を連想しました。
by dendenmushi (2013-01-27 21:26) 

dendenmushi

@せっかく大宰府に行ったのに…。それは、残念でしたね。東風ふかば、また思い出してください。この頃は、小さなミュージアムが随分増えてきましたね。
by dendenmushi (2013-01-27 21:31) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました