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877 出来澗崎=茅部郡鹿部町本別(北海道)蝦夷駒ヶ岳の山麓に出来た町でただひとつの岬もその噴火で出来た [岬めぐり]

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 鹿部町は亀田半島の北、駒ヶ岳の南東山麓に広がる町である。茅部郡としては、南茅部町が函館市に編入されたので、次に訪れる北東から南にかけて山麓の広い地域をもつ森町との二町のみである。鹿部町のホームページのトップには、「防災情報」として火山情報の常設欄があるように、駒ヶ岳噴火で繰り返し降灰などの被害を受けていて、最近では2000(平成12)年に小噴火があった。
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 鹿部ロイヤルホテルでゆっくり温泉に入ったあと、ロビーでコーヒーをいただきながら、晴れるのを待っていたのだが、この日ずっと降り続けてきた雨も、ようやく夕方になって止み、海側の雲は急速に動いてきたようだ。
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 ホテルの屋上には、展望室が設けられていた。そこに登ってみると、ガラス張りの部屋と屋外テラスがある。鹿部町とは切っても切れない深い関係が続いてきた駒ヶ岳の山頂は、まだ厚い雲の中にあったので、北側のスロープの一部が見えるのみだったが、東に噴火湾に向かっている出来澗崎のほうは、きれいに晴れてきた。
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 出来澗崎は本別漁港の防波堤の反対側にある岬だが、周辺は深い森に包まれていて、厚い緑の中にある。スロープの上の方にあるホテルの屋上からは、見ることができなかったが、森の中にはひょうたん沼などの湿地帯があり、その東の海岸はやはり激しい地殻変動が生み出した断層が、海岸線を形成しているはずだ。
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 晴れたといっても、対岸をおおう雲は厚く、室蘭のチキウ岬が見えるほどではない。30キロという距離では、展望は天候に大きく左右される。展望室のガラスには、よほど条件が揃ったときの対岸の山々などが示してあるがり、運がよければ有珠山や昭和新山もここから眺めることができるのだろう。
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 出来澗崎の南東側には、黒羽尻崎付近からの海岸段丘を示す出っ張りがあり、手前の森の中には、民間空港では日本最大級といわれる鹿部飛行場もある。定期航空路があるわけではなく、民間の軽航空機、ヘリコプター、グライダーなどに利用されている。大阪の柏原にいたとき遠く八尾の飛行場から飛び立つ軽飛行機などを見ていたものだが、そこと同じ会社が経営しているようだ。
 函館バスの鹿部営業所からホテルまで、迎えの車で通ってきた道は北海道らしくまっすぐで、クロマツの林もあったりしたが、原生林も広がるスロープの間には、ゴルフ場や別荘地もある。
 こどもの頃、ラジオの講談で聞いた「寛永三馬術」。間垣平九郎が、江戸は芝愛宕山(ラジオ時代初期のNHKがあった)の男坂を馬に乗ったまま上り切って、梅花を手折ってきて徳川将軍家光に献じたという話である。その話は、1634(寛永11)年の故事なのだが、それから6年後の寛永17年に、ここの駒ヶ岳が大噴火を起こしている。
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 このときの爆発で、駒ヶ岳から大量に噴出した溶岩や火砕流が流れ出して現在のスロープをつくり、その先端が出来澗崎を生み出した。内浦湾に落ち込んだ火砕流は、津波を引き起こした。丸い湾岸一帯に大きな被害を出し、さらには熱い火山灰が厚く堆積して、その加重で再び溶けて固まり、出来澗崎海岸の溶結凝灰岩を残したものだという。
 火山と温泉はつきものだが、亀田半島と松前半島を含む渡島半島一帯には、温泉があちこちに数多くある。“駒ヶ岳”という名の山は全国に数多いので、北海道駒ヶ岳とか、蝦夷駒ヶ岳と呼ばれることもある駒ヶ岳のほか、恵山や渡島大島という活火山がある。
 対岸の有珠山なども併せて、「噴火湾」は現在進行形であることに、改めて気づくのである。
 遠くながらも出来澗崎がきれいに見えたのは、このときだけで、翌日の朝はまたどんよりとした雲の下にあった。
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▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
42.076484, 140.801927
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dendenmushi.gif北海道地方(2012/09/04〜05訪問)

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タグ:北海道
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