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876 黒羽尻崎=函館市岩戸町(北海道)中空土偶も縄文遺跡も間欠泉もすべての訪問予定候補地をすっ飛ばし… [岬めぐり]

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 亀田半島の北側の海岸線は、噴火湾の名で通りがいい内浦湾の入口にあたるところで、対岸は室蘭付近になる。
 椴法華の銚子岬から鹿部にかけて、一帯の岬を順にめぐってきたが、断崖と岩の露頭が目立っている。この長く続く崖は、いわゆる海岸段丘である。段丘の規模としてはそう大規模でもないのだろうが、噴火湾の海底での火山活動による隆起によって、こうした段丘ができたと考えられる。また、一方では海水面の大幅な上昇もあったようだ。
 その形成時代は地質年代でいう新第三紀から第四紀にかけての、2,300万年前から258万年前までの時代で、中新世と鮮新世に分かれている。随分と幅があるのでなかなか実感はしにくいが、地質年代とはそういうものだろう。新第三紀の後に続く第四紀は、259万年前からの更新世、1万1,700年前からの完新世から現在までで、この時代に現在の弧状の日本列島の形ができたとされている。
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 人類が登場してからの年代も、現在のわれわれにとってさほど身近なとはいいにくいが、縄文時代は今から約1万6,500年前から約3,000年前の時代である。これを地質年代の尺度に当てはめてみると、更新世末期から完新世にかけてということになり、世界的な人類史の区分でいえば、これが中石器時代から新石器時代にあたるわけである。
 こんなことを書いているのも、この付近の崖や岩など大地がどのようにしてできたか、それと人とのかかわりがどうできてきたか、もっぱら自分の理解のために整理しておくためである。
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 相変わらず激しい雨が降り続く278号線の豊崎トンネルを越えると、大船町になり、バス停は「大舟」となっている。ここから山手に少し入ったところが、縄文遺跡のある場所で、そこには電子国土の地図でも“大船遺跡”と∴マークがつけられている。雨さえ降らなければ、ここも訪問してみたい場所の候補地のひとつだった。
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 先に紹介した南茅部のサイトには、「大船遺跡見学ガイド〜縄文のにわ・縄文の森」というページ もあった。

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 そこには、「『北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群』として,世界文化遺産への登録を目指しています。」という文言があった。
 確かに、“北海道から北東北の縄文遺跡群”というとらえかたは、一理あると思った。
 大船遺跡からさらに北西に8キロほど走ると、岩戸町の黒羽尻崎である。岩戸町には3か所くらいの道から海岸にはみ出した出っ張りがある。その三番目が黒羽尻崎らしいので、一応トップにもってきたが、正直いってこれがそうと自信をもって特定がしにくい。なので、いちおうほかのもその雨の岬の様子をあげておくことしたい。
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 岩戸町は函館市の北端にあたり、黒羽尻崎を過ぎれば、茅部郡鹿部町との境界線を越える。そして、恵山から鹿部まで長く43キロにもわたって続いてきた海岸段丘も終わる。
 鹿部にも温泉があり、間欠泉もあるので、これも絵になる風物なのであるが、函館バスが終点の鹿部営業所に着いたときにも、雨は風を伴って激しく降っていたので、それどころではなかった。
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 そんなふうにして、臼尻から大船、鹿部にかけての訪問予定地を全部すっ飛ばして走ってきたので、だいぶ早く着いてしまった。が、こうなればとにかく予約してある「鹿部ロイヤルホテル」に行って、温泉にでも入るのが上策だろう。
 亀田半島の北部に当たるところに、標高1,112メートルの駒ヶ岳がある。函館本線は、この大きな独立峰の西側を走っているが、もうひとつ大沼からこの山を大きく東に迂回する線路もある。これも同じ函館本線だが、砂原回りという。
 鹿部の町の中心部とJR函館本線の砂原回りの鹿部駅とは、6キロ以上は離れていて、駅からホテルまでは900メートルほどだ。駅まで行くバス路線もあるにはあるが、営業所で聞くと次の便は2時間後だという。それまで、こんなところでこういう状況で待つのはあまりにも辛すぎる。タクシーを呼ぼうと思って聞いたら、なんとこの町にはタクシーがないのだという。
 さて、困った。どうしようと、吹き込む雨を避けながら思案していると、バス会社の事務所の人が、「お客さんロイヤルに泊まるんでしょ? それなら言えばここまで迎えに来てくれますよ」と教えてくれた。ここまで、ホテルの迎えがきてくれるのならなにも問題ない。こういうときにしか使うことのないiPhone(今回は前日もせたなでタクシーを呼ぶのに使ったな)で、さっそくホテルにお願いする。
 ロイヤルに泊まる客というのが容易に推測できるのも、この付近ではほかに宿泊施設があまりないからだろうか。似たような状況になる客も、多いらしいということだ。ともかく、雨をついて迎えのワゴンがきてくれて、ゆっくりと温泉に入ることができた。ワゴン車は北海道らしいまっすぐな道ときれいな森のなかを延々と走り、鹿部の町からはどんどん遠ざかって行く。
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▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
42.00717, 140.871358
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dendenmushi.gif北海道地方(2012/09/04訪問)

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タグ:北海道 歴史
きた!みた!印(35)  コメント(6)  トラックバック(0) 
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きた!みた!印 35

コメント 6

Extra-Low

こんばんは。

亀田半島シリーズ、一気に読みふけりました。
懐かしい景色と地名だらけで興奮しちゃいました^^;

毎年、日高・十勝と渡島をセットにしてドライブしていましたが、
今年は渡島側へ行けてませんので、正月にブラり旅してきます。
by Extra-Low (2012-11-20 21:05) 

ねじまき鳥

すごい雨ですね。
遺跡の宝庫ですね。
by ねじまき鳥 (2012-11-20 22:02) 

dendenmushi

@Extra-Low さんは、てっきり日高の方かと思っていましたが、日高へは出かけて行くんですね。
渡島へ行かれるのでしたら、恵山の温泉もいいですね。もう行ったといわれるかな。いちばん端っこですが…。
by dendenmushi (2012-11-21 07:08) 

dendenmushi

@ねじまき鳥 さん、そうなんですよ。ちょうどこの南茅部の海岸をバスで通っているときが、いちばんすごくて…。
北海道にこんなに縄文遺跡が多いんだ、と今回実感しました。
by dendenmushi (2012-11-21 07:12) 

Extra-Low

こんばんは。

恵山周りは山頂含めてだいたい走り回っていますが、
温泉には浸かったことがありません^^;

正月は大沼公園近くに陣取って、八雲経由でせたなや
江差まで行ってみようと企てています♪
by Extra-Low (2012-11-21 18:40) 

dendenmushi

@冬の大沼もいいんでしょうね、きっと。追分ソーランラインの、冬のドライブは、どんなんでしょうね、
恵山温泉は、確か昔は村営だった立派なホテルと温泉施設が一軒だけあり、立寄もできます。海岸には渚に野天風呂もあります。くわしくは、「恵山岬」の項に…。
by dendenmushi (2012-11-23 05:39) 

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