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856 立待岬=二海郡八雲町熊石折戸町(北海道)乙部町と八雲町の熊石町の間に長く続く海岸に [岬めぐり]

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 また、立待岬だ。「立ち待ち」には、“魚がくるのを立って待つ”という意味があるらしいので、ここもそうなのだろう。渡島半島の西海岸のここは、乙部町と八雲町の町境にまたがって1.5キロも続く、岩磯と一部では60メートルもある崖の海岸である。海岸は全通する道もなく、若干海に飛び出している岩場が、北寄り八雲町側にある。
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 それ以外は、特別とんがっているふうでも出っ張っているわけでもなく、長々と連続している。229号線は、その内側を1.2キロの豊浜トンネルでまっすぐ抜けていく。
 乙部町の豊浜側から、バスの進行方向に見ると、岬としての迫力には欠ける。だが、トンネルが近づいてくると、その入口の手前に摂理を見せるひとつの大きな岩の塊が現れてくる。
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 これが、トンネルを行くバスの車窓からは見えない、立待岬の岩場を象徴している、と考えてもいいのではないか。
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 豊浜トンネルといえば、どうしても積丹半島の大規模な崩落事故で、バスなどがトンネル内で被災したことを思わずにはいられない。
 そしてその積丹の豊浜トンネルのことは、見えない岬のチャラツナイ岬・蛸穴ノ岬の項目でふれている。積丹でも古平町と余市町の町境をもぐるトンネルだったが、こちらの豊浜トンネルも南の爾志(にし)郡乙部町の入口を入って、北の出口をでたところは二海(ふたみ)郡八雲町である。
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 町境が近いトンネルの手前道路脇には、乙部町の案内看板が立っている。それには、「またきてね 乙部町 次は熊石町です」とある。乙部町にしてみれば、“熊石町は熊石町で、八雲町ではなかろう”ということなのか。あるいはまた、八雲町というと噴火湾沿いも入ってしまうので、西側だけを特定したい、という意図があったのだろうか。
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 最初はなかなか、この付近の町の形が把握しづらかった。八雲町といえば噴火湾に面した函館本線に八雲という駅がある。これが日本海側にも広がっているとは思わなかったからだ。先にもふれたように、ご多分にもれぬ平成の大合併で、乙部町とともに爾志郡を形成していた熊石町が、山越郡だった八雲町と合併(2005年)した。郡をまたぐ合併である。このため、二海郡という新しい郡ができ、新八雲町が発足した。こうして、旧熊石町は新しい八雲町の一部になったものである。
 噴火湾に沿う旧八雲町側は、平地も若干あり、遊楽部(ゆうらっぷ)岳から下る遊楽部川に沿う山も、比較的なだらかであるが、旧熊石町のほうは、山また山で、平地はほとんどない。北のせたな町との町境にそびえる山は、遊楽部岳の1,276メートルを最高峰に、1,000メートルを超える峰が続いている。その山地から流れ出る水流に沿うようにして、海岸にいくつもの集落が点在している。
 山の中にあるただ一本の道、渡島半島を横断する277号線が川に沿って延び、300メートルくらいの雲石峠を越えると、函館本線の走る八雲へ出る。
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 旧熊石町が、あえて郡のしがらみを捨てまでして、なぜ八雲町と合併したか。
 それは、こうした地理状況を考えてみると、なるほどと納得ができる部分もあるのである。
 それは同時に、それまで歴史的にもずっとつながりが深かった、乙部や江差といった南の沿岸の町に連なるメリットが、だんだん薄れてきたことの証ともいえる。
 函館から熊石へのアクセスだった、大成行きの直通バス便が廃止されたのも、そういう一連の変化に関わるものだろうか。
 とはいっても、八雲町を東西につなぐ雲石峠越のバス路線は、江差から熊石経由で八雲を走る便は、往復各二便しかない。江差発が早朝とお昼、八雲発が朝と夕方だけしかないのだ。
 これは、地方へ行くと結構よくあるパターンで、学生は早朝の便で八雲へも行き夕方の便で帰る。病院通いなどは昼の便で行って夕方の便で帰る。
 熊石町の主要公共交通路に関しては、相変わらず乙部と江差、追分ソーランラインのほうがメインであることには、変わりはないようだ。
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▼国土地理院 「地理院地図」
42度3分47.41秒 140度4分5.81秒
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dendenmushi.gif北海道地方(2012/09/02 訪問)

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タグ:北海道
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コメント 2

☆はな

魚が来るのを立って待つのですね
全国に 幾つぐらい立待岬あるのでしょう ^∀^?
by ☆はな (2012-10-10 07:32) 

dendenmushi

@ ☆はな さん、「立待岬」という名前では、ここと、「851 立待岬2」として追加した函館山の有名な岬だけです。
ほかには、「616 立待崎」(西津軽郡深浦町大字沢辺(青森県)車窓からは見えないけれどもあるんだよ )というのも、岬ではなく崎であります。
それを入れても、3つだけ。北の方ばかりですね。
by dendenmushi (2012-10-10 13:11) 

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