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843 宝殿ヶ鼻=江津市後地町(島根県)山陰道を走りながら中国山地に思いをはせてみると… [岬めぐり]

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 ひととおりのいいわけも済んだところなので、いきなりこんな写真をトップに掲げても、不審に思う人はいまい。
 昼食休憩も終えて山陰路を行くツアーのバスは、他のことはまったくどうでもいいかのように、一路出雲大社を目指してひた走っている。いちおう海岸沿いを走っているのだが、山陰本線の線路よりはだいぶ山側に寄ったところを9号線は走る。
 萩から出雲までは約140キロ、ほぼ南西から北東方向に向かって、“細かいでこぼこを四捨五入すればおおよそ一直線”ともいえるように、島根県の海岸線は流れている。
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 江津から出雲までの間は、ほとんど岬らしいところを見ることができなかった。もちろん、岬がないわけではないがそう多くもなく、江津の宝殿ヶ鼻と大崎、仁摩の松ヶ鼻と日の出鼻、五十猛の大崎ヶ鼻、久手の笠ヶ鼻があげられる程度だ。
 それらもカメラに納めることはできず、強いてどうにか写っているのをあげれば、この無理矢理な宝殿ヶ鼻と、あとは大崎ヶ鼻くらいだろうか。これもバスのスピードは結構速く、デジカメのシャッターの反応がちょっと遅いので、肉眼で見た目であったと思って押しても、流れる木しか写っていなかったりする。
 江の川(ごうのかわ)を渡ると、まもなく宝殿ヶ鼻。二つの浅利トンネルを出たところで一瞬海が見え、島が見える。これが宝殿ヶ鼻の沖にくっついている大島。9号線は、岬から800メートルも内陸を走るので、家々の向こうにわずかにそれらしいところがある。
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 宝殿ヶ鼻の付近の海岸近くの地図には、鉱山マークをつけた「けいさ」という表記がいくつもあるが、これは「珪砂」のことだろう。そう思って調べていたら、ヤフオクの広告に「珪砂」というのがパックされた袋売りの商品として出てきたのには驚いた。建材などに使われるのは想像できるが、案外いろいろな用途があるらしい。
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 車窓を流れる一枚の写真には、ビニールハウスのわきに青いビニールシートをかけた砂の山のようなものが写っていたので、これが珪砂関連の会社か何かなのだろう。
 そのすぐ北にある黒松駅の海岸には、ちょっとだけ飛び出たところがあり、そこが大崎となるはずである。
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 中国山地の骨格をなす花崗岩自体は、4〜10億年前に生成されたといわれているが、珪砂は花崗岩(または珪岩)が、雨風などによって削られて細かく粒状に変化したものである。こうした山砂はおよそ500万年くらい前にできたというから、ほぼ人類と同じくらいの歴史をもっているという。それがまた、川の流れに運ばれて川砂になる。
 土がやたら黒くてべたべたしている関東に暮らしていると、水はけがよくてさらさらした中国地方の砂の土がときどきむしょうに恋しくなる。
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 では、珪砂も花崗岩も出てきたついでに、その南東方向に続く山のほうを、もうちょっとだけ眺めてみよう。
 中国山地は、山の年齢でいうと老齢期の山で、高くてゴツゴツしたところはなく、でこぼこは多いが、どちらかというとなだらかに丸く低く収まっているといってもよい。この山地の基本は、花崗岩の層が多くを占める。これは風化しやすい岩なので、歳を取ると丸くなる。それが、中国山地の特徴をつくっている。
 この山地では、石灰石のほかに、石見ではある時期には世界史をも動かした銀も出たし、たたら製鉄を支えるだけの大量の砂鉄も採れた。近世では倉吉の人形峠では、ウランも出た。
 最高峰は大山で標高1,729メートル、兵庫県に位置する氷ノ山がこれに次ぐ1,500メートルだが、あとは高くても1,300〜1,000メートル前後。だいたいは500メートル前後という程度の山が、ほとんどを占めている。
 ごく最近知ったことだが、大山とその外輪山である蒜山、三瓶山などは、中国山地の生成過程とはまったく異なり、その北側に飛び出した独立峰の火山なのだという。 なるほど、それで丸い山の間に飛び出していることの説明がつく。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度2分51.42秒 132度17分8.87秒
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dendenmushi.gif中国地方(2012/05/30 訪問)

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タグ:島根県
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コメント 2

☆はな

ご無沙汰しております
公共交通機関を 使った旅がますます しにくくなって。。
大変ですね v(^▽^)vフレーフレー♪
by ☆はな (2012-09-12 12:31) 

dendenmushi

@☆はな さん、声援ありがとうございます。そうなんですよね。もう、たいへんなんすから…。
このあいだ、北海道へ行っていたら、地元のニュースでJRの江差線が廃線になることが決まったと言っていました。
現在のダイヤではなかなか利用もしにくく、今回は何度もプランを練り直した末に、結局やっぱり江差線は乗れませんでした。
バスも、どんどんコミュニティバスに切り替わるところが増えています。これも、便利というかそれしかない、おまけにやはり本数が非常に少ないので…。
by dendenmushi (2012-09-14 04:47) 

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