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832 笠瀬崎=長門市油谷伊上(山口県)ムカツク半島に抱かれた油谷湾に突き出た小さな岬は3つあるが… [岬めぐり]

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 バスが、夢ヶ崎や角島大橋の袂で休憩時間をゆっくり取っていたのは、山陰本線の阿川の駅からは、「みすゞ潮彩1号」に乗るので、その時間に合わせるためだった。普通列車ながらそんな名を持つ観光列車に、この駅で乗り換えて、長門市駅まで行くつもりなのだ。
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 で、余裕を持って阿川駅に着き、列車がくるのを待っていると、2両編成の「みすゞ潮彩1号」がやってきた。
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 実は、このツアーは2台のバスに分かれており、先にどこからかこの列車に乗ってきたもう1台のバスの客は阿川で降ろし、それと入れ替えに我々のバスのグループが乗り込むことになっていたことが、ここへきてやっと判明した。
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 なるほど、そういうわけだったのか。こういうプランを考える、旅行会社の人も、いろいろ苦心しているわけだ。
 地図を見た限りでは、山陰本線の線路が海側を走るのは、阿川から東側の北長門の海のほうの風景が楽しめそうだ。
 当然、岬もいくつか…と期待していたのだが、これがさっぱりダメ。やっぱり、なかなかうまくいかないものだ。
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 確かに、海岸近くを走るところもあるにはあるし、この観光列車も、座席も全部海側を向くようにしてつくられたものなのだが、山陰本線の線路も、元から観光客のことを考えて敷設されたわけではない。
 阿川駅から伊上駅までの間の油谷湾南岸では、3つの岬があるのだが、今回確認できたのは、この笠瀬崎のみ。油谷湾の向こう側の向津具(むかつく)半島はガスに隠れてうすぼんやりとしか見えない。けれども、この半島の名前…これはなかなかいい名前だ。
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 列車は、阿川駅を出てもしばらくは、線路も比較的海が近いはずなのに、あまりよく見えない。長門粟野駅を出て、粟野川の河口を塞ぐように横たわる、串山という島の端っこが見え、下関市と長門市の境界を越えるあたりから、やっと海も広がり、それと同時に笠瀬崎が見えた。
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 線路が海に比較的近くても、車窓から岬がみえるかどうかは、その付近の地形や高度や、邪魔になる山や建物、植栽などがないことなど、さまざまな条件が揃わないといけない。
 その点、伊上駅の西側では、観音崎、唐崎というふたつの岬が、この条件から外れてしまった。
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 「みすゞ潮彩1号」という観光列車の名前は、ご当地(長門市仙崎)出身の金子みすゞに因んだものである。今や、北長門では“みすゞ通り”に“みすゞ館”に“みすゞ公園”といった具合で、金子みすゞ様々であるが、もともとそんなに誰もが知っている詩人とその作品とはいえない。長い間その人と作品群は、世の中では知られていなかったといってよい。
 でんでんむしも、鈴木三重吉や北原白秋、サトウハチローなどの童謡詩に興味を持っていた時期もあったが、それはちょうど金子みすゞが忘れられていた時代にあたるので、まったく知らなかった。
 金子みすゞが有名になって、もてはやされるようになったのは、ここ30年くらいのことである。
 それが、童謡詩の枠を大きく越えて話題になったのは、2011年の東北地方太平洋沖地震の影響で、テレビのCMの枠に大穴が空き、これを埋めるためにACジャパンの「こだまでしょうか」のCMが大量に流されたときだったろう。
 金子みすゞの詩は、著作者の死後50年を経過し、すでに著作権はないはずだが、全集を出しているところが二次的著作物の著作権を主張しているというので、まだ青空文庫にも入っていない。
 著作権法は時代遅れな部分も多い法律で、現在のような情報形態の多様化には、そぐわないことも多い。書いた本人にはなんの利益もない二次的著作権を、すんなり後世の人間の私的財産権として認めるのも、いささかムカツクところもあるわけで、期限制限付きの相続に限るべきという気もするが、なかなかきわどいむずかしい問題であるといえる。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度22分4.31秒 130度59分11.84秒
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dendenmushi.gif中国地方(2012/05/29 訪問)

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タグ:山口県
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コメント 2

ハマコウ

線路と岬の間に小高いところがちょうどあるのですね
観光列車 座席がみな海に向かっていて 皆お行儀よく見えます
著作権の問題 難しいですね
by ハマコウ (2012-08-21 06:37) 

dendenmushi

@そうなんですよ。こういう地形の場合でも、線路が少しでも高いところにあると見えたりするのですが…。
海に向いた座席は、伊豆急などにもありますけどね。
by dendenmushi (2012-08-23 07:01) 

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