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819 アカヤ崎=八重山郡竹富町小浜(沖縄県)もうぼつぼつ「ちゅらさん」頼みはやめたほうがいいのではないか [岬めぐり]

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 島内観光のコハマ交通のバスは、運転手さんがガイドをしながら走っていくが、港から牧草地のなかの道をまず中央の集落に向かう。
 その一角には、NHKの朝ドラ「ちゅらさん」のロケに使われた“こはぐら荘”がある。もっとも、その名はドラマのなかでのことで、実在している建物は一般の民家で、人が住んで生活している。つまり、観光施設ではない。だが、家にではなく道の脇には、観光案内板が立っていたりする。
 家の周囲の石垣の道は狭く、バスが通るのもぎりぎりだが、それでもなんとか家の前にちょっとだけ停車してガイドをすると、遠慮がちに離れていく。
 バス以外にも、ふらふらやってくる観光客も絶えないふうで、住んでいる人には、結構迷惑なことも多かろう。
 アカヤ崎は、マンタのひれの後ろにあたる、島の北西側の先端である。ここは、道も狭いので、バスは入れないのか、あるいはそういうポイントでないのか、島内一周ではまったく無視されている。
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 “シュガーロード”を通って行く、数少ない島めぐりのポイントのひとつが、大岳(うふだき)という標高100メートル弱の丘である。これが、この島の最高峰。
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 そのてっぺんにある展望台から、アカヤ崎も見えるはず…だったのだが、やっぱりこれがうまくいかない。丘の西にはもうひとつのピークがあって、ちょうどアカヤ崎とかぶってしまい、対岸の西表島だけしか見えないようになっていた。
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 大岳の北東側には、加屋真島が浮かび、その向こうは石垣島の名蔵湾付近である。小浜島の玄関口である桟橋も見えるが、こうしてみると船崎の岬は港と一体化していることもよくわかる。
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 電子国土ポータルの地図では、大岳のうえには ∴マークで「先島諸島火番盛(大岳)」と表記がある。これは、同じものが竹富島にもあった。
 火番盛(ひばんむい)とは、狼煙をあげる遠見番所で、異国船を監視するため寛永年間に鎖国政策をとっていた幕府が、先島諸島(宮古諸島・八重山諸島)の13の島の18か所に設けたもので、2007(平成19)年に国の史跡に指定されている。その当時の幕府にも、それなりの危機意識はあり、国境警備への関心は高かった…。
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 ほとんど誰も知らないアカヤ崎と違って、有名なのが“ちゅらさん展望台”である。これは、アカヤ崎の北東500メートルくらいのところにあると、火番盛は無視しているネット地図にも明記されている。また、ネット上には無数のこの場所についての情報がアップされているが、ちゅらさんブームのなかで書かれた簡単なものばかりで、最近行ってみたというものはほとんどない。
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そんな展望台には、バスは近寄りもしないし、ガイドもなかったが、それには理由がある。
 もともとそこは私有地で、ドラマの主人公にちなんだ木が立っていたところも柵に囲まれた牧場の中で、展望台自体には階段や望遠鏡まで設置されていたらしいが、そこへ行くには牧場内の敷地を通り抜けて行かなければならない。
 「日本最南端の新聞社::八重山毎日新聞オンライン」には、2012年の1月31日付けで次のような記事があった。(新聞記事リンクははずれる可能性が高いので、記事を引用させてもらう。)
 
 ちゅらさん展望台 口蹄疫侵入防止で閉鎖 
   〜観光客の出入り多く 牧場主、窮状訴え〜
 【小浜】ちゅらさん展望台がある大石牧場(大石浩正代表)は30日、口蹄(こうてい)疫の侵入防止のため、2月1日から展望台を閉鎖することを明らかにした。
 大石代表は「観光名所になっているが、畜産業にとっては牛が大事だ。もし、口蹄疫が発生したら島中に迷惑をかけることにもなるため、閉鎖に向けて町役場にお願いしている」と説明した。
 牧場は大石代表と父親の浩さん、兄の功幸さんで経営しており、150~170頭の牛を飼養。8年ほど前に展望台が完成し、町と無償の貸地契約を結んでいた。
 大石牧場の倉庫が展望台に隣接していることもあり、展望台を訪れた観光客が雨宿りやトイレを借りに倉庫を訪れることも多く、柵から手を伸ばして牛に触れる観光客も後を絶たないという。
 大石代表は「入り口も駐車場もちゃんと整備されていない。雨で、雨宿りに来た観光客が来ても、出るように言うわけにもいかず、何年も我慢してきたがまだ続いている」と窮状を訴えた。
 兄の功幸さんも「口蹄疫が発生した場合は観光産業にも打撃を与え、農家だけの問題ではなくなる。まずは自分の身を守ることが大事だ」と貸地契約を解約し、閉鎖に理解を求めた。
 島の観光名所が閉鎖されることに川満栄長竹富町長は「宮崎県で口蹄疫が発生した際、一時的に閉鎖した経緯があり、牧場から大変不安だということで対応を求められた。防疫の観点も理解できるが、展望台は小浜の観光振興に大きく貢献し、観光資源にもなっているため、話を聞きながら粘り強く理解を求めていきたい」と展望台の再開に向けて協議を続ける考えを示した。

 
 要は、基本的に必要な観光施設としての要件を、最初から満たしていないで、無理をしつつブームにだけは乗ってきた。そのつけが、ぼちぼちまわりはじめてきたらしい。町もいつまでも昔のドラマ頼みの観光政策は、見直すべきなのだろう。
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 アカヤ崎は、島の西海岸を南に向かうバスの車窓から、どうにかとらえた。アカヤ崎と細崎を結ぶ広く開けた入江は、浅瀬になっていて、その向こうにはヨナラ水道をはさんで西表島が迫っている。 akayazaki10.jpg

▼国土地理院 「地理院地図」
24度20分56.66秒 123度57分50.08秒
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dendenmushi.gif沖縄地方(2012/01/18 訪問)

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タグ:沖縄県
きた!みた!印(40)  コメント(4)  トラックバック(1) 
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コメント 4

ハマコウ

「ちゅらさん」の人気はかなりのものだったのですね
火番盛 初めて知りました
by ハマコウ (2012-07-13 06:05) 

だいだらぼっち

寛政のころ幕府が火番盛をつくっていたのは、ちょっと驚きでした。
by だいだらぼっち (2012-07-14 05:26) 

dendenmushi

@「ちゅらさん」は、なにがよかったのでしょうね。それで小浜島にもわんさと人がおしかけてくるようになったくらいですから、かなりのブームだったようで…。
熱心に見ていなかったので、よくわかりませんが…。
by dendenmushi (2012-07-15 05:33) 

dendenmushi

@だいだらぼっち さんと、ハマコウさん、お二人から興味を示していただいた「日番盛」。これ、実は八重山の島ではどこにもあって、これまで深く考えてみなかったのです。
ただいま、その配置図を作成中です。
できたら、細崎の項の終わりに追加して入れます。
by dendenmushi (2012-07-15 05:37) 

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