番外:七里御浜=南牟婁郡御浜町・熊野市(三重県)紀伊半島の岬めぐりはこれでいちおう完結ということに… [番外]
国道42号線の熊野街道は、三重県の端新宮市と熊野市の間では、北北東にちょっとかしげながらもほぼまっすぐ一直線に熊野灘に面して走っている。
地形や道路のことだから、もちろん精確に一直線ということはないが、紀伊半島の全体で眺めると、ここだけまっすぐな海岸線が続いている。比較的でこぼこもぎざぎざも多い紀伊半島のなかでは、ここだけが目立つくらいである。
これが、七里御浜(しちりみはま)。熊野市の鬼ヶ城の出っ張りから、新宮市鵜殿の梶ヶ鼻までの間は、約20キロほどで、七里にはちょっと不足だが、鎌倉の“七里ヶ浜”に比べればここは詐称というほどのことではない。熊野川の河口まで入れれば、ほぼ七里くらいにはなろうか。
また、“まっすぐ”といっても、地図で見てほぼまっすぐなところも、肉眼で見るとたいていは弓なりになっているのもので、ここでもそうである。
砂浜と砂利石の海岸線が続くということは、その間に岬はないということである。したがって、梶ヶ鼻から北へ続く次の岬は、熊野市の猪ノ鼻 である。
猪ノ鼻へは、2011年の4月に行き、7月の終わり頃に、番外:熊野の鬼ヶ城 と並べて掲載していた。
つまり、七里御浜を熊野市まで行けば、一部、再訪の必要もある岬を残してはいるが、およそ3回に分けてめぐってきた紀伊半島の岬めぐりコースが全部つながって、完結したことになる。
一年前にも書いていたが、熊野古道は和歌山県だけではない。三重県の伊勢神宮からの伊勢路のルートもあるわけで、それがこの七里御浜の浜辺の道を通っている。この熊野参詣道は「浜街道」とも言われてきたとおり、熊野の山中を行く道とは対照的に、明るい海岸の平らで穏やかな道が続く。
井田付近の海岸は、アカウミガメが産卵のため上陸する場所というが、北上するにつれて砂利石の海岸になる。穏やかなように見えても、熊野灘の外海に直面している海岸は波の荒いことも多く、また急に深くなっているので、海水浴には向いていないようだ。
新宮からこの道を歩いてきた熊野詣での巡礼者の目の前に、花の窟神社の尾根と獅子岩の出っ張りが、海岸に突き出ているのを見れば、もう熊野市である。代行バスで一気にそこを走り抜け、熊野市駅に降りた。
海岸に出てみると、一帯ではなにやらそこいらじゅうで工事が行なわれていた。海岸にはまだ流木が積み上げてあったので、台風の後始末の最中だったのか。
獅子岩も、この角度からではいまひとつ獅子岩らしく見えない。浜にコンクリートが見えるのは井戸川で、この川は海岸の道路でいったん締め切られ、そこからは暗渠で海に流れ出ているように、地図では表示されている。
それも海岸の防災上の必要から、河口の開放を避けたのかもしれない。
丸まった小石が埋め尽くしている海岸から、北の方を眺めれば、一年前に訪れた鬼ヶ城の西側と、灯台は見えなかった猪ノ鼻がある。猪ノ鼻の灯台は、ここからでも岬の東側に隠れていてやはり見えない。
七里御浜をいつまで見ていてもきりがないし、東京へ帰るには熊野市駅からワイドビュー南紀でいったん名古屋へ出なければならないが、その時間もある。この特急が南紀からの東回りでほとんど唯一の足なので、熊野市駅には駅舎中央にその看板が掲げてあった。
一年前と同じコースで三度目となる、尾鷲、紀伊長島、松坂経由で名古屋に出て帰路についた。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度53分14.74秒 136度6分9.68秒ほか
近畿地方(2011/10/07 訪問)
これが有名な獅子岩なんですね。
ずっと続く砂浜に大きな岩、不思議な感じですね。
by ナツパパ (2012-07-04 11:45)
@そんなに有名なのですか。確かに熊野街道のここを通るときには、花の窟神社とここは必ず通らなければならないポイントではありますね。
それなら、ナツパパさんのためにもっと寄って、獅子岩らしいのを撮ってこなければなりませんでしたね。
by dendenmushi (2012-07-05 06:18)