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796 出雲崎=東牟婁郡串本町出雲(和歌山県)イツモどこでも詳らかでないことばかりなのだ [岬めぐり]

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 潮御崎(御崎)の御埼大明神社の祭神が、大国主命のスタッフであった少名彦命であることから、この地と出雲を結びつきがあり、この「串本町出雲」や「出雲崎」の名もそれに由来するのかと思えば、どうやらそうではないらしい。
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 『紀伊続風土記』は、ここの「出雲」は「イズモ」ではなく「イツモ」である、というのである。

 串本浦の未の方(※南西微南※)に二十二町、上野浦の東四十町にある。出雲の名前の意味は詳らかでない。出雲の字に拠ればイズモと称えるべきだが、イツモと清音で称える。このときは出雲の意味ではないだろう。(KEY SPOT『紀伊続風土記』現代語訳 牟婁郡潮埼荘出雲浦)

 ここは「イツモ」であって「イズモ」ではないから、「出雲の意味ではない」とみている。だが、その名の由来や意味はわからない。
 なかなか、いつもどこでも詳らかでないことが多い。
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 実際の行程と、岬めぐりの項目の並べ方が、一致しないこともたまにある。ここでも、実際には、出雲崎は紀伊大島へ“くしもと大橋”を渡って、島の東端へ行き、また引き返して串本駅から橋杭岩へ行って、この日のコースを終えている。
 出雲崎は、紀伊大島へ渡るときに橋の上から見て、翌日の朝にまた改めて、バスで出雲崎まで行っている。掲載順は、地図上で順にこの場合は“西から東へ”紀伊半島をめぐっているので、できるかぎりその順番にしたい。
 そんなわけで、コマキノ鼻・マキ崎の次は、翌日分も含めて潮岬の東にある出雲崎であるが、“くしもと大橋”の上から眺めた写真と、翌日の朝日の逆光の中の写真と、まったく趣の異なるものがある。
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 潮岬からいったん串本駅に戻るバスを、漁港のところで降り、樫野灯台口まで行くバスに乗り換える。そのバスが、くしもと大橋を渡るときには、青い海に突き出している出雲崎が黒い影となっている。
 また、翌日は朝一番で、通学の高校生たちで賑わう串本駅から、出雲へ行くバスに乗った。
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 出雲の集落は、何本かの出っ張りが南に向いて突き出している半島の東の端に、大島に向いている。神社のある岩の出っ張りと出雲崎と、二つの岬の間に漁港があり、その沖には岩礁が展開しいちばん沖の二子島には小さな赤い灯台も載っかっている。この島と灯台は、橋の上から見たときには、随分沖にあるように見えた。
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 出雲崎には、狼煙場もあったというのだが、国土地理院の電子国土ポータルでは、細長い岬の中央に丸い印がついている。ほかのネット地図にも表記がないので、それがなんだかわからない。
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 そういえば、“ほかのネット地図”では、バスの終点の潮岬青少年の家の北側に“国土交通省”という表示もあった。これも、施設だか官舎だか、なんだかわからない。本州最南端の地に、国土交通省の施設があるのは、なんとなくうなずいてしまうが、そのうなずきにはさして根拠があることでもない。
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 出雲崎の西の小深にある出っ張りも、なかなか堂々たる岬だが、無名である。
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 出雲漁港の出っ張りには、神社マークがある。電子国土ポータルでは、記名がないが、ほかのネット地図では「朝貴神社」となっている。ちょうど、お祭りらしく、幟が何本も立っていたが、バスから撮った写真はブレボケがひどいので、掲載ははばかる。
 この神社、『紀伊続風土記』では「祀る神は詳らかでない」としていて、名前も「浅木明神社」であるという。このように、読みを踏襲しながら、用字のほうが変わっていくという情報伝達は、昔はよくあった。
 読みはなんとか伝わっても、意味まで詳らかに伝えるのは、そう容易なことでもないらしい。

▼国土地理院 「地理院地図」
33度26分45.34秒 135度47分48.90秒 
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dendenmushi.gif近畿地方(2011/10/06 訪問)

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コメント 4

ナツパパ

先日訪れた、阿字ヶ浦の酒列磯前神社の祭神も少名彦命でした。
海と岬、のある場所に、出雲系の神々が関係するのでしょうか。
by ナツパパ (2012-05-23 15:11) 

ぱぱくま

ループ橋ですね。
この辺りの複雑な地形を物語ってますね!
平たい関東平野で暮らしてるとこういう
ダイナミックな地形が魅力的に見えますよ。
実際暮らすとなると大変なんでしょうけどね~
by ぱぱくま (2012-05-23 22:26) 

dendenmushi

@酒列磯前神社へは、でんでんむしも岬めぐりで行きましたよ。磯崎へ行く途中で、長い樹林におおわれた参道が印象的でした。
現世の国を譲り受けた替わりに、神様の世界は全部出雲に渡してこうなった、ということなのでしょうかね。
by dendenmushi (2012-05-24 06:48) 

dendenmushi

@ほんと、関東平野というのは、日本のなかでも特殊な場所なのですね。なにしろ、360度基本的に山がない、見えないんだから…。
西からやってきたでんでんむしなど、最初は随分落ち着きませんでした。
その他の平野でないところのほうが、圧倒的に多いので、こういう山あり島あり、でこぼこあり、のほうが普通です。
by dendenmushi (2012-05-24 07:09) 

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