795 コマキノ鼻・マキ崎=東牟婁郡串本町出雲(和歌山県)半島を東西に分ける浪ノ浦の東に飛び出している岩の岬 [岬めぐり]
串本からぶら下がっている工事中の蜂の巣は、東のほうが発達していて、その海岸にアンドノ鼻、住崎、御崎、クレ崎があるのだが、西側にも出っ張りがあって、こちらにはコマキノ鼻、マキ崎、そして出雲崎がある。
西側のほぼ三分の二は潮岬が占めるが、東側の三分の一は、字地名が出雲と変わる。
東西の出っ張りに挟まれながらも、広く開けた湾には、浪ノ浦と名が付いている。
○浪ノ浦
村の巽(※東南※)で浦をなす所である。人家から八町ばかり離れているが、漁船をここに置いて漁事をなす。その地に納屋を建てるまでで人家はない。(KEY SPOT『紀伊続風土記』現代語訳 牟婁郡潮埼荘上野浦)
現在も、浪ノ浦の奥には一応防波堤をもった漁港があるが、どうやら“漁事”は、さほど盛んなようにはみえない。だが、それにはかかわらず、青がまぶしい。
地形的にも台地の周囲は岩礁地帯が取り巻いており、ちょっとした船溜まりをつくるのも一苦労のようだ。クレ崎と灯台の間にも、わずかな岩の隙間をぬって、船が入るようにしてあるところがあったが、この半島ではまともな漁港らしい機能を備えた港は、東端の出雲に小さなのがあるきりなのだ。
タワーから東を望むと、浪ノ浦の向うにコマキノ鼻とマキ崎がある。そこは串本町出雲となる。
イナヤと名のある岩礁が、白い波を立てているが、その右手にあるのが、コマキノ鼻。そして、その向うでさらに右手に延びる岩場が、マキ崎である。
どちらも、岩また岩の岬で、草木はない。こういう岩の出っ張りは、付近にはほかにもあるのだが、岬として名をもつものはここ以外には、あとは東の出雲崎だけである。
タワーから東を望めば、紀伊大島の山が見える。潮岬の台地は最高点でも74メートルしかないが、大島の最高点は171メートルある。
また、北を眺めれば、遠く近畿の屋根といわれる熊野や大台の山並みが、波打ちながら続いている。ちょうど、紀伊半島の最南端から、半島の中心部の方向を見ていることになるが、右手が標高1,600メートルを超える峰もある大台ケ原、左手が1,000メートルくらいの熊野の連山ということになるのだろうか、という見当はつくが、あまり自信もない。
出雲崎へ行くには、タワーから浪ノ浦に沿うように回り込んで、東の出っ張りを横断していかなければならない。
この日のうちに大島まで行っておきたいので、また上野の集落の間を抜けて、串本駅までバスで戻ることにする。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度26分24.58秒 135度46分58.15秒 33度26分17.88秒 135度47分17.23秒
近畿地方(2011/10/06 訪問)
見事な眺望ですね。
by ナツパパ (2012-05-23 15:12)
@クレ崎とここでは、海と空と地の緑がとてもよかった、絵はがき的におさまりました。
by dendenmushi (2012-05-24 06:50)