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769 権現崎=西牟婁郡白浜町(和歌山県)白い砂のナゾと神も仏もごちゃごちゃになってしまう理由と [岬めぐり]

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 白い砂浜の海岸に、温泉旅館や大きなホテルが建ち並ぶ。そこらが、いわゆる白浜温泉の中心地といってもいいのだろう。白良浜(しららはま)と呼ばれる白い海岸の北の端に緑の40メートルほどの小山があり、その先が権現(ごんげん)崎である。
 「白浜」の名も石英の砂でできたこの白い海岸からきているわけだが、ここの砂が明治・大正の頃には、ガラスの原料として採取されていたこともあるという。砂浜の流失現象も、日本各地の海岸で起こっているが、防砂堤防を突き出したりしてもかえって逆効果なこともあったりして、たいてい防止の決め手がなくて困っている。ここでも、減少する白い砂を補うために、なんとオーストラリアから砂を買っているというのだ。
 では、海岸の砂浜がどうしてできるのか。まずは河川が運んでくるものと、海の底から打ち上げられるものとが考えられる。ところが、白浜にはそれらしい川もないし、海の砂をかき上げることもやってはみたが、海底の砂は黒くて使えなかったそうである。
 では、白良浜の砂は、いったいどうしてできたのだろうか。ナゾである。
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 権現崎のそば、白良浜との間からは、大きなホテルが並んでいるが、その間を抜けていくと、小山の中に地図では神社マークがある。これが熊野三所神社で、この神社こそが権現崎の名の元であろう。
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 仏や神の名を岬につけることは、わが国では比較的一般的といってよく、「観音」「弁天」「仏」「明神」「天神」「恵比須」「八幡」…といった名前の岬は数多い。「権現」もこれに類する命名だが、この名はあまり例が少なく、これまでのところ青森県の小泊岬を呼ぶ名としてあったくらいだろう。
 では、「権現」とはなんだろうか。権現というのは神様の神号のひとつで、日本の神々は、“仏教の仏が仮の姿で現れたもの”とする“本地垂迹思想”に基づいている。
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 つまり、宇宙の真理そのものである法身こそが究極の本地であるとし、その本来の境地やあり方から、神仏が現れること(これが垂迹=迹(あと)を垂れるという意味)をいう。
 早い話が、神様の正体は仏様(本地仏)であるというわけだが、さまざまな神様がいるうえにそれぞれに付会される仏様も、宗派や、お寺や神社によってかなり違う。だから、われわれが社寺へ参拝して仏像を拝んだりしていても、その実、神も仏も名前を聞くとごちゃごちゃで、わけがわからなくなるのは、そのせいである。
 垂迹神と本地仏が、どうつながっているのか、その例を示すと、たとえば次のようになる。
   天照大神 = 大日如来、十一面観世音菩薩
   八幡神
= 応神天皇= 阿弥陀如来
   熊野権現 = 阿弥陀如来

 熊野権現は、熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)に祀られている神々であり、この本地垂迹思想のもとで権現と呼ばれているが、つまりこの岬にある熊野三所神社はそれをいっしょに祀っているわけだ。
 小泊の権現崎の名称は、おそらくはその偉大で神秘的で険しい岬の形状からのイメージで、つけられたものではないかと思われる。
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 白浜の権現崎は、その北側は円月島を望む瀬戸の集落のある海岸と、南側は白良浜から湯崎地区までを分けている。熊野三山への参詣道である熊野街道は、田辺までが紀伊路、田辺から那智・速玉へ向かって南の海岸を回るのが大辺路、田辺から山に入って熊野本宮へ向かうのが中辺路、と分かれていく。
 ちょうど、ここに権現崎があるのは、小泊のとは違う意味があるのだろう。
   628 小泊岬=北津軽郡中泊町大字小泊(青森県)小泊岬とはオレのことかと権現崎

▼国土地理院 「地理院地図」
33度41分3.09秒 135度20分28.47秒
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dendenmushi.gif近畿地方(2011/10/05 訪問)

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タグ:和歌山県
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コメント 2

ナツパパ

白浜は今でも賑やかなのでしょうか。
熱海は寂れてるという話ですよ。
by ナツパパ (2012-03-29 19:43) 

dendenmushi

@巨大な温泉地は、別府もそうでしょうし、いまどきもう流行らなくなっている、というのは、全国的にみられる状況のようですね。
温泉も楽しみ方が変わってきているし…。
by dendenmushi (2012-03-31 06:53) 

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