767 田尻クズレ鼻=西牟婁郡白浜町(和歌山県)崩れてしまった岬の名残りに名にその記憶も残しつつ [岬めぐり]
江津良の浜でも少し似たような景色があったが、その東の田尻の浜には、その名も「田尻クズレ鼻」という表記がある。ここは、鼻とはいうけれど、まったく岬らしくないのである。道がカーブする浜の先端付近に、岩礁地帯が露出しているだけなのだ。
これが、国土地理院の地図だけでなく、どうかすると岬には比較的冷淡で、あまり興味を示さない傾向がある(それでも最近だいぶ改善されたかにみえる?)ネット地図でも、ちゃんとその名の表示をつけている。
とくに、白浜のシンボルでもあるはずの円月島の表示さえ省略している、Yahoo!地図やGoogleマップが、「田尻クズレ鼻」を表示しているのが、なかなかおかしい。
これらの地図制作者の基準やバランス感覚というのは、いったいどんなものなのだろうか。いつものことながらはなはだ疑問に感じるのである。
それはともかく、ここは岬のなかでもおもしろいタイプで、まさしく「崩れてしまった岬」の跡のように、岩場が海の中に向かって伸びている。
似たような岩場や岩磯は、日本中の海岸線のどこにでもあるわけだが、ここのようにその経緯を示すかのような名前が明確についているのは、ほかにも例がないわけではないが、やはりめずらしいのである。
陸からは尾根が延びてきているが、その先にあった出っ張りが道路で完全に分断されて、堤防で仕切られている。海側にあったのは、いちおう「鼻」と呼べる程度の出っ張りはあったのだろうが、長い間に波浪の影響を受けて、砂は流れ、岩も徐々に崩れてしまい、今のような姿になったのだろう。
そんな記憶が、田尻クズレ鼻という名前になって残っている。
そう考えても、おおむね間違ってはいまい。
念のために、航空写真で見ると、もっとそれらしい感じがよくわかるのではないか。
そう考えて、Yahoo!地図の地図と写真を比べてみた。写真で地図を見たいときには、GoogleマップよりもYahoo!地図のほうがよい。ZENRINソースを使っているYahoo!地図の地図での海岸線の描き方には、ZENRINらしい現実離れ感が、ここでも遺憾なく発揮されてはいるが…。
写真で見ると、田尻でも江津良でも、一見しっかりした陸地のように見えるのだが、これはあくまでも海中の浅瀬の岩場で、潮が満ちてくると海のなかに沈んでしまう。
さて、この付近の道を歩いていたときの記憶が、かなり不鮮明なままである。たいていは、道端の草木まで、後から思い返しても思い出せるはずなのだが、どうもこれはうまくない。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度41分38.57秒 135度20分37.28秒
近畿地方(2011/10/05 訪問)
地名でもいろいろなことを学ぶことができますね
by ハマコウ (2012-03-25 07:20)
地名に名残アリですね!
それにしておかしな名前ですよね(^-^;
by ぱぱくま (2012-03-25 22:58)
これは船乗りが付けた名前のように感じますねえ。
by ナツパパ (2012-03-26 08:34)
@ハマコウさん、ぱぱくまさん、ナツパパさん、コメントありがとうございます。
これからも、地名のおもしろさは、サブテーマで発掘していきたいと思います。
by dendenmushi (2012-03-27 15:16)
干潮時は海中でなく、完全に陸地になりますよ。
by 田尻クズレ鼻愛好家 (2014-08-10 09:16)
@田尻クズレ鼻愛好家さん、ありがとうございます。なるほど、Yhoo!地図の航空写真これが干潮時なんですね。
by dendenmushi (2014-08-11 07:05)