764 牛の鼻=田辺市芳養(和歌山県)松原は地名のみとなり代わりにできた大堤防は釣りキチのメッカに [岬めぐり]

どうみたって岬には見えないところなのに、ちゃんと岬としての名前がついているのが、芳養漁港の牛の鼻。同じ田辺市の文里にある、神谷崎と似ている。四角い漁港の標識灯(灯台)がある防波堤にその名が表示されているのは、電子国土ポータルのみで、Mapionなど他のネット地図ではその名はない。
これを比較しているうちに、ここでも国土地理院のネット地図のほうが、いささか古く、実態をより正しく反映しているのはYhoo!地図などのほうであるという実例が、またひとつ明らかになってしまった。
う〜ん、これはちょっと困ります。
権威と名誉にかけても、なんとかしてください、国土地理院さん。

牛の鼻に手前に続くテトラポットと岸壁の間が、途中でわずかに切れて、そこに斜めの水路が切ってある。そのさまは写真でも切れ目がはっきりわかるのだが、国土地理院の地図ではつながったままである。


だが、Googleの写真では、ちゃんと水路の確認ができ、地図もそれにしたがっている。おもしろいのはYhaoo!地図の写真で、ここはなぜかだいぶ前の写真のままで、更新されていない。

ケガの功名みたいなもので、芳養漁港の埋立て整備が進められる以前の(工事が始まった頃の)海岸の様子が、よくわかる。写真をよく見ると、牛の鼻の付近には、岩磯の名残が海に残っている。南の古い芳養漁港ができるときに、この牛の鼻を利用して堤防をつくったものと思われる。


しかし、港湾工事というのも、大変なものだ。おおがかかりなコンクリートの堤防や、鉄の扉で仕切られた新しい漁港の中は、漁船の姿もそう多いようには見えない。


喜んだのは、釣りキチ三平や五平たちで、この堤防はタチウオやカマス、チヌ、アオリイカ、アジなども釣れる人気のスポットになっているようだ。YouTubeには、ここでの釣りの様子を、動画でたくさんアップしている人がいる。

この海岸付近には、現在でも「芳養松原」という地名が残る。もちろん、(と言ってしまわなければならないのが残念だが)松原は影も形も残っていない。

元の海岸だったとおぼしき辺りには住宅地がせり出してきていて、漁港の周辺はまだ空地が広がっている。その一部は、工業用地として和歌山県が売りに出しているらしい。

戻ってきた芳養駅も、無人駅だが地域の情報ステーションの役割も果たしているようで、避難経路の掲示や、駅の上にある芳養小学校の行事の写真などが張り出されている。


田辺駅へ行く電車は、だいぶ待たなければならない。国道42号線のバス停でみると、バスのほうが早い。そこでバスで天神崎を越え、田辺駅に戻って、この日の日程を終え、駅からは少し東に離れたところにある礫(つぶて)坂のホテルに泊まることにする。
田辺市内中央部の岬めぐりは、既に掲載済みであるから、次の日は白浜に向かう。
406 神谷崎=田辺市文里(和歌山県)ええっ!、これでも岬…..
407 洲崎=田辺市江川(和歌山県)ゆく川の流れは絶えずして..
408 大鼻=田辺市天神崎(和歌山県)日本人の“自然保護意識..
409 仏岩の鼻=田辺市天神崎(和歌山県)なぜここでナショナ..
410 番所の崎=西牟婁郡白浜町(和歌山県)田辺から白浜へ湾..
番外:南方熊楠顕彰館(和歌山県)その漠然とした思い…てんてん..

▼国土地理院 「地理院地図」
33度44分29.62秒 135度21分17.91秒




おはようございます。コメントありがとうございました。
どうぞご自愛くださいませ。
これからも岬めぐりの記事,楽しみにしています(時々しかお邪魔できませんけど ^^;)
by 【みなと】 (2012-03-19 08:16)
うーん、これは微妙ですねえ。
by ナツパパ (2012-03-19 18:09)
昔の海岸線が分からなくなると
名前(名残り)を頼りにするしかないですよね。
by ぱぱくま (2012-03-20 22:50)
@ビミョーの意味もここではいろいろありそうで微妙ですが…。
名前というのは、もちろん地名も含めて、ほんとに重要な情報なのですね。都内でも、ところどころで「旧町名掲示板」を設置している区がありますね。
たいした考えもなしに(外野からはそうとしか思えないが)行なわれた、住居表示の大きな爪痕を、いま一生懸命修復しようとしている…。
by dendenmushi (2012-03-21 07:52)