739 海士岬=羽咋郡志賀町西海千ノ浦(石川県)海士とも海女ともあまり縁がなさそうに見えるのだが… [岬めぐり]
能登半島西海岸の地図では、鼻を横からみたような出っ張りと、それがつくりだしている湾と長い浜辺が、ひときわ目立っている。この付近が、2005(平成17)年の合併で志賀町になった旧富来(とぎ)町の中心部である。
前浜から県道49号線を走ってきたコミュニティバスは、赤崎から海岸を離れて、ちょうど出っ張った鼻の部分をショートカットして富来の町に向かうので、町に入って岬から遠くならないところでバスを降りなければならない。
地域福祉センターというバス停が、その条件にちょうどあっているらしいので、そこで降りたのだが、周囲には人家がポツポツあるものも、いわば辺鄙な場所である。どうやら、富来の町の西のはずれの一角は、福祉センターのほか、デイサービスセンター、温泉センター、それに老人ホームが固まってある。用地買収の都合なのだろうが、いずれも比較的新しい施設なので、志賀町になってからのものだろうか。
あらかじめ調べておいたタクシー会社に電話して、海士岬まで運んでもらうように依頼する。海士岬は鼻の出っ張りの西端にあたる。49号線を通るバス路線もあるにはあるが、使えるダイヤではない。赤崎で降りて真っすぐ海岸線を歩いてつなぐコースも考えたのだが、結局楽なほうを選んでしまった。
鼻の南端部分には集落や漁港があるが、そこを少しはずれるともう人家もあまりない道を北上し、久喜というところから西に車がやっと通れる細い道を分け入って海岸に出る。
そこには、白い円筒形の灯台があって、周囲が少し開けたようになっているが、あたりはすべて薮のような未利用地に覆われている。わずかに開けた灯台のところから岩磯の海が展開している。
ゆるりと弧を描くような出っ張りなので、海士岬はそれほどはっきり飛び出した岬ではないのだ。
茶筒型灯台以外にはなにもない。山も岩場も荒々しい断崖も岩島もここにはない。
「海士」は「あま」だろうが、素人眼には海士にしろ海女にしろ、潜って活躍できるような海岸のようにも思えないのだが…。海の幸は、この付近の海岸線に長く続いている、一見すると浅過ぎるようにみえる岩磯でも、充分な恵みをもたらしてきたのだろうか。
そう考えるのが、ここに「海士岬」という名の岬があることを理解するのに都合はいい。
ここにも「能登金剛」の表記があるところをみると、前に推測していたように途中で途切れているというよりも、あるいはまたその範囲を云々するよりも、能登半島西海岸の大部分をまるごと指し示している名称なのだと理解したほうがいいのだろうか。
西海千ノ浦という字地名をもつ地域は、海岸に沿って南北に細長く延びていて、この海士岬を中心とした広範囲な一帯は、「タ」という小字名が付いている。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度8分48.81秒 136度40分13.65秒
北陸地方(2011/09/08 訪問)
昨年は大変お世話になりました。
今年も昨年同様不定期更新&訪問だと思いますが
お付き合い下さい!宜しくお願い致します。
by マンチ軍団 (2012-01-06 21:08)