736 北脇崎=羽咋郡志賀町前浜(石川県)前浜の岬展望台から笹波の黄金波打つ棚田へはすぐ [岬めぐり]
能登の西海岸を歩いたのは、2011年の9月初めのことで、これを書いている2011年の暮れとは4か月の間隔が開いている。でんでんむしの岬めぐりは、前項でも書いたように、交通機関の路線と時刻表と国土地理院の地形図と宿泊場所以外にはなんの準備もなく、ただひたすら岬を訪ねて海岸線を走り歩く。そして、その風景を刻みつけながら記録メモのための写真をデジカメで撮る。
それからしばらくして、そのときのことを思い起こしながら写真を選び、文章を書く…。だいたいのことは、これで足りるが、確認のためや詳細なデータはネットから情報を探して正確を期すことも必要になる。
こういうことを繰り返しているので、実際に現地を訪れたときと、後でその記憶を再生しながら書くことで、一回で二度楽しめるわけだ。
普通、数か月前のことでも、地図と撮ってきた写真を見ながら、そこで実際に歩いた道や周りの風景を、自分の頭の中でなぞることができたのだが、ここ前浜では、そのイメージがなかなかうまく結び付かなかったのだ。
ヤセの断崖からまたてくてく歩いてきて、前浜の集落とバス停と、その近くにあった道端の花とベンチは、確かに覚えている。問題は、その先である。高台のようなところから、北脇崎を横から見下ろすような角度から写真を撮っているのだが、その場所が、道路の脇だったのか、それとも少し歩いて海岸に向かって降りたところなのか、それがわからなかった。
しかし、何度も記憶を呼び覚まそうと考えているうちに、ここでは道路脇にあった展望台のような東屋のようなところから岬の写真を撮ったので、集落の間を抜けて歩いたわけではなかったことが、やっと、だんだんとはっきりしてきた。
浜に降りたのは、次の玄徳岬のところのことで、それがごちゃごちゃになっていたため、記憶の再生がすぐにはうまくできなかったようだった。
寄る年なみみで、こういうことはこれからもありそうだが、まあなんとかイメージを大切に残しつつ、これからもこの方式でいきます。
“写真はメモ代わり”と言っているのだから、これまでも実際にはブログに使わない写真もいくらかある。だが、こういうときにこそ、その役目を果たさないといけない。そのためには、これまで以上にもっときめ細かに撮っておくようにしたほうがよさそうだ。
20数メートルくらいの北脇崎は、それほど高くもないが断崖の岬で、ここもやはり崖崩れの跡がある。岬の付け根まで、前浜の港が広がっていて、その手前に集落がある。
輪島市の剱地から南には、ほとんど人家もなく、ひさしぶりの小さな前浜の集落は、黒い屋根瓦が美しい。そんな民家が、海岸から道路脇に広がる。道路脇に置かれた展望台兼休憩所のような東屋と、ベンチとフラワーボックスも、人びとのやさしさによるものであろう。だが、道路の海寄りに、雪よけのような柵が、冬場の厳しさを示してもいる。
前浜の地名がつくところは、この入江とそれに近い周辺だけであり、その周りはすべて笹波地区に囲まれている。なんとなくだが、周囲からは離れて、前浜だけが孤立するようにして、決してやさしくはない自然のなかで、この小さな海岸にしがみついてきた、そんな印象さえ受ける。
展望所の東屋から、南側を眺めれば、そこには次の岬である玄徳岬の北側半分が望める。
静かな一本道を玄徳岬を越える峠に向かって行くと、左手に黄金色に波打つなだらかな棚田が広がっていた。谷間の幅の狭い扇状地のような地形をしているそこは、まさしくその棚田がウリになっていて、そこにも駐車場スペース付きの展望所が設けられていた。
そこにある案内の看板によると、「大笹波水田」という名で、“日本の棚田百選”に選ばれているのだそうだ。
下から見上げる恰好になるので、いわゆる棚田らしくないところはあるし、休耕田も多いらしいが、田圃での一通りの農作業をこども時代の経験に取り込んでいるでんでんむしとしては、これだけで充分うれしい風景である。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度12分15.74秒 136度40分46.87秒
北陸地方(2011/09/08 訪問)
今年もたくさんのご訪問&niceありがとうございました。
来年も引き続きよろしくお願いいたします。
どうぞ素敵なお正月をお過ごしくださいませ~!
by Minky (2011-12-31 03:31)