732 赤神崎=輪島市門前町赤神(石川県)赤い神の岬を守ってきた八ッの島は砕けて岩礁になったのか [岬めぐり]
広い門前町の南部、上長谷崎から南へ6キロ以上も続いてきたほぼ真っすぐな海岸線に、目立った変化が現われるのは、赤神崎のところの出っ張りである。ここで249号線は右にカーブし、道の駅や漁港を回り込むと、また南へ向かって走る。
そのカーブが、赤神崎なのだが、名前のわりには、いささかパッとしない。老人ホームか何かの施設がある50メートルくらいの高さがある丘の上から、なだれ落ちてきたように大きな岩山をつくっている。お約束通りにそこには港は埋立の岸壁、東の丘の下に小さな集落ができている。
赤神崎の港は、その沖合にならんだ岩礁をつないで、防波堤にしている。
国土地理院の電子国土ポータルでは、この岩礁が大きな岩島のように描かれていて、八ッ島という名前までついている。
ところが、ここをバスで通るとき、岩島らしきものがほとんど見えなかった。海岸には岩が目立ち、249号線も短いトンネルで、岩の下をくぐり抜けて行くのだが、どうも防波堤の役目を果たしている岩島が、目立たない。
電子国土ポータルの地形図は、さほど最新の地形を頻繁に更新しているふうではない。むしろ、いささかデータが古いのではないかと、疑うようなこともしばしばである。
地形図として信頼に値しないZENRINソースのネット地図(Yahoo!地図、Mapion、その他大勢)を除くと、あとはGoogleマップの衛星写真くらいしか、比較参照できるものがない。これも、地域によっては雲ばかりのところが多かったり、色が妙に変だったりするのだが、幸い赤神崎と防波堤は反射光で白く光る海のなかに確認できた。
この二枚の地形図からは、八ッ島の岩礁が徐々に小さくなる一方で、切れ切れの防波堤は補修改修を重ねてつながって…といった様子も想像できて、なかなかおもしろい。
あ、そうそう。Mapionなんか、赤神崎の港の前の海は、ただノッペラボウなだけ。そのくせ「八ッ島」という文字だけは、西にずれた海中にぽつんとおいてあるのが、いたって不可解。
そして、Googleマップには、「イ」と高柳健次郎の初のテレビ画像のように一文字小字名もくっきりと…。
赤神崎の表示は、港の東のトンネルのある岩山のほうではなく、埋立岸壁の西側についている。もし、国土地理院の記名表記の位置が厳密なルールによるものであれば、もともとの赤神崎は、埋め立てられたところかもしれぬし、あるいは沖の防波堤につかった岩礁地帯とまとめて一帯を指し示しているのかもしれぬ。
だが、人の眼はどうしても派手に目立つほうに、引きつけられてしまう。金沢から門前に向かう前日の往路のバス車窓に現われた立岩を見て、あわててカメラのシャッターを押したのだが、それも確かこの赤神付近だったと思われる。
「あかがみ」という名前がついた地域は、広くはない。その海岸線は、249号線がカーブするところからトンネルを出たところまで、わずか800メートルくらいしかない。
その名前から想像できるのは、海岸線と沖合にたくさんあった、ダイダラボッチのようにも見える赤い立岩が、人知の及ばぬ象徴としてそれを敬ったという程度だが、案外そんなところが正解だったりする。
なお、ネット地図がほとんど無視している岬表記だが、地元の案内図などには、「赤神岬」としているものもあった。この岬めぐりでは、原則として、国土地理院表記によるので、「赤神崎」とした。
小さな岩が散らばる海岸を、さらに南下するバスのなかから見えた漁港の堤防には、「つるぎぢ」と白い文字があった。降りるバス停も近い。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度14分54.43秒 136度42分28.99秒
北陸地方(2011/09/08 訪問)
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