718 ワッカケ岬=余市郡余市町白岩町(北海道)見えない絶景の岬や国土地理院の地図から消えた岬も… [岬めぐり]
岬の先端にあった高さ120メートルの山が、その海側半分をぐるりと丸く削り取られたような形になっているワッカケ岬も、断崖絶壁の岬である。
滝ノ澗トンネルを抜けると、すぐに目の前に立ちはだかるように現われるのがこの絶壁で、そこはまたろう燭岩が眺められる唯一のポイントとして、車を止めて景色を眺められるようになっている場所でもある。
余市町潮見町も、豊浜と同じく、集落は小さな川に沿って谷間に延びていて、海岸にはほとんどなにもない。そこから見えるワッカケ岬は、余市町白岩町となるらしいが、この付近の境界線もはなはだすっきりとはしていないようだ。
国土地理院の電子国土ポータルの地図では、ろう燭岩見物スペースから海岸に沿って岬に向かって延びる細い道があり、その先はトンネルの表示になって岬の付け根を横断している。それは、バスが通るワッカケトンネルとはまた別のトンネルで、その出入口もポッカリ穴が開いているが、まだコンクリートのフタはされていない。(写真右端の下部)
現在のワッカケトンネルが開通したのは2010年3月、ごく最近のこと。実は工事はだいぶ前から始まっていたのに、用地買収の失敗で、長いこと開通が遅れていたらしい。国土交通省の北海道開発局が出している「一般国道229号 ワッカケトンネルを3月2日(火)に新トンネルへ切り替えます。」というリリースではそのことにはふれていないが、やはり旧ワッカケトンネルは、大型車同士のすれ違いが困難な狭小トンネルで、古平側坑口が急カーブ(R=50m)であることもあわせ、円滑な交通の支障となっていた、と述べている。
新ワッカケトンネル開通の前までは、この旧道と旧トンネルを使っていたわけだ。1956(昭和31)年生まれの狭い旧トンネルに代わってできた新ワッカケトンネルは、旧トンネルの倍の長さ(延長910メートル)がある。
そのため、旧トンネルを通っていた頃には、トンネルを出た海岸道路から見えていた白岩町の海岸の岩や烏帽子岬も、海から200メートルも奥まったところに抜ける新トンネルでは、見ることができなくなっている。
この先、余市町の中心市街地までの間には、烏帽子岬のほかに、オトドマリ岬、シリパ岬と、絶景らしい岬が続くのだが、それも見ることができない。229号線は、これらの岬のある山塊を南に迂回して、これまた相当古そうな梅川トンネルで出足平峠を越え、余市の町に向かって行く。
オトドマリ岬とシリパ岬は、ともに300メートルに近い標高をもつ頂きから、断崖が一気に海に落ちるようなところで、さぞかしその景観はすばらしいものだろうと思われるが、それは地図で想像することしかできない。
余市の町を過ぎて、小樽の蘭島の付近から余市湾の向うに、シリパ岬の先端らしいところは見えても、それはいささか遠すぎる。
ついでながら、余市の町はおもしろい町で、漁港や自衛隊のある北側の町と、余市川とJR函館本線が通る南側の町に分かれている。そして、余市といえば、北海道にほとんど縁がなかったでんでんむしでも、テレビで見るニッカウヰスキーのCMで、勝手なイメージを膨らませていたものだった。
そのニッカの工場がある余市川畔を下った河口左岸には、モレイ山という小山がある。
その先端部分は、埋め立てによると見られる漁港ができている。漁港は、どうやらモレイ山の北に広がっていた岩場を、埋め立ての足がかりにしたものらしい。地図を見るとそれが伺えるのだが、ZENRINソースのネット地図には、そこに「モレイ岬」とはっきりと明示していたのである。
事前には、そんな表示はない国土地理院の地図しか見ていなかったので、なんとなくそこを通過してしまった。ここの場合は、埋め立てによって岬はすでに消滅したものと、国土地理院では判断したのだろう。
国土地理院の地図にはないのに、岬などほとんどの場合無視しているZENRINソースのネット地図にはある岬…。そういうことも、ごくたまにある。
▼国土地理院 「地理院地図」
43度14分29.34秒 140度44分5.04秒
北海道地方(2011/07/18 訪問)
岬が多いところですね。
厳しい地形なのでしょう、昔は、陸上の交通は難儀したことでしょうね。
by ナツパパ (2011-11-11 08:15)
@この付近の海岸線に限って言えば、トンネルと道路ができるまでは、ほとんどが海上輸送によるしかなかったのでしょうね。
岬も多く並んでいるけれども、それも海からしか見えないところがおおい…。
by dendenmushi (2011-11-14 06:24)