690 べべシレト岬=虻田郡豊浦町字旭町(北海道)噴火湾の北側のこの付近は崖が目立っていて [岬めぐり]
洞爺湖を中島で壮瞥町と半分に切り分けている洞爺湖町の、西隣が富浦町である。洞爺湖町は2006(平成18)年に虻田郡虻田町と洞爺村が新設合併してできた町だが、実はこのときの合併協議会には、豊浦町も参加していて、新町名も「洞爺湖町」とすることで合意していた。だが、住民投票で合併反対が多数を占めたため合併協議会から離脱、といういきさつがあった。
豊浦町の北に隣り合うのは、細川たかしの「真狩村(まっかりむら)」である。その隣の留寿都村とともに小さく独立を保っている。この付近一帯では、さしもの平成大合併も、あまり大きな影響を与えなかった、とみるべきなのだろうか。
室蘭本線が洞爺湖町との境界にあるトンネルを抜けるあたりで、車窓からもちらりと岬を眺めることができた。トンネルを出てしばらくすると、豊浦駅がある。町と町の支えになっているらしい富浦漁港は、ずっと西に広がっているので、なぜか駅だけが町外れにあることになる。
べべシレト岬へ行くには、これは大変好都合である。駅を降りて、いっこうに止まない雨の中を岬の東側に回り込む。坂道を登って行くと、舗装道路に雨水が溢れ出して、枯れ葉などを掃き出している。
“子育観音”の標識があるが、この名は電子国土ポータルの地図にも、はっきりと明記している。他のネット地図では、まったく無視されている。
この観音さんは、霊感を受けたある女性が創設したというから比較的新しいもので、国土地理院がそれを目印に取り入れたのは、ほかになにもなかったからであろう。
さらに行くと、赤錆びた櫓があって、音を立てている。温泉の掘削だろうが、看板には“マンゴー成育”とかなんとかいう文字もある。北海道でマンゴーとは、ミスマッチで意外な感があるが、温泉が出れば可能なのだろうか。
さて、道は民家の中に消えて行くし、ここから岬は見えない。なりに行くと岬のある尾根から離れてしまう。ウロウロしていると、ようやく庭に出てきた人にめぐりあった。
海岸に降りる道を尋ねると、民家の倉庫の間を奥に行くと、ロープが張ってあるので、それを伝って降りればよいという。雨をいっぱいに含んだ草地を踏み分けて行くと、確かに木々に渡したロープが見つかった。
雨で滑るし、薮が茂っているし、傘はささないといけないし、ロープも持たないといけない。短いけれど、大変な道であった。
べべシレト岬の周辺は、赤い崖地が目立つ。岬の東の砂浜は、ロープがあるくらいだから、人の痕跡もある。西側は港からの道が途中で消えるので、べべシレト岬を眺めることができるのは、この浜辺だけ、ということになるようだ。
こうした崖は、豊浦町ではここから西にかけて延々と続く地理的特徴であるらしい。噴火湾の沿岸でも、豊浦町周辺だけが、こうした景観に恵まれている。
東のべべシレト岬と西のイコリ岬を両方眺めることができるらしい、道央道の富浦噴火湾パーキングエリアや展望公園なども、マイカー族やレンタカー観光客にとってはポイントなのだろう。
マイカーでもレンタカーでもない、でんでんむしは、洞爺湖町との境にある無名の岬とべべシレト岬の浜辺を後にして、またロープにつかまって、駅に戻る。
豊浦駅は、地域の集会所かなにかのような場所もあるが、長万部へ行く列車を待つ間、待合室で濡れたシャツなどを取り換える。
そこへ、お年寄りが三々五々集ってくる。どうやら列車を待つためではなさそうだ。年寄りばかりではない、中年のおじさんもおばさんも、手に手に紙切れをもって集ってきた。その話題のネタに、例の温泉掘削櫓もなっているようだ。
そこへ、やってきたのは集団検診車。看護士さんが降りたって、手際よくバスに誘導して、次々検診を済ませると、またそれぞれ帰っていった。
駅には、こういう使い道もあるのだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
42度34分30.63秒 140度42分43.16秒
北海道地方(2011/07/16 訪問)
この地域は、各港ごとに岬があるのですね。
あ、逆ですか、岬があるので港が出来たのかも。
規模は小さくても姿の良い岬が多いですね。
by ナツパパ (2011-09-07 18:19)
@港をつくるとき、岬を利用するケースは、非常に多いんです。
どの程度か、工事費の節約にもなるでしょうし、自然の地形が風よけ波よけという、港の希望を満たしてくれます。
日本じゅう、海岸線には、どこでも港があります。
by dendenmushi (2011-09-09 10:20)