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683 ポンアヨロ=白老郡白老町字虎杖浜(北海道)アイヌコタンの町の端っこにある出っ張りで [岬めぐり]

 日高町の沙流川河口付近のシノダイ岬からは、苫小牧を挟んで緩い円弧を描き、西に対するようにしてあるのがポンアヨロとなる。ここは岬とは銘打ってないのだが、どうしても場所を特定して示す必要があるときには、名前がないと困る。一部には、「ポンアヨロ鼻」として岬名で書いている情報もある。
 そこは長い虎杖浜(こじょうはま)の砂浜が終わるところから続く、断崖と台地の出っ張りが目立っている場所で、灯台もあり、シノダイ岬よりははるかに岬らしい風貌を見せているはずであった。「虎杖」とは「イタドリ」のことだが、それではこの浜の名自体はアイヌとは関係がないことになるのだろう。ponaroyo01.jpg
 火口湖である支笏湖を囲んで、1,000メートルを超える恵庭岳をはじめとする山々が、いくつもの筋になった溶岩流の記憶をとどめながら流れ下った一帯が、苫小牧市と登別市の間にある白老町である。
 千歳市に属する支笏湖には、以前に行ったことがあるのだが、これがまた写真がない。そこにも、岬はふたつばかりあるのだが、今回はそのことをすっかり失念していた。支笏湖へも行き、虎杖浜でも降りてみればよかったのだが、結果的には苫小牧からは特急「北斗」で登別まで行ってしまったので、白老町は今回も通過になってしまった。
 北海道は広いのに、人間はどうしてこんなに、ひとつところに固まってしまうのだろう。
 「スーパー北斗16号」は、おそらく混んでいるだろうから短時間でも指定席でと考えてしまったために、ソロバンの様似駅で指定券を買おうとしてしまったのだが、案の定というか、予想以上をはるかに超えて混んでいた。指定席車両の通路まで、自由席客に開放しなければならないほど自由席は超満員状態で、こんな混雑の特急列車に乗ったのはいったいいつ以来だろうなどとぼんやり考えていた。
 苫小牧からは各駅停車に乗るつもりだったのだが、それだとこのお天気では虎杖浜は薄暗くなってしまう。おまけに、それなら、日高本線から乗換えが間に合う特急に乗って、登別で降りて西の漁港からポンアヨロを望めばいい。特急優先の室蘭本線で、次の列車が来るまで苫小牧で一時間近く待つよりも、そのほうがよほどいいプランだと思えた。
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 「ポン」はアイヌ語では「小さな」という意味で、「アヨロ」はその付近の温泉の名前や海岸の名前にもなっているが、その意味は定かでない。検索すると、フィリピンの大統領の情報ばかりだったりして、おかしいなと思うと、“アロヨ”で検索していたりする(これって、絶対間違えるよね。現に、それで検索しても白老がかなり出てくるので笑える)。やっと、“川の中に矢を収める場所”といった記述もあることがわかったが、それを聞いてもいささかも納得はできない。こういうのは、どこかで伝承を間違えた可能性もあるのではないか。
 ポンアヨロについてもアヨロについても、白老町などの公式情報では、ほとんどなにも記されていない。わずかに「アヨロ海岸」として項目があり、読み込めないで白い枠だけ示された写真の脇に「夕暮れの美しさはもちろん、フィッシングスポットとしても見逃せない虎杖浜の海岸。この海岸近くにはホテルや旅館、ドライブインなどの施設も充実しています。」とあるだけである。
 なんですか、それは…(地域の公式ホームページには、この手の“通り一遍以下の情報”はわりと多いのですが…絶句ですね)。熱が入らないことおびただしい。
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 ZANRINソースのMapionやYahoo!地図では、この台地の上に「ポンアヨロF遺跡」と記している。“F”がついているのも“藤子F”みたいで気になる。ともかく、浜辺よりも住むのは高台を選ぶ。その知恵は、大昔からあったのだ。雰囲気からすると、これもアイヌとおおいに関係がありそうなのだが、あるいはもっと古い先史時代の遺跡かもしれない。北海道には意外にもそれが多いので、そうも思ったのだが、これまたいくら調べても、なんの情報も得られなかった。
 こども時代のバイブルだった『児童年鑑』の口絵日本地図では、白老の地名とともにアイヌのコタンやクマの絵が描かれていた、という記憶が今も鮮明である。それを眺めながら、勝手に想像していた白老の海岸のイメージのほうが、なんとなく情報量が豊かで多かったように思えるのは、なぜだろう。ほんとうは、そんなことあるわけないのにね…。
ponaroyo09.jpg
 登別駅に入る前には、室蘭本線はポンアヨロを避けるように迂回するので、その東の端はわずかにしか見えない。
 登別温泉にも人並みに行ったことがあるのだが、そのときはバス旅行だったので、駅に降りたのはこれが初めて。登別の温泉入口にあたる交差点にもあった赤鬼の小ぶりなのが立っている駅前では、小雨が煙っていた。特急を降りて温泉まで行きたい客が一段落し途切れるのを待って、乗り場に止まっているタクシーに乗り、近くで悪いが漁港まで行って欲しいというと、運転手さんはイヤな顔をせず連れていってくれた。
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 登別駅はもっぱら、北北西に7〜8キロ離れた山のなかにある温泉への中継点に過ぎず、市役所はじめ登別市の中心は幌別のほうにある。「スーパー北斗」は市役所より温泉なので、そこは通過して停まらない。
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 駅から踏切を渡って、長々と横たわる山をトンネルで抜けたところが登別漁港。トンネルの山をはさんで、港もふたつに分かれている。ここは登別市の北端で、港も半分は白老町に属している。漁船が停泊している岸壁は登別市かどうか微妙で、その崖から向うは白老町。
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 堤防の端まで行って、高いコンクリートの壁から南西側を覗いてみたら、そこには地図には描かれていない防波堤と構築物がせりだしていて、肝心のところを隠していたが、それは豊浦の蘭法華岬になる。
ranpoge02.jpg
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 お天気ばかりでなく、いまいちなので、またタクシーに乗り込んで駅まで戻ってもらうことに。
 すると、無線が入ってやりとりをしていた運転手さんは、これから駅前で9台空車を確保しなければならないので、それに加わるのだという。9台かあ、団体さんですね、そうですね温泉までですね…といっている間に駅に着いて、しばらくすると函館方面からの列車が到着した。
 ファイルケースを抱え旗をもった黒いスーツの添乗員さんが、ぞろぞろと改札を出てくる客をタクシーへ誘導していった。
ponaroyo07.jpg
 やっぱり、登別駅は登別温泉のためにある。そして、それらの客も、ほとんどは白老町も通過して行くのだろう。
 白老町の観光案内は、産業案内と分離もされず、内容もいたって熱がなく情報がないのは、もともとあまり期待されてもいないのだろう。

▼国土地理院 「地理院地図」
42度27分9.77秒 141度12分0.20秒
ponayoroM.jpg
dendenmushi.gif北海道地方(2011/07/15 訪問)

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タグ:北海道
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コメント 2

muko

室蘭本線、懐かしいです!

私は神戸に住んでいますが、北海道の鉄道は

自動ドアがかなり大きかったのを覚えています。

by muko (2011-08-25 07:21) 

dendenmushi

@mukoさん、神戸の人が武道館周辺…なんですか。もっとも、ホテルはよそからきた、くる人でないと用がないわけだけれども…。
 そうですね、ちょっと幅の広いのが北海道にはあります。が、今回はあまり気がつきませんでした。
by dendenmushi (2011-08-26 06:04) 

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