654 走ヶ崎＝石巻市尾崎（宮城県）だんご３兄弟の岬ではまたしてもまたしても…

　雄勝公民館前からは、雄勝湾の北を小島というところまで走り、それから半島の山を越えて、北上川が注ぐ追波湾の海に面した海岸に向かう。そこには、雄勝町名振と雄勝町船越というふたつの集落がある。住民バスは、山を下り海岸の小さな入江のそばに固まっている家並みを回って、乗客を降ろし拾うつもりなのだが、この路線も乗客はほかにいない。

　この半島の北の海岸線には、人が住んでいる場所はこれ以外にはなく、他は断崖を遠く黒潮が流れる海が洗う。その無人の海岸線を挟んで、北に遠く見えるのが走ヶ崎である。

　この岬は、なかなかおもしろい形をしていて、ヘラのような出っ張りの先に、個々に切れているのに一つながりのように連続して、だんご３兄弟のように３つの小島が岩礁に取り巻かれて並んでいる。岬の先に岩島があるのは、ひとつの典型といえるくらい、あちこちにたくさんあるが、ここのようにはっきりした島で、しかもその大きさが岸から順番に小さくなっていくのはめずらしい。

　走ヶ崎の出っ張りの向こう側は、防波堤に囲まれた船溜まりがあり、そこまでは道が長面浦のほうからやってくるが、そこで行き止りになり、周辺には人家も何もない。さらに北上川の河口も、おもしろい地形になっているので、歩いてみたい場所なのだが、こちら側には住民バスもなく、JR石巻線の鹿又駅からは30キロ近くも離れた、公共交通機関空白地帯なのである。
　地名が尾崎となっているので、昔はここから西へ延びる山が岬そのものであったのだろう。それが北上川の堆積によって、河口右岸には、広い砂洲ができた。そこが長面と呼ばれる一帯で、それによって深く閉じ込められた水面が長面湾なのだろう。

　走ヶ崎のバックに見えるのは、まだ同じ石巻市内である北上川河口左岸付近の北上町十三浜の山である。
　名振から西の山に入って、尾ノ崎垰を越え、長面浦から尾崎を回り込んで行くのがいちばん近いようにも思えるが、あまり採用したいプランではない。

　そんなわけで、まずは遠目に眺め、あとはこうして地図でイメージを膨らませるだけ。
　そうそう、地図といえば…。
　このブログをときどき見ているという人には周知のことながら、でんでんむしはネットで公開されている日本地図をもっとちゃんとしてほしい、と切に願っていて、これまで折りにふれてはいろいろ観察の結果を書いて、ZENRINの地図ソースを使っているネット地図に、注文をつけていた。
　あまり関心も興味もない向きには、なにをそんなに熱くなっているんだ、バッカジャナイノと思われているだろう。
　だが、日本の国土をどう認識するかは、きわめて重要なことである。それを表わすのが地図である。
　先の2010年の重大ニュースとなった尖閣諸島問題に関連しても、Googleマップが“釣魚島”と中国が主張する名称を使っていたことに、政府が抗議し訂正を求めるという一幕があった。これについてはGoogleは、素直に訂正に応じたようで、現在は修正されている。
　でんでんむしがかねてから主張している、ZENRIN地図ソースを採用したネット地図の杜撰さについては、一部指摘したところだけを応急的に修正したフシはあるが、相変わらずほとんどいいかげんなままである。

　たまたま、走ヶ崎でも、それが明確になっている。国土地理院の地図と比べてみれば一目瞭然だが、Yahoo!地図だけは、他のZENRIN地図ソース採用地図と違って、とりあえず応急処置をしている。また、Yahoo!地図では、市街地以外ではこれで縮尺を固定しているので、これ以上は拡大はできない。

　MapionやGoogleマップに至っては、「これが地図といえるか？」という基本的な疑問を禁じえない。

▼国土地理院　「地理院地図」
41度51分28.83秒 141度8分12.12秒

東北地方（2010/09/21　訪問）

タグ：宮城県 地図