653 丁名崎=石巻市雄勝町立浜(宮城県)路線バスの廃止には住民バスを代替して走らせる [岬めぐり]
女川駅前から雄勝町へ向かう海岸線、雄勝湾の南西側には、岬はまったくない。ZENRINソースのネット地図では、途中に“赤崎灯台”という表示があるが、国土地理院は灯台のマークしかつけていない。ここを“赤崎”というなにか謂れはあったのだろうが、国の地図に名を刻むほどには確かでも重要でもなかった、ということだろう。
赤崎灯台がある場所は、分浜と波板という漁港の間にある道も何もない無人の出っ張りで、雄勝湾を挟んでその対岸が丁名崎となる。そこは、雄勝町の立浜と桑浜というところで、帰りには住民バス(ミニバス)で通る。
桑浜付近で丁名崎も見えるのではないかと期待したのが、それもはずれ。80メートルも高いところを走る道は、海岸からも離れている。桑浜の集落が見えるところまではきたが、そこから急な斜面を登って山の中に入り、そこを下ったときにはもう丁名崎ははるか後方においてきた。
丁名崎と斜めに対峙している地図にはない赤崎を結ぶ線は、雄勝湾の出入り口をつくり、そこから奥に向かって湾はだんだん狭く細くなっていく。幅250メートルほどになると、鉤のように向きを変えて、どんづまりの入江に達する。そこが雄勝町の中心地だった。
前にも書いたが、石巻と雄勝の間は、2010年の3月まではミヤコーバス(宮城交通)が走っていた。それが廃止になってしまったわけだ。不採算路線の合理化、つまり切り捨ては、このところ全国的にどこでも急速に進んでいるようである。自治体は、それに対して、補助金などを出して路線の維持を図るか、あるいは自分で住民バスを代替して走らせようとするか、またはそれも必要ないと判断して切り捨てたままにしておくか。
同じ路線で、ミヤコーは女川町の町域である指ヶ浜まではバスを往復させているので、石巻市と女川町では、対応が違ったということが想像できる。
石巻市はタクシー会社と契約して、乗合いバス“雄勝住民バス”が登場した。しかし、その情報はいまどきめずらしくPRには無関心なようである。石巻の駅前には、バス乗場に“住民バス”表記があるが、書いてある地名をみると、どうやらこれは旧牡鹿町のエリアらしい。けれども、極めて口数の少ない路線図を見ると、確かに“雄勝明神”というところまで行くようになっている。
バスの運転手さんに聞いても、案内所で聞いてくれという。教えられたほうに案内所らしきものはなく、観光案内所があった。ここで聞いてみても、誰も確かなことを知らない。
地図やらなにやら引っ張り出したり、電話したりして調べてくれた。その結果、住民バスは石巻からは出ていないので、女川まで行ってそこから乗るということがやっと判明した。
“住民バス”だから、住民以外の旅行者が利用するとは、夢にも思っていないような、石巻市にはいささか失望した。
公民館前という停留所は、そのターミナルで、ここで女川から乗ってきたバスを降り、別のルートで半島の東海岸へ出るバスを待つ。
この付近は、公民館のほかにも、学校や市役所の支所などが集っているところで、硯上山(520メートル)をピークとする西の山地と、でこぼこと入り組んだ東の半島をつなぐ谷間の、小さな川が流れる希少な平坦地でもある。
38度29分35.13秒 141度31分1.53秒
東北地方(2010/09/21 訪問)
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