SSブログ

648 釜ヶ崎=石巻市網地浜(宮城県)IWCの混乱は世界の混乱につながらないか心配 [岬めぐり]

kamagasaki01.jpg
 網地島(あじしま)は、周囲18キロほど、最高点は101メートルしかない、平べったくて細長い島である。人口は約550人、島の北側の網地浜と南側の長渡浜(ふたわたしはま)に、船着き場と集落がある。
 岬は、北の網地の港に、釜ヶ崎と立ヶ崎のふたつがあるが、鮎川浜のほうから見ただけでは、島の北端の釜ヶ崎しか見えない。
 その先には、ここと南北にならんでいる田代島が見えている。最初は網地島からその島へも行くつもりだったのだが、鮎川港からの連絡がよくないので、結局行けなかった。
kamagasaki02.jpg
 帰ってきて、これを書く段になって石巻市のページを見ると、「ドワメキ崎」という岬が観光案内に上げてあり、そこにはこうあった。
  島の東部、根組浜の先にある「ドワメキ崎」は、金華山が一望できる網地島最南端の岬。打ち寄せる波が幾千年もかけて創りだした“自然の芸術”を楽しめる、魅力的な景勝の地です。
kamagasaki09.jpg
 国土地理院の地図でも他の地図でも、そこには岬の表示はないのであるが、小山を伴った網地島の南端は、地形的には立派な岬で灯台まである。なんでここに岬の名がないのか、不思議に思うようなところである。
 おまけにwikipediaには、“田代島と同じく、猫が多く住む島でもある”と書いてあった。それなら、何としても行くように計画すべきだった。
 前からお断りしていることだが、でんでんむしとしては岬めぐりにあたって、事前に情報を調べまくることはしない。交通機関の時刻表とホテルの予約以外は、行き当たりばったりを基本方針にしているので、こういうこともままあるのではあるが、それもいささか方針転換したほうがいいのかと、ちょっとグラッとしてしまった。
 でもまあ、岬の定義は“国土地理院の地図に明記されている”ことを、条件にしているのだからねえ。でも、ネコは惜しかったかも。
kamagasaki03.jpg
 ほかに、ついでに網地島の住人の書いているページもあって、なかなか魅力的な島のような感じもする。なかに、年々海が荒れるたびに船着き場の桟橋が波浪に沈みかけることが多くなったという記述などもあった。それと、もうひとつ、1739(元文4)年にロシア帝国の北太平洋大探検隊が来航したということがあり、“元文の黒船”と呼ばれていたこと、それはヴィトゥス・ベーリングが遣わしたものであることなど、いろいろ興味深い。
kamagasaki04.jpg
 とにかく、今回の網地島と窯ヶ崎は、主に金華山往復の船の上から眺めただけであった。
 鮎川港からは、その目の前に見えているのだが、島は遠い。そこは、流人の島でもあった。
kamagasaki05.jpg
 港のそばに、キャッチャーボートが陸揚げされているのが目立っている。この地で昔から盛んだったクジラ漁の記念館のような、“おしかホエールランド”という石巻市の施設があって、その展示物の一部のようだ。この捕鯨船は、『第16利丸』といって、かつて南氷洋で活躍していたキャッチャーボートであるという。
kamagasaki06.jpg
 でんでんむしがこどもの頃は、「捕鯨オリンピック」などといって、毎年南氷洋でクジラを何頭獲ったかが、ニュースを賑わしていたものだった。その頃、日本は母船とこうした捕鯨船と運搬船などからなる大船団を組んで、クジラを獲っていたのだ。
kamagasaki07.jpg
 バスが鮎川港に着いたとき、「沿岸ミンククジラ150頭(願)再開沿岸小型商業捕鯨」という看板が掲げてあったのを見たので、すぐシャッターを押していた。その写真は清崎のところにあげているが、この地は沿岸小型捕鯨の発祥地だったらしい。
 現在は、IWCが“捕鯨の禁止以外は何等の妥協も受け入れない”とする立場に固執する原理主義者に乗っ取られて、国際的な協調体制も科学的な調査や考え方まで機能しなくなってしまって久しい。反捕鯨派は、まったく捕鯨は関係のない国まで加盟させたうえ、自陣営の一票に抱き込んで多数派を制した。以後、あらゆる国際的な協調を排し、妥協がなりそうになると新たなルールを持ち出すなどして「全面禁止」に突き進んできた。
 反捕鯨をめぐる近年の動きは、日本の国際政治上の無力さと主張の弱さを露呈したひとつの事例として記憶に残るが、問題は原理主義者の過激なハネッカエリを抑えコントロールする機能や政治的な力が、世界のどの国際機関にもなくなっているという現実であろう。一国が一票をもつ多数決原理も、混乱の元になってしまった。
kamagasaki08.jpg
 かといって、もはや過去の遺物のような「第二次世界大戦の戦勝国」がリードする国連安保理も、拒否権があるためなにひとつまとまらない。考えてみれば、IWCのみならず、COP16でも似たようなことがあって、これではまとまらない。さらにいえば、中東問題も、北朝鮮の問題も、同じようなところがあるかも知れないが、話し合いや妥協で一致点を見出すということが、国際的に不可能になるという確かな前例をつくる場にIWCはなろうとしている。これは、大変憂慮すべきことである。
 かつて日本が南氷洋で獲っていたシロナガスクジラの何十分の一くらいのミンククジラは、日本沿岸の各地で伝統的に行なわれていた漁である。
kamagasaki10.jpg
 日本は、ミンククジラには絶滅の危険がないことなどを訴えて、和歌山県太地町、北海道網走市、宮城県石巻市(鮎川)、千葉県南房総市(和田)の捕鯨基地からのミンククジラの沿岸捕鯨を求めている。今年も4月、三陸沖鯨類捕獲調査団による調査捕鯨賀始まり、ミンククジラ2頭が捕獲され、石巻市の鮎川港に初水揚げされたというニュースがあったかと思えば、秋には石巻市が販売した鯨肉で食中毒というニュースもあった。
 でんでんむしは、昔にクジラを食べた経験はあるが、今も食べたいわけでもないし、給食に出たと懐かしがる年代でもない。ましてや、クジラが“日本人の受け継いできた食文化”だという農水省あたりが国際宣伝に使おうとしてきた主張にも、いささか疑問があると思っている。だが、和歌山くんだりまで出かけていって、勝手な編集をした宣伝映画を撮っている連中まで現われると、この問題の政治的根深さを改めて思わざるを得ない。
 今年もまた、調査捕鯨船日新丸が、シーシェパードやグリーンピースが待ち構える南氷洋へ向けて出港した。問題の性質は違うが、尖閣諸島の教訓は、うまく活かすことができるだろうか。

▼国土地理院 「地理院地図」
38度16分57.03秒 141度27分39.64秒
kamagasakiM.jpg
dendenmushi.gif東北地方(2010/09/20 訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ
タグ:宮城県
きた!みた!印(5)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 5

コメント 2

☆はな

今日は 大変な話しになってしまいましたね。
いろいろ思うことは あるのですが.....

それにしても 人材がいないように思えます。
by ☆はな (2010-12-09 21:49) 

dendenmushi

@そうですね。ちょっと大風呂敷でしたね。でも、でんでんむしは、ほんとにそう思っているのです。多様な考え方や、暮し方や、価値観を許さないという傾向は、それが先鋭化したときには、自己の存在までをも、許せなくなるはずです。
 それが、自分の主張だけが正しいと信じて走り回るのは、単なる自己中に過ぎない、と思うのだけれど…。
by dendenmushi (2010-12-11 07:04) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました