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635 北海岬ほか=むつ市脇野沢(青森県)津軽半島と下北半島の間で…平館から脇野沢の岬を [岬めぐり]

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 “ようこそ平舘へ”というバス転回場の青い看板は、平舘(たいらだて)村の時代に立てられたものだったということに気がついたのは、平舘灯台の付近まできたときに、北海岬を望む海岸に「平舘村」の注意看板があるのをみたからだった。
 外ヶ浜町はその前年に東津軽郡の蟹田町、平舘村、三厩村が合併してできた新町名である。合併後の名前でモメるケースは少なくないが、ここでは「外ヶ浜」という陸奥湾岸を指していた古名をもって町名とした。蝦夷地が中央政権の視野に入ってくるのは江戸時代だろうから、それ以前は陸奥湾くらいまでが国の辺境だった。だから、自ら“辺境ですよ”と称しているようなものだが、そのほうがモメないのがおもしろい。海の向こうにみえている下北半島の脇野沢地区は、2005年にむつ市に編入された旧脇野沢村である。
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 脇野沢の牛ノ首岬の沖には、鯛島という名のクジラのようにみえる島があるのだが、それらしいのもホタテの青い籠が積み上げてある岸の遠くに、小さく見えている。
 下北半島も仏ヶ浦の南には、佐井村からむつ市脇野沢にかけて、新山崎、焼山崎、大崎、アモ十太岬、貝崎、北海岬、下ノ崎、イボ崎といった岬がある。ここも道はないのだが、白い船が通っている。ここは佐井と脇野沢・青森を結ぶ航路が細々と続いている。船から…と何度か思って計画した。だが、本数が少ないのでなかなか実現しない。船からというのも、汚いガラスの船室に閉じ込められ、写真も撮れないし場所の特定もできないという場合があるので要注意だが、あのくらいの船なら大丈夫そうかな。
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 こちら平舘には灯台はあっても岬がないので、ちょっとここでも無理をして、今回は遠望ながら対岸下北のそれらをまとめて「北海岬ほか」としてあげておき、仏ヶ浦と牛ノ首岬の間を埋めることにしておく、という姑息な手段を考えた。もちろん、脇野沢港から北海岬までは道もあるので、船で再挑戦する機会も皆無ではないかもしれないが…。
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 津軽半島も平野はごく一部に限られ、大半は山地である。北西の四ツ滝山、北東の丸屋形岳、そして蟹田から半島の東寄りを南に流れる大倉岳を中心とする山脈は、6〜700メートルほどの山々で、松前街道は丸屋形岳の東を迂回するように走っていて、ちょうど平館付近でカーブすると、あとは青森市までほぼ真っすぐにむつ湾の西岸をなぞる。
 平舘までくると、対岸の下北半島南西部の出っ張りがだいぶ大きく見える。外ヶ浜町となったここらが、下北といちばん接近するところである。平館海峡は狭いところで10数キロほど。
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 平舘灯台があるところは平地で岬でも何でもない。こんな海岸の平地にある灯台で記憶に残っているのは、富山県の生地鼻の灯台だ。そういえば灯台の脇には「だいば」という名もあり、外国船に備えるお台場があった場所だったことでも共通している。
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 付近は松並木があちこちに残っていて、江戸時代松前藩の参勤交代の行列が通っていたという松前街道の古名が、ただの記録上のものではないことを主張している。それに呼応するかのように、海岸の堤防にははっきりとその四文字が記されていた。
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 平館は、外ヶ浜町の平館地区路線バスで通りすぎた。今別の高野崎から歩いてきて、元宇田という家が数戸あるところまできたところで、バス停があり、その時間を見るとしばらく待ってそれに乗るほうがよいと判断された。歩いていると、バスに追い越されてしまう。
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 高い塔のようなビルのようなものが見えるが、運転手さんにこれは確かNTTかなにかの通信施設だと聞いたように思ったが、地図で確かめようにも、どれもまったくなんにも情報がない。
 ここを過ぎて灯台に至り、またどんどん南下して、蟹田駅に着くまで、かなり長いこと乗っていたが、料金は500円だった。
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 蟹田に最初に降りたのは、もうだいぶ昔のことになる。蟹田には下北を結ぶフェリーの港があり、この航路の利用者は結構多いらしい。フェリー乗り場と蟹田駅の間に流れる蟹田川では、そのときにはまだシラウオ漁ができそれのための杣の堰や網があって、河畔に並ぶ掛け小屋で、シラウオの踊り食いというものを初めて体験した。その後、どこかの料亭でもう一度食したことがあったが、こういう場合には、掛け小屋のほうが美味であったというのがたいがいの決まりごとのようである。今はもう、川にも岸にも堰も小屋もなにもなく、のっぺらぼうとしていた。
dendenmushi.gif東北地方(2010/07/01訪問)
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▼国土地理院 「地理院地図」
41度8分27.82秒 140度46分10.42秒ほか
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dendenmushi.gif東北地方(2010/07/01 訪問)

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タグ:灯台 青森県
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