SSブログ

634 弁天崎=東津軽郡今別町大字砂ケ森(青森県)平舘海峡ごしに下北半島を眺めながら [岬めぐり]

bentenzaki01.jpg
 山の中、小国峠を越えるよりも、メインのルートとして選ばれてきた蟹田・平舘と今別・三厩を結ぶ松前街道は、全体的には海沿いの平坦な道とはいえ、岩場の海岸に道をつけるのには長い苦労もあったらしい。
 歩いていると、なるほど…と思うようなこともしばしばあった。それでも、この道が松前街道として定着したのは、その風光の明るさにも寄るところがあったのではないか。bentenzaki05.jpg
 高野崎から、東に向かって歩き始める。この先、今別町には砂ヶ森、奥平部という集落も、街道沿いにあるのだが、もうバスはその先で終点になるし、コミュニティーバスは町の境界を、忠実に守っているので、そのまま平舘を経て蟹田へ行く路線はない。外ヶ浜町に入れば、今度は外ヶ浜町のコミュニティーバスがあるので、そこまでは歩くしかないのである。
 弁天崎は、砂ヶ森の漁港を守るようにして突き出た岬で、その名の通り集落の弁天様を奉る小さな社がある。琵琶を抱えた姿でおなじみの弁天様は、妙音菩薩として音曲、芸能の神であり、弁財天としてはお金儲けにも御利益があるとされ、七福神の紅一点であり、仏教だけでなく神道や民間信仰が混交した複雑な顔をもつ。だが、元々はインドの水神が起りとされ、日本でも宗像神社の三女神や、古来の海神・市杵島姫命を祭神としている場合も多い。だから、海のそばに祭られ、岬にあることが多い。
 でんでんむしのデータベースによれば、「弁天崎」は全国に23あり、「弁天岬」も11ある。
bentenzaki02.jpg
 静かな砂ヶ森には、赤岩という標識もあった。どういうものかよくわからないが、この付近でも赤い岩が多いのだろう。そこで、外ヶ浜のほうから歩いてくる人が数人あった。「暑いですねえ」などと挨拶を交わしてみると、蟹田からずっと歩いてきたのだという。そんなイベントがあるのか。この道を歩いているのは、この人たちとでんでんむしくらいのもので、ほかにはそんな人間は誰もいない。
bentenzaki03.jpg
 ZENRINソースの地図では、道路もその細かい機微まではまるでわからないが、国土地理院とAlpsMapでは、国道280号線は、この付近だけ道幅が細く描かれている。現在は道路も整備されているが、ちょうど弁天崎のところでは改修工事が行なわれている最中だった。松前街道が、昔はいくらか難所のような場所もあったというのは、この前まで細い道があったこと、今別町の巡回バスでも窓に「綱不知」という表示が掲示されていたが、そういう名の海岸があることも、それといくらか関わりがあるのだろうか。もっとも、「綱不知」からは漁船にとっての難所のような意味しか想像できないのだが…。だが、よくわからない。
bentenzaki10.jpg
 岩がごろごろする海岸の道を下北半島を望みながら歩いていると、その途中にこんな場所があった。小さいながら、岬そのもののモデルでもみているような光景である。おそらく、実際の岬が成立する経過と、似たような環境の変化や自然現象によって、こんなジオラマのようなものができたのだろう。
bentenzaki08.jpg
bentenzaki09.jpg
 下北半島の靄が少しずつ晴れて、大間崎のほうも見えてきた。だるま滝ともうひとつの社(これも弁天さまだったような気がするが、メモを取っていないので忘れてしまった)を過ぎると、今別町が終り、外ヶ浜町に入る。町の境界を示す標識は、例外なく律義に立っているものだ。
bentenzaki11.jpg
 これが、だるま滝。なるほど…という命名である。小さい橋もちゃんとその趣旨に協賛している。これなどはまだ道の脇だから通りがかりに見る人もあろうが、さっきのあの赤岩のほうはどうなんだろう。標識は立派だったが…。
bentenzaki07.jpg
 正面には、下北半島の仏ヶ浦もぼんやりとながら見えてくる。その特徴のある大きな断崖が、どうにか見える。こちらの道は晴れていても、向かいの半島の山には、まだ全体に靄をかぶっている。ここが、いわゆる「飢餓海峡」だが、原作は読んでいないし、映画もほとんど忘れてしまっていることに気がついて、ちょっとショック。こうして、どんどん忘れていくことばかりなのだろう。
 でんでんむしが、誰に見しょうとて一日置きにこんなブログを書き続けているのも、ひとつには、忘れないためではなく、忘れてもいいように…なのである。
bentenzaki06.jpg
 ふたつの町のコミュニティーバスが、互いに連結することなく、互いにUターンする“転回場”という場所があって、“ようこそ平舘へ”という看板があるそこは、両方のバスが共通して使っているらしい。今別側からは、ここまでほとんど人家も何もないところを、かなり長く走ってここまで来る。ということは、便によってはここで接続することもあるのだろう。
 南に平館(たいらだて)のほうを眺めれば、下北半島の脇野沢方面まで、一枚ショットに写り込んでくるくらい、平舘海峡は狭まってくる。
bentenzaki12.jpg

▼国土地理院 「地理院地図」
41度13分33.85秒 140度33分48.69秒
bentenhiradateM.jpg
dendenmushi.gif東北地方(2010/07/01 訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ


タグ:青森県
きた!みた!印(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました