631 二ッ石崎=東津軽郡今別町大字浜名(青森県)風の町のはずれから隣町の岬を望む [岬めぐり]
義経伝説が残る三厩(みんまや)地区は、津軽半島の最北端である。そこは外ヶ浜町の一部であるが、その中心である蟹田や平舘との間には、今別町がはさまっている。ここでもまた、飛地の障害を乗り越えた町村合併が行なわれている。これまた2005(平成17)年のことで、蟹田町・平舘村・三厩村が新設合併して誕生したのが外ヶ浜町である。
次の岬、二ッ石崎のあるところは今別町で、ここはなぜか、蟹田の南にある蓬田村とともにその合併に加わらなかった。
龍飛崎から乗ったバスは、町営の外ヶ浜町循環バスで、JR津軽線の終点である三厩駅まで走る。昔は、バス会社の路線があったここも、小ぶりの車体のコミュニティーバスに変わっている。
初めて龍飛崎へきたときは、風の強い日で、帶島とつながる集落の先端の高い防波堤から顔を出しただけで、吹き飛ばされそうな感じがしたものだった。
いくら小さくてもバスは階段国道を通れないので、遠回りして漁港まで降りて戻り、客を拾いながら海岸に連なる集落を綴って走る。昔とまったく変わらない道で、飽きるほどそれを繰り返した末に、ようやく辿り着いたのが三厩駅。
駅から海岸に向かって歩いて、増川川の河口三叉路に出る。「またのお越しを」とあるようにここは外ヶ浜町(三厩地区)の東のはずれにあたる。
風力発電の風車の羽根を立てた標識の向うに見える目立たない丸い出っ張りが、二ッ石崎となる。
今別町になるそこは、ただ海岸沿いの道路がたんたんと走るだけで、岬らしくはない。津軽浜名の町並みのほうから見ると、台地がちょっと飛び出している、という程度である。
外ヶ浜町三厩地区は、どうやらWIND PARK竜飛をシンボルに、“風の町”をイメージしているらしい。龍飛崎の新しくつくったらしい『津軽海峡冬景色』の歌碑(これもここにあるべき理由は限りなく希薄)のところには“風の岬 竜飛”と大きな看板が立っていたし、この風車の羽根もそうだが、マンホールのフタには風車とアジサイがあしらってある。東北地方には比較的多い風車は、一時期はいいことづくめのようにいわれていたのに、ここへ来て低周波が急に問題視され始めた。こんなことにも、なにやら目に見えないモノが蠢いているような気さえする。
アジサイについては、045 龍飛崎の項にも、ちょうどその時期に訪れたとき意外性が印象的だったので書いていたが、これは割と風に強い花木なのだろうか。
さて、外ヶ浜町からはいったん離れて、今別駅まで行かなければならない。そこから今度は今別町のコミュニティーバスに乗って、今別町の岬めぐりに向かう。
ところが、あまりにもタマにしか走らない津軽線は三厩から今別に向かうのにも使えない。歩くには時間が不足する。しかたがないので、タクシーを呼んで今別駅までやってきた。この駅もまた集落からはえらくはずれたところにあるが、選挙のポスターとオウム逃亡犯の手配ポスターが、年間通して備え付けになっているらしいストーブを挟んで決まっていた。
やがてやってきた今別町のバスは、バンタイプの小さなもので、すでに車内にはお年寄りばかりの先客で埋まっていたが、最後部の空席に収まった。
▼国土地理院 「地理院地図」
41度11分18.68秒 140度27分17.35秒
東北地方(2010/07/01 訪問)
コメント 0