627 白岩崎=北津軽郡中泊町大字小泊(青森県)港湾工事で今まさに消えてしまった岬 [岬めぐり]
地域の地図が合併によって塗り替えられていくのには、合理性を超えるある特殊な要件のほうが強く働くことが多く、その結果によって左右されるらしい。この津軽半島を歩いてみると、そんな感じをいっそう強くする。
“中泊町”は、半島の中央部にある中里町と半島の北西部を占める小泊村が飛地状態で合併し、それぞれの一字をとって新町名とした町であるが、その合併の時期が2005(平成17)年。なんと、それは市浦村が五所川原市に合併したのと同じ年のできごとである。総務省主導の“平成の大合併”で気運が高まり、環境が整ったというのはわかるが、これは個々別々が偶然に一致したなどではなく、なにやらわけありの匂いがする。
というのも、旧市浦村のある場所は、ちょうど旧中里町と旧小泊村に挟まれているからである。誰がどう考えても、飛地とは行政上便利がいい形態とは言えない。それなのに、ここでは飛地が二組重なって、複雑骨折の手術後のように、妙な入組み方になって、五所川原市と中泊町が境界を接することになっているが、町のホームページはなにも語ってくれない。
白岩崎のあるところは、旧小泊村の南部の海岸に面した下前の港のなかになる。
集落と漁港のあるところに続いて、その東側では結構大がかりな埋立や港湾整備の工事が進んでいて、なにやら大きな塔のようなクレーンのような橋脚のようなものが見える。
だが、どうやらそのために白岩崎は、実質的には消滅してしまったらしい。
地図でその名の表記があるところは、大きく道路がカーブするところで、そばには埋立地と護岸の工事が進行中のようだ。その様子は、高いところから眺めたほうがよくわかる。
この写真は、下前から小泊へ行くバスに乗って、峠を登っていく途中で、下を見下ろしたときのものである。
下前の集落は、郵便局と神社とお寺はあるが、小学校はないらしい。そう多いとはいえないこどもたちを乗せたバスが、小泊から帰ってきたのだろう。迎えに来た親のクルマに乗り換えて散っていく。漁港のそばでは、そんな光景も眼にした。
ここ下前だけではなく、小泊の漁業の主な特産がイカのようだ。津軽半島では、あまり大きな漁港はないが、全般的にイカが多いらしい。ほかにももっといろいろな漁獲が豊富にあってもおかしくないように思えるが、シロウトが考えるほど漁業も単純ではないらしい。
ただ、ここで進んでいる港湾整備(実はこれが道路ほど目立ってはいないが公共事業費で大きなウエイトを占めている)が、なにを目標にし、完成するとどういう未来図が描けるのだろうかと、フト思った。
なにしろ、この地域の人口構成は、全国平均のグラフが描く線とは、高齢者が突出し逆に働き盛りの層が凹んでいる、典型的なタイプを示している。
漁港の東のはずれには、立松島という岩島があるが、この島も岸壁でつないで港湾に利用している。バスはここでUターンしていく。
ここからさらに東へ、穴間ノ崎から十三方面、長く平に延びていく七里長浜を眺めながら歩けば、小泊岬へ達する…はずだった…。
▼国土地理院 「地理院地図」
41度7分15.09秒 140度16分33.57秒
東北地方(2010/06/30 訪問)
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