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621 行合崎=西津軽郡深浦町大字広戸(青森県)山もなく丘もなく崖もなくて岬 [岬めぐり]

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 行合崎は、幅250メートル、長さ900メートルほどの細長い半島状の出っ張りだが、なかなか特徴的なのは、最高点が22メートルほどしかなく、それから先端へ行くほどなだらかに平坦に、海に向かっているという形状である。まるで鉾か直刀を突き出したようで、一般に岬には付物といってもいい、山や丘や崖がない。
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 その特徴は、西に入前崎を望む岡崎海岸から見てもよくわかる。だが、そこからではちょっと遠い。
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 もう少し近づくために、深浦駅からさらに北へ歩いて、苗代沢までやってきた。この付近、深浦港から行合崎にかけての一帯は、赤い岩の露出が目立っている。前にも触れたように、これが男鹿半島の西海岸を思わせるような気がするのだが、ここにはなんの説明もないので、よくわからない。わかるのは、自然のおもしろさやなんということはないありがたみくらいだ。
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 その点、男鹿では地質情報も歴史情報も、その場その場で市教育委員会がいろいろ立て看板を掲示することによって、地元の専門的情報を伝えようとしていた(「166 剣崎=男鹿桜島(秋田県)5000万年前のことは想像できない」の項参照)。もっとも、男鹿市の場合、その背景には菅江真澄(「163 館山崎=男鹿双六(秋田県)菅江真澄の歩いた道」の項参照)の影響と残した遺産が、大きく影響しているような気もする。
 こうしたことは、徐々に各地域で当たり前のように行なわれるようになってきたとはいえ、まだまだ質量ともに不足である。また、菅江真澄がどこにでもいるわけではない。
 その地域にしかない、あるいはその地域だから自慢できる情報を、もっと掘り起こし、それを通りすがりの観光客や旅行者にも、わかりやすく興味を持てるように伝えていただきたい。
 町おこしだとか、地域の活性化だとか、そんな大それたことまで言うつもりはないが、そういう情報を知りたがる人は、ますます多くなっていくはずだと、常々でんでんむしは思っている。
 「深浦」の名の由来について、駅に掲げてあった説明では、「深浦の地名は海から深く入った入江に由来し、古くは、吹浦、安東浦とも呼ばれていました。」とあった。
 「吹浦」ですぐに思い起こされるのが、『奥の細道』にも出てくる、鳥海山の裾にある吹浦(ふくら)で、「あつみ山や吹浦かけて夕すゞみ」と山形県の海岸線をさっと撫でたような、スケールの大きな句に織り込まれている(「284 三崎=飽海郡遊佐町吹浦(山形県)ウヤムヤの岬なれど…」の項に関連記事)。同じ語源から、「福浦」に転じたものも多いだろう。
 「安東浦」のほうは、13世紀の始め頃から十三湊を根拠地として津軽一帯に独自の“港湾都市・交易立国”を確立したといってもいい、“安東氏”の勢力圏内にある港ということを示していたと考えられる。
 今回の“五能線&津軽半島の岬めぐり”では、この後で十三湖(“十三湊”は古名で、現在の地名で残るのは五所川原市十三と十三湖のみ)へ行くのだが、そこで訪れた市浦歴史民俗資料館では「安藤氏」で統一していた。これまでずっと“安東氏”と理解してきていたので、これはちょっと残念なような気がしたものである。
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 再びJR深浦駅に戻って、「リゾートしらかみ」を待つ。なにしろ列車が少ないうえにたまにくるのはこれしかない五能線。一日数本の列車が、深浦の駅ですれ違う。(ここでしかすれ違えない? それもダイヤを極端に不自由にしている原因のひとつか?)
 「リゾートしらかみ“青池編成”」が待つホームの隣に走り込んできた、「リゾートしらかみ“くまげら編成”」に乗って、五所川原まで行く。
 その車中から、行合崎を眺める頃には、もう日は薄暗くなりかかっていた。
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▼国土地理院 「地理院地図」
40度40分15.56秒 139度56分13.67秒
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dendenmushi.gif東北地方(2010/06/29 訪問)

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タグ:青森県
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