610 甲崎=与謝郡伊根町字蒲入(京都府)ドクター・ヘリも飛んでくる兜なり [岬めぐり]
「こうざき」と勝手に読んでいたが、地図をよくよく眺めて、現地で北側から南側から見て、ここは「かぶとざき」であると気がついた。岬の全体は断崖のギザギザもあるが丸く、ちょうど頭部のようでもあり、北側から見たところは、兜を横から眺めたような感じもある。
甲崎の南は漁港になっていて、それに集落がつながって崖の下に細く長くある。こういうところを歩いていると、どこでも人影を見ることは滅多にないのだが、古い家の並ぶここは、案外に人がいる。民宿の看板を掲げた木造二階建ての建物の前には、なにごとかおばあちゃんたちが集っている。
港越しに見る甲崎は、傾斜の急な崖で断ち切られている。天橋立の智恩寺と同じような文殊の知恵の輪が立つ社のある小山をはさんで、南側に岸壁は延びている。
そのとき、頭上にヘリコプターが飛んできた。
ヘリは港と社の小山を迂回して、南の岸壁に向かうと、すぐに高度を下げてきた。ドクター・ヘリである。なんと、二度目である。
最初は、和歌山の田辺市の岬めぐりで、港付近を歩いているとき(406 神谷崎=田辺市文里)だった。
和歌山では飛び立つところに遭遇しただけだが、今回はヘリが着陸するところからだ。岸壁の砂を巻き上げて着地したヘリから、黒っぽい制服に身を固めたドクターや看護師が甲崎の方向へ走り出して行き、すぐに救急車で運んで戻ってきて、患者を収容して飛び立つまで、計っていなかったが、ほんの数分間のできごとだった。
さっきのサイレンは、パトカーが出していたのではなくて、救急車が来たときのものだったのだろう。
この地域の救急センターは、豊岡になるらしい。みなさんご苦労様です。
しかし、人っ子ひとりいないようにみえて、こういった町から遠く離れた集落にも実は結構な人がいる、ということがよくわかったひとこま。
集落を後にして蒲入口(かまにゅうぐち)まで戻って、甲崎の付け根のトイレを備えた展望台を過ぎ、いよいよ経ヶ岬へ歩き始める。
ここからの道は、100メートルくらいの高さのところを通っているが、甲崎の見える道路脇には、「丹後天橋立大江山国定公園」という環境省と京都府が立てた長い名前の公園内であることをアピールする看板がある。かと思えば、どういう意図なのか石のモニュメントがある園地も。ストーンヘンジを気取っているのか? 観光地を意識したいらしいが…。こういうものの必要性や費用対効果は、どこかでチェックしているのだろうか。
この石組み、危なくね? 確かに人など滅多にいるわけもないので、この石の下敷きになる人は相当運が悪いとしかいいようもない。が、なにしろ、ここらは崖崩れの名所で、つい数年前にも、台風でか道路が通行止めになったこともあるはずだ…。
▼国土地理院 「地理院地図」
35度45分28.26秒 135度15分16.85秒
近畿地方(2010/06/09 訪問)
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