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604 機崎=宮津市字小田宿野(京都府)エネケンは発電はしなくなった発電所なのか? [岬めぐり]

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 高い煙突は、関西電力の宮津エネルギー研究所で、機(はた)崎はこの左手にある小山が南に突き出したところにある。煙突はあるが、発電をやっているわけではないようだ。温水を利用した水産関係の研究をしているとか、併設するPR館「丹後魚っ知館」と併設の水族館は観光施設として人気だという。
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 これも電力会社が地域貢献のためにつくった施設のひとつというふれこみだが、地図でみるその規模や構成からして、やはりもともとは発電が目的でつくったものとしか思えない。それが何らかの事情で発電を中止し、現在では水族館や海釣り施設だけが残っている、というところなのか。
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 機崎の出っ張りを利用してそこにあるはずの港湾設備も、煙突と同じく今は空しくしているのだろう。
 前回丹後を訪問したときは、最初の一泊は、栗田半島の田井にある、天橋立宮津ロイヤルホテルだったので、部屋からも天橋立の遠景と与謝の海のたたずまいの朝夕を堪能した。
 行きは宮津駅からホテルのバスで、帰りはタクシーで栗田駅まで出たので、栗田半島を一周した。宮津エネルギー研究所ができたのは平成になってからだが、ひものか海産物かなにかの会社はあったが、煙突はほとんど記憶になかった。だから、機崎もそのときはまったく意識になかったようなので、ここは“再訪”というわけにもいくまい。
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 二泊目の宮津では、港に近い古い旅館に泊まった。細かいことは忘れたが、長尺の天橋立の絵巻物があった。三人寄れば文殊の知恵とか橋立の回旋橋、そしてもちろん松林の中も歩いた。観光客のルールに従って笠松公園からの股覗きもやってみた。そこから見える大江山と橋立の写真もたくさん撮っていた。
 こどもの頃に覚えた百人一首に「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立」というのがあって、歌とその周辺に長く興味を引かれていたが、日本三景のうちでも天橋立だけは、一度も行ったことがなかった。“まだふみもみず”という点では小式部内侍と同じだったわけだが、彼女のこの歌の大江山は、阿蘇海の向うに見えていた山ではない。大江山は、京都から丹後へ行く道ですぐに行き当たる西京区大枝沓掛町にある老ノ坂(大枝山)というのが定説になっている。
 けれども、でんでんむしとしては、大枝の峠に大江山を比定するよりも、この丹後の大江山をそのまま詠んだのだと素直に受け入れたほうが、この歌のスケールがずっと大きくなってよいと思うのだ。
 小式部内侍とこの歌には、なかなかおもしろいエピソードがある。才媛の誉れ高い小式部内侍には、宮廷内でのやっかみ半分の評判があった。歌がうまいのは、実は母である和泉式部が代作をしているのだろうと、口さがない連中が噂していたのだ。大江雅致の娘である和泉式部は、和泉の守道貞の妻となったのでそう呼ばれていたのだが、「あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな」がやはり百人一首にある。すでに歌人として名高い母が、夫の赴任地である丹後に行っていて留守のとき歌合わせがあった。そこで、定頼中納言が小式部内侍を「丹後へ遣はしける人は参りたりや。いかに心もとなくおぼすらむ。」とからかった。小式部内侍は、その場で即座にこの歌を詠んで切り返した、というのである。自らはっきりと、そういう疑惑を否定する証拠を示したことになる。この歌は、そうした背景の解説付きで歌集に収録されているので、有名になった。
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 今回は、北近畿タンゴ鉄道に乗ったまま栗田駅を過ぎ、宮津駅で降りる。ここで伊根方面へ行くバスに乗り換える。帰りはまたここまで戻って、ここから新大阪までタンゴエクスプローラで大江山を越えたので、荷物は駅のロッカーに預け、バスを待つ。雨は少し小降りになってきたようだ。
 前に宮津駅に降りたとき、駅に「ノーエ節発祥の地」の看板が大きくあったのを覚えていたので、それを探したが、どこにもなくなっていた。もう、誰も知らないで消えていく運命なのか。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度33分10.50秒 135度15分13.61秒
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dendenmushi.gif近畿地方(2010/06/09 訪問)

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タグ:京都府
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