579 黒崎=小浜市田烏(福井県)常神半島をバックにここにはあのう〜トンネルの物語もあったんですよ [岬めぐり]
田烏という地域は、奈胡崎の半分と集落のあるところから半島の先端の黒崎と、その向うにあるはずの獅子ヶ崎まで、広範囲にわたる。
黒崎まではなんとか見えるが、小浜市の東端にあたる獅子ヶ崎は、隣町の若狭町に行って海岸に出ないと見ることができない。そこはもう三方五湖のエリアになるが、これはまた別の機会に譲ることに。
ただ、黒崎の向うに遠いシルエットになっているのが、三方五湖から伸びてきた常神半島の先端で、御神島と常神岬の一部なのである。
そして、その左手に見える島が千島なのだ。ここは、黒崎から3.5キロも離れた沖合にある島で、周囲に岩礁をともない、高度も34メートルあるので、遠目にも海中に屹立するさまがよく目立っている。バックになっている常神半島の先の高いところが、標高240メートルあるが、手前の黒崎の出っ張りで53メートル。
遠景を見るときに、こうして高度の実数を意識してみるとまたおもしろい。だが、黒崎の53メートルというのは、ちょっとおかしいな。
岩の崖でできたワームのような細長い黒崎の出っ張りは、わずかに緑もあるようだが、木はほとんど生えていない。ここも、道は150メートルくらい上の高いところを巻く山道があるだけなので、近寄れない。
前項でふれた沖の石と、和田戸崎と、千島と常神と、黒崎が全部一枚に収まるほど、そこは遠い。
矢代の手前からまた来た道を引返して公園のところまで戻ると、ちょうどカヌーはその形を完成させたところだった。だが、進水までにはまだ時間がかかりそうだったので、蓮性寺というお寺を過ぎ、阿納トンネルをくぐって阿納尻へ戻る。
前項578で書いた、国土地理院の地図では修正がされていない奈胡崎トンネルは、調べてみると2009(平成21)年7月の開通であるという。やっと1年前に開通し、それで国道162号線が全通したという。
う〜む、1年はまだ猶予期間で、それならば国土地理院の怠慢とはいえないか。
では、ついでに気持ちはわかるがなにやら意味不明のレリーフまでついている阿納トンネルはというと、こちらは2002(平成14)年に完成している。来るときにタクシーの運転手さんが言っていたが、このトンネルができるまでは阿納坂の峠越えが大変であったので、みんながお金を出しあってつくったのだという。確かに、ここにトンネルがなければ、小浜の市街と阿納から矢代にかけての地域は、完全に隔絶されてしまう。
運転手さんの話の通り、いろいろ162号線がらみで調べていくと、ここには「現代の青ノ洞門」のような秘話があったことがわかった。
今の阿納トンネルができる前には、古い阿納坂トンネルというトンネルがあった。1966(昭和40)年にできたそれは、阿納の蓮性寺のお坊さんが呼びかけて、10年にわたる熱心な勧進と活動が行政を動かした結果できたものだった、という。それまで“陸の孤島”だった、阿納、犬熊、矢代を、小浜とをつなぐトンネルはそうしてやっとできた。
旧トンネルは、新トンネルの工事でなくなったらしいが、その痕跡はAlpsMap のエキサイト地図にも伺うことができる。
いわく因縁のトンネルを抜けると、そこには古い木造二階建ての、いかにも昔の校舎、という建物があった。
トンネルへ抜ける新しい道路は、以前には校庭だったところをぶち抜いて走っているように見えた。
▼国土地理院 「地理院地図」
35度34分15.98秒 135度48分10.37秒
北信越地方(2010/06/06 訪問)
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