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575 七蛇鼻=小浜市宇久(福井県)どうしてこんなところに人は住んでいるのだろう? [岬めぐり]

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 七蛇鼻は、小鰡ノ鼻の西寄り遠くに出っ張っている。ほとんど人が住んでいない久須夜ヶ岳の半島の西の泊から東の宇久までの海岸は、ぐるりが全部断崖絶壁で取り巻かれている。
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 当然、船でも仕立てなければそのそばには行くことができないので、ここもエンゼルラインの入口から眺めるしかない。そこはちょうど久須夜ヶ岳の半島が細くなった付け根に当たるところで、標高100メートル弱の鞍部になっている。
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 かつての有料道路のほうを望めば、久須夜ヶ岳頂上手前の標高468メートル付近に立ち並ぶ電波塔のようなものが見える。たとえ100メートルでも、道のない山ははるかな彼方になる。七蛇鼻もこの山頂からちょっとだけ北に寄った海岸の急な断崖にある。
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 したがって、エンゼルラインの下から見ているところは、確かに七蛇鼻ではあるけれども、それの側面を見通しているに過ぎない。3っつばかりのでこぼこが、横から見ても連続しているのがわかり、そのいちばん先っちょの、ここからではちょっとだけ陰になるところに、その名が記してある。
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 七つの蛇というのも、なにやら物語を期待してしまうが、それもどこからも伝わってこない。この岬のさらに北西寄りには老人礁という岩島が、地図には記されているのだが、蘇洞門めぐりのコースからも外されてしまうくらい離れているため、ほとんど知る人がない。
 それでも、チヌの釣り場としては知られていたり、カヌー・ツアーを楽しむ人のページには、ここのことも触れられている。
 宇久という小さな集落が、入江の奥に隠れるようにある。東の小鰡ノ鼻側にある西小川、加尾と並んで、この無名の湾の、川もなくちょっとだけある平らなところを選んで、人は固まって住んでいる。とくに宇久は畑の余地すらない場所で、しかもこの峠から一本だけある道を2キロ弱もだらだら行かなければならない場所にある。
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 どうしてこんなところに人は住んでいるのだろう?
 それは、でんでんむしが常々疑問に感じている問いかけで、この『でんでんむしの岬めぐり』の全体を通じて流れるメインテーマのひとつであるが、実は民族学の巨人・宮本常一のことばでもある。
 民族学は、“あり得ない郷愁を誘うものだ”と、京極夏彦は言うが、絵に描いたような田舎や物語に描写されるような村は、確かにそのままの姿ではどこにも存在しない。
 それなのに、たとえばこの宇久のような小さな漁村が、明らかに育ってきた環境とは、すべての点において異なるのにも関わらず、形容のしようのない懐かしさを感じてしまうのはなぜだろう。
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 鞍部から南側を覗いて見ると、そこには阿納尻の傾斜の緩やかな小さな棚田が面する丸い湾が広がっている。こんな風景もまた然り。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度33分57.50秒 135度44分58.34秒
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dendenmushi.gif北信越地方(2010/06/05 訪問)

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タグ:福井県
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