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□01:“電子書籍元年”の「東京国際ブックフェア」(本が二割引で買えるよ)とiPad [ある編集者の記憶遺産]

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 もう現役を退いてから長いので、こういうイベントにも久しくご無沙汰していたのだが、今年はある出版社の社長がつくってくれた縁ができたおかげで、「出展社のVIP」待遇で、初日の基調講演と午後の専門セミナーに参加することができた。
 基調講演は、『本コロ』(『誰が本を殺したのか』)でこの業界にしっかり食い込んでご意見番の地歩を固めている佐野眞一氏による、「グーテンベルクの時代は終わったのか」というものであった。その演題に“どんなことを話すのだろう”という興味があって申し込んだのだが、同様の関心を持つ人が多かったらしい。申し込みが殺到して、広いメイン会場に入りきれない人のために特設会場まで設けられるという大盛況だった。
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 午後の専門セミナーは、たくさん分散して開かれているなかから、グーグル株式会社の村上会長と、Googleブックス担当者による「Googleブックスの進化と出版」と、株式会社ボイジャーの萩野社長による「何のためのデジタル 出版とは誰のものなのか?」という二つの抱合わせプログラムを選んだ。こちらも、ちょうどタイミングを合わせて発表した「グーグルエディション」の取材を兼ねた報道関係者を含めて、大勢の人で会場は埋められていた。
 だいたいにおいて、講演やセミナーで得られるものというのは、よくよく考えてみると、さほどのことはないのが普通である。それはこれまで何十となくそういうものを経験し、また自分自身も台のうえから演じる立場に立ってみたことから、はっきりしている。ただ、ひとつその利点があるとすれば、“臨場感”のようなものであろうか。
 ほんとうになにかを知りたければ、本を読むほうがはるかに目的にかなう場合が多いはずだろう。
 しかし、今やその「本」をめぐる環境に大きな転機が訪れようとしており、そのためにこそ今年の「東京国際ブックフェア」も盛り上がっている?のかもしれない。
 もともと、ブックフェアが半分、残り半分は電子機器メーカーやソフトウエアなどの「デジタルパブパブリッシングフェア」で、それがなければ出版社だけではこんな大規模なイベントにはなり得ない。今年からはおまけに「教育ITソリューションEXPO」もくっついたので、相対的にブックフェアの色が薄まってしまうのもしかたがない。
 それに、“電子書籍元年”と騒ぎ立て(何度目かね?)られている今年は、デジタル機器メーカー側もそれに合わせた出展内容があって、もちろんiPadもキンドルも会場のあちこちでたくさん並べらている。
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 それに関しては、萩野氏(この人には、パイオニアでレーザーディスクをやっておられた頃からの一方的な思い入れがあった)の話を聞いていて感じたことがあって、ほんとうはそれについて書かなければならない。
 しかし、今日もまた朝一から会場へ出かけたいので、時間がなくなってきた。それについては、項を改めることにしたい。なんでiPadなのか、看板に偽りありになってしまうのは、そういうわけ。
 「東京国際ブックフェア」は昨日から始まって、2010年7月11日(日)まで、他の二つは土曜日まで、東京は有明の東京ビッグサイトで開かれている。
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 とくにブックフェアのほうは土日が一般公開日で、出展している本は新刊でもなんと「二割引」で買うことができる。ただし、出展している出版社は限られているので、欲しい本があるかどうかは、保証できない。
 これは、定価販売を金科玉条にしてきた出版社としては、書店の手前もあってあまり大きな声で宣伝するわけにもいかず、ほとんど知られていないので、情報提供しておこう。
 昨夜の7時のNHKニュース7の番組ガイドには「▽あなたはどちら?紙の本VS電子書籍」という記述が堂々と掲載されていた。おそらくは、ブックフェアにひっかけてのニュースなのだろうが、NHKがこんなことを言ってもらっては困る。あんまりひどいので見る気もしないでんでんむしは、裏番組のBSフジの『善徳女王』のほうを選んでしまう。
 マスコミがどうしょうもないのは、今に始まったことではないが、こういう煽り方や問題意識でごちゃごちゃいうのは、いいかげんやめてほしいものである。

dendenmushi.gif(2010/07/09 記)

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タグ:iPad 編集
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