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569 長崎=小浜市宇久(福井県)蘇洞門の海は現実は厳しい国境の海へ続いている [岬めぐり]

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 松ヶ崎から北東側に続く若狭蘇洞門は、内外海半島の北端までとされているようだが、長崎という目立たない岬はちょうどその終り付近にある。
 海岸に点在するさまざまな奇岩や洞門や岩島などに、それぞれ名前を付けるというのは、いわゆる文人趣味もあるが、漁師などそこを知る人の間で、自然発生的に呼び習わされて、その名が残るのが普通であろう。
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 だが、ここの場合は前者のほうで、江戸期の文人趣味が「蘇洞門」という当て字のネーミングを産むと同時に、唐船島、あみかけ岩、白糸の滝といった名称も定着させ、現在の観光パンフに記されるほどに普及させた、とみるのが当たっているだろう。
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 蘇洞門めぐりの遊覧船は、大門・小門という四角い摂理が抜け落ちでできたような岩穴のあるところで、その奥にある狭い入江の船着き場に到着する。そこは、吹雪の滝という小さな滝も落ちているが、地図によるとここを登る細道が、エンゼルラインに到達することになっているようだ。
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 ということは、ここは内外海半島を縦断する道、この海岸から上陸したり船に乗り込める唯一の道があるわけで、それもかなり古くから、物好きな文人墨客のためではなく、なんらかの実用性をもった道であったはずであろう。エンゼルラインの一部は、その古道を利用して拡張したのではないか。
 たとえその道が険しくとも、大勢の人目に付かないほうを選びたい場合だって、数多くある。
 しばらくの休憩の後、乗客を収容した遊覧船は、断崖の隙間の船着き場を離れると、長崎のほうには背を向けて進路を反転させると、一路帰港の途についた。
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 内外海半島が内海と外海を分けていること、大きな若狭湾のなかに小さな小浜湾があり、そんな景色は若狭湾の特徴のようになっていることは、もう少し地図の縮尺を大きくしてみると一目瞭然なのだが、あいにくと「ウォッ地図」の縮尺は限定される。
 たまたま発見した、「空から見る港」というページに若狭湾を一望した地図が掲載されていて、これをみるとそれがよくわかる。地図だけみているとどこがつくったページかわからないが、ページの下に「第八管区海上保安本部のページ」というリンクボタンがあった。
 これは八管のページだったのだ。第八管区の所轄範囲は、福井から島根までの日本海沿岸である。トップページから「第八管区の概要」というページへ行ってみると、そこには次のように書かれていた。

 第八管区海上保安本部は、福井県から島根県に至る西部日本海を担任しており、その海岸線の総延長は約1,960キロメートルにも及びます。この海岸線には風光明媚な国立公園や国定公園が数多くあり、春から秋にかけて、海水浴客や水上オートバイ、ダイビングなどのマリンレジャーを楽しむ多くの人々で賑わいます。
 しかし、冬には一転して猛烈な季節風が吹き荒れ、海は時化る日が続きます。こうした中、私たちは、巡視船艇や航空機などを使って海の安全を確保するための仕事をしています。
 また、この海域は、韓国、北朝鮮、ロシアの国々と接し、外国船舶の往来も多く、私たちはこうした船舶の監視を行うとともに、我が国の領海及び排他的経済水域内での密漁取締りや、密輸、密入国を防ぐための警戒を行うなど、いわゆる国境管区としての仕事も行っています


 外面(そとも)は、外国に続く海でもあり、まさしく“国境の海”だったのである。もっとも、島国である日本は、360度ぐるりが、すべてそうだとも言えるのだが、地政学的な意味を考え、また拉致事件などを考慮すれば、八管の抑制した表現のなかに“国境管区”といわれると、なるほどそうだわいと思う。そして、なるほど海上保安庁が「空から見る港」を企画する意図まで、なんとなく「了解」してしまうのである。
 そういえば、昔読んだ福井晴敏だか麻生幾だかの小説にも、敦賀原発が標的になり、この若狭湾あたりから外敵の侵入が始まるという、“平和ボケ”の日本人には刺激的な話があったような…。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度34分10.95秒 135度42分55.51秒
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dendenmushi.gif北信越地方(2010/06/05 訪問)

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タグ:福井県
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