562 寺ヶ崎=上水内郡信濃町大字富濃(長野県)これも氷河の削った谷なのか?! [岬めぐり]
長野県の上水内郡(かみみのちぐん)にある信濃町は、黒姫山とその南の霊仙寺山と野尻湖を含む大きな町で、その北は新潟県に境を接している。
その北のはずれで県境に臨むのが古海という字名のついた広い地域で、竜宮崎、寺ヶ崎、松が崎と3つの岬が同じ字名の中にある。
寺ヶ崎は、写真で見ると2つのおにぎり型の出っ張りが並んでいるように見える、右手の小ぶりなほうである。その先端部分が小山になっていて、くびれがあるのだが、湖上からはよくわからない。
その左手、つまりふたつのおにぎりの間には、谷間に緩斜面が延びていて、いかにも段々畑か棚田でもありそうな景色がある。これも、湖の上から見えるのは、その斜面の下のほうだけで確かめようもないが、地図では田と畑の記号が、山に向かって延びる傾斜地につけられている。
左手の大きい方のおにぎりは、奥から湖まで張り出してきた山の尾根のひとつで、ここには岬の表記はない。だが、この尾根の北側にも、同じようなカール状になった谷筋が延びている。船からは見えない奥のほうの谷が、湖近くに広がるところは、菅川というこの辺の湖畔ではいちばん大きな集落が、斜面に展開しているのがわかる。
またしても勝手な憶測だが、これらは小さいながら氷河に削られてできた谷のようにもみえる。もちろん、これはシロウト判断に過ぎず、確たる証拠もない。氷河で削られるとU字型の谷になるのだろうが、ここの谷は、田畑ができるだけの土や水があるということだ。しかし、扇状地のような地形でもない。
ここからは、北に向かって道路が延びており、途中の山の中の古海盆地で二手に分かれ、左は関川の県境へ向かい、右はスキー場とゴルフ場のあるリゾートを経て万坂峠を越え、新潟県に下ることになる。
野尻湖のことを、昔は「信濃尻湖」と呼んでいたというのはもっともで、最北ではないけれどもまさしくここが信濃のどんづまりなのだ。
外国人に湖畔のリゾート適地は先にとられてしまったためなのか、ゴルフ場とスキー場のほかに、湖畔のリゾートホテルも、野尻湖も奥まったこの寺ヶ崎や菅川西隣の松が崎にできている。
最初、物珍しさからそこへ泊まろうかと思ったのだが、どうやらそこは車でやってくるカップルのためのホテルのようで、値段からしても、半分は貧乏旅行に近い岬めぐりの一人旅では、とうてい似つかわしくあるまいと敬遠した。
それで、信越本線で新潟に下り、妙高高原の休暇村に、この日の宿はとることにしていた。
釣り船の写真は、西の湖岸から撮ったものである。後ろに姿のよい山があるのは、信越国境の袴山(標高1,135メートル)であろう。
ここで谷のカールからすぐ氷河に短絡してしまったのは、もちろんナウマンゾウのためである。さらに飛躍すると、園山俊二の『ギャートルズ』にまで、想像が発展していく。あのマンガでは、平原がほとんどで、彼方に火山が火を吹いていたが、野尻湖のこういう山の中で、ナウマンゾウと、それを追っていた人びとの暮らしはどんなものだったのだろうと思ってしまうのである(ただし、間氷期のナウマンゾウと氷期のマンモスは異なる)。けれども、山の斜面には、まだ氷河の一部が残っているほうが、やはりわかりやすいんだけど…。
▼国土地理院 「地理院地図」
36度49分45.47秒 138度14分16.74秒
北信越地方(2010/05/22 訪問)
タグ:長野県
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