555 佛岬=香南市夜須町手結(高知県)岬と国内最古の港そして岬と垰道おまけに… [岬めぐり]

ごめん・なはり線の電車は、東京の大江戸線のような幅が少し狭い車両で、車内には岩崎弥太郎やその師であった小牧米山の家など、地元の観光ポイントが掲示してあった。


ドラマや小説などで、現代人の実感覚として、なかなか感じ取りにくいのが、電車も自動車もなかった時代の距離感である。
お話では、登場する人物は、どこにであれひょいひょいと移動して現われる。ドラマやお話の上で、てくてく歩いている姿ばかりを描写するわけにもいくまいから、それを省略することで、フィクションとなる。ところが、見ているほうはその省略形だけをそのまま受け取ってしまうから、現実感が乏しくなる。

赤野から三駅ほど後免側に戻ったところの夜須駅で、電車を降りる。昔の人は、こんな距離くらいわけもなく歩いていたわけだ。その代わり、一日の行動範囲はかなり限られたものにならざるを得なかったはずだ。

夜須のキャラは、「やす にんぎょちゃん」である。駅前のヤ・シィパークという観光施設にもそのキャラが使われていて、地域の連携はよいらしい。
そう、このキャラの作者こそは、あのアンパンマンのやなせたかし氏なのである。アンパンマン列車はJR四国がいち早く走らせたが、やなせ氏は郷土のために役に立つものなら、なんでもできることはするという心意気がある人なのだ。

また昔話をすると、初めての海外でヨーロッパ視察旅行に行ったとき、同じ団体でやなせ氏も参加しておられ、絵本の読者だといってサインをもらったことがある。その当時は、まだそんなに有名ではない作家だった。孫がアンパンマンのファンなので、見せてやろうと探したのだが、どこかへいってしまってみつからない。なにしろ35年も前のことなのだから…。

佛岬は、海岸に出るとすぐ見えてくる。ただ、西側には手結(てい)の港があって、その港湾施設が、岬の出っ張りを利用するような形でできている。こういうところはかなり多い。

この港がまた、かなり歴史を感じさせるもので、古い船溜まりが奥まってあり、その周囲に人家が固まっている。なんでも、この港は国内でも最古の部類に入る由緒のあるものらしい。弥太郎も中岡慎太郎も、ここを歩いていたのだろうか。


橋があるが、踏切の標識が立っている。この橋は、船の出入りに合わせて開く、可動橋になっている。跳ね橋ではないので、横にぐるりと回る旋回橋のしくみなのだろう。どのように動くのか、どこかに説明がないかとキョロキョロしてみたが、わからない。


佛岬の上は、垰道で越えていた。これもまた、よくあるパターンなのだが、自動車道路を開く必要が生じると、たいていは岬の付け根を開削してしまうことになる。
ここもその典型である。標識が道端に立っていて、かつての垰道の存在をはっきりと示しているが、あれ、“仏ガ崎”という石碑もあるね。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度31分34.71秒 133度45分14.58秒




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